重陽の節句
九月九日は重陽の節句、菊の節句とも呼ばれます。
中華思想では奇数を陽、偶数を陰としますが、これは易経に由来します。
易経は天地の事象を八つに分類して、この八つの事象の重なりから将来を知ろうとする占法です。
この八つの事象を表現するのに陰陽を用いており、陰陽を導き出すのに筮竹と呼ばれる道具を使います。
筮竹は五十本で、最初に一本抜き出して太極に象り、次に両分して天地を象ります。この時、左手が天、右手が地となります。
地の筮竹は机上に置いて、そこから一本抜き出して左手の小指と薬指の間に挟み、天地人の三才を象ります。
次に天の筮竹を四本ずつ数えるのですが、これは四時(四季)を表現します。
残った筮竹を薬指と中指の間に挟み、閏を象ります。
地の筮竹でも同じように四本ずつ数え、残りを中指と人差し指の間に挟み、五歳再閏に象ります。
これら指の間に挟んだ筮竹を除いて、再び天地開闢から繰り返し、三回行うと、除いた筮竹の数が必ず二十五、二十一、十七、十三のいづれかになり、最初の筮竹の数である四十九本から差し引けば、二十四、二十八、三十二、三十六で、それぞれが六、七、八、九の四倍になります。
そこで六を老陰、七を少陽、八を少陰、九を老陽とすることから、老陽の九が重なる九月九日を重陽の節句と呼びます。
菊の花は仙境に咲く花と言われ、その気を身に浴びることで若返り、長寿を得るとしてそこかしこに飾り付けたり、酒に混ぜて飲むなどが行われました。
また柱に掛けて邪気祓いをするのは、五月の端午の節句で飾る菖蒲と交代で行われていたようです。