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あれから十九年が経過しました。
ニューヨークの貿易センタービルに旅客機が体当たりするテロ事件は、今世紀初頭の重大事件です。
同時多発テロ事件は四箇所を標的にしていたらしく、貿易センタービルの南北棟と、国防総省は実害を被りましたが、第四の標的は不明のままです。
ワシントンの議事堂、或いはホワイトハウスが標的だったようですが、ブッシュ大統領は当日、フロリダ州の小学校で授業視察に出席していました。
死者三千人近く、負傷者六千人以上の犠牲を受けた事件は、アメリカ合衆国に「テロとの戦い」を遂行させるキッカケとなりました。
このテロ事件を主謀したアルカイダは元々、アフガニスタン王国に軍事侵攻したソビエト連邦に対抗するイスラム組織で、その資金援助をしていたのがビンラディンでした。
この対ソ組織には、当時の冷戦構造を基にアメリカ政府から資金供給がなされ、アルカイダにも提供されていた疑いがあります。
アフガニスタンからソビエト連邦が撤退すると、民主化を求めるアメリカ政府と、イスラム化を推進する地元の武装勢力との間で軋轢が生じて、関係は険悪となります。
更にイスラム圏での聖地であるメッカとメディナ(預言者ムハンマドが死没した場所)を擁するサウジアラビアがアメリカ側に屈したと見たアルカイダが、テロを計画したとされます。
当事者でなければ理解できない心情もあるかと思いますが、テロという暴力が消えることはないと思います。
近年、テロが増える背景には人々が移動や移住を通じて、自己の権益を主張するようになったことが挙げられます。
かつては、それぞれの土地に、それぞれの主義主張を掲げて棲み分けていたものを、グローバリゼーションという思想が混沌へと戻してしまった弊害です。
国境があるのは、その線引きで異なる思想、異なる生活習慣、異なる宗教などを区別したからです。
戦国時代や江戸時代の我が国も、大名や領主の考え方で土地の暮らしは全く違いました。
それらを統一しようとした時には、多くの抵抗や武力衝突もありました。
同じ宗教、同じ民族でも内乱があるのですから、異なる宗教、異なる民族で起きないはずがありません。
我々は相互理解を通じて棲み分けるのが、最も平穏に暮らせると早く気付くべきです。




