プロローグ
新連載です。
よろしくお願いします!
私の周りには燃え盛る炎。
私の昔からの夢であったパン屋さんになるために、30歳まで彼氏無しで大手会社の正社員として生き、お金を貯めていた。
働いていた会社はブラックではなかったけれど、パン屋さんにどうしてもなりたかった私はあまり仕事に打ち込まずにいた。
会社の後輩や先輩達がこぞって乙女ゲームとやらにハマり始めた時も、私はあいも変わらず半ば事務的に働いていた。
後輩がそんな私に根気よく乙女ゲームを勧めてきたから、結婚願望がない私にはあんまり関係の無いものだったが、あまりにも後輩の押しが強いのでちょっとだけ登場人物くらいしか書かれていないものを見てみた。
が…………。
いや、これは無いだろ。
と見た瞬間に即座に反応して勢いよく閉じた。
一瞬だったので、あんまり覚えてはいないが、とりあえずキラキラした王子様と性格悪そーなお姫様がいたのは覚えている。
あらすじなんか見てない。
でも、王道っぽい雰囲気はダダ漏れていた。
色々あったが、やっと貯めたお金でパン屋さんを営み始めることができた。
パン屋さんの敷地確保。
パン屋さん建設。
パンを作るために必要な機械。
材料費の推測。
などなど、やるべき事はたくさんあって、思った以上に出費もあったけれど、なんとか31歳の誕生日までにパン屋さんを営み始める事ができたのだ。
だけど、オープンの日。
周りの人達にたくさん宣伝して、華やかな始まりになるはずだった。
その日はオープンと言って張り切って最終のパン作りに臨んでいた。
その時ニュース速報が流れてきた。
それなりにはいい土地には建てたし、治安も考慮していたはずだったが近くで放火魔が現れたらしい。
放火魔がどういうものかなんてはっきり言って分からなかったし、どうせ私には関係ないだろうなんて思っていた。
きっとそれが悪かったのだろう、と燃えているパン屋さんの壁に囲まれながら思った。
あぁ、この30年間はなんだったのだろうか。
結局、私のパンは日の目を見ることはなかったらしい。
そうして、私の短い日本人人生の幕が閉じたのであった。
パンあんま詳しくないんですけど、
調べてみて頑張ろうと思いますのでよろしくお願いします!(笑)
フィクションなので、実在の事件とかは関係ないです。
気を悪くしてしまう方がいらっしゃるかもしれませんが、現実とは切り離して考えて、あくまでも小説として見ていただけると幸いです。