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<第8話> 鍵を握るモノ

白石さんが言うには実際に触ってみる前に個人ルームで生中継のバーテックスを見たほうがいいと言うので地下3階のエントランスから左に行ってすぐ右曲がったところにある個人ルームに入った。




この部屋はパソコン一台と机と椅子の最低限しかなく小さな空間で過去データを見て分析して学校で言うならば個人の自習室みたいなものだ。


僕が椅子に座ると立ちながら白石さんはマウスを手に取りIDとパスワードを手際よく入れてさっきモニターで見た男性同士が剣を重ね合わせ睨み合っていたあの試合を最初から再生してくれる。




「5月11日!!バーテックスの時間がやって参りました!実況は佐藤がお送りします。今回の試合は16年生の中でも1位2位を争うカリスマプレイヤー「スカルポイズン」の太田選手と17年生の去年正隊員になりました挑戦者「マッドグラビティ」の手島選手!果たしてどっちが勝つのか??こちら第1観戦ルームです!見て下さいこの盛り上がり!!やはりスカルポイズンはインタビューにあまり答えずメディアの露出も少ないこともありそのような態度から多くの信者を獲得している大人気プレイヤーです。全体的に男子人気が高いと言えるでしょう!!マッドグラビティも正隊員になって1年ということもあるのでこの試合で勝利を収めて注目されることを期待してます!」



第1演習ルームはだいたい500人規模なら入ることのできる大型の観戦ルームらしい。スカルポイズンが人気選手ということもあって注目度としてはとても高かった。どちらが勝つかというアンケートによると80%以上でスカルポイズンに投票が入っていて実況者もスカルポイズンの圧勝であろうと予想づけた。




ブブー!!!



戦闘開始の合図が鳴り始めた!マッドグラビティが前に出てきて左手を真上に突き上げると地面が割れて白い岩を宙に浮かせている。そのうちの一つをスカルポイズンに向け投げつける。



マッドグラビティがそう呼ばれているのかはなんとなくわかった。彼は対象の重力を自在に操ることができるからグラビティなんだ。スカルポイズンは難なく白い岩を交わしていく。スカルポイズンと言うけどもまだそのように呼ばれる所以でもある攻撃は一切仕掛けない。



「マッドグラビティ!自身に重力を掛けてその勢いのまま蹴りを入れていく!!これを食らったら一溜りじゃないぞ!!」



スカルポイズンはかわせばいいものをガードで受け止める!!もちろん彼の腕は強い重力によってどんどん削られていく。だがスカルポイズンはその瞬間ニヤリと口角を少し上げる。スカルポイズンに触れている足はどんどん紫色に変わっていった。




ああああああ!!!





マッドグラビティが悲鳴を上げて足を下ろすと同時に右足で腐敗したマッドグラビティを蹴るとその足はいとも簡単に粉砕してしまった。



その瞬間スカルポイズンはマッドグラビティの背後に回り込んで右手で口を塞いだ。



あああああああああ!!!



口から頭にかけて腐敗していきそのまま倒れてしまった。その倒れたモノから溶かしているようなジューとした音や炭酸の泡みたいなのが体の皮膚から出ている。




僕はあまりにも見る気になれなくてパソコンの電源を落として白石さんに



「マッドマックスは死んだのか??これじゃ人殺しじゃないか!!」



「落ち着いて!!あれは試合で倒されただけ!死んじゃっているような演出であって試合が終われば生き返るから!!」



「よかったー!!」



すごいこれがアブトルの人気スポーツ「バーテックス」か、、、凄すぎて言葉が出なかった。






バーテックスの試合を見終えてから個人ルームを後にして白石さんに「第一演習場」へ案内された。この他にも演習場が30室ほどある。白石さんがまた扉の前で名札をかざすとドアが開いた。広さテニスコートより少し小さいくらいの真っ白な箱に何も置かれておらず非常に殺風景である。



すると白石さんがドアのそばにあった大きなロッカーを開け、中から変な機械を取り出す。ベルトと思われるうねうねしたペラペラのものにハンドバッグぐらいの大きさで全部灰色の丸いタンクが二つありとりあえずよく分からない。



「これは対ジュウシン用装置。訳してABDよ!!腰に巻いてみてねー!!」




持ってみた感じ機械ということもあって若干重いような気がする。僕は白石さんに言われるがまま機械部分を後ろに回してABDを腰に巻くとつけた瞬間機械部分がやはり重く後ろ腰を痛みつけるような感覚。長時間つけるのは大変だろうと思った



「ユーザー認証、、、白石ルカさん。ABDの起動を許可します」



灰色一色しかないABDが一部緑色に発光した。これはすごい!!思わず返す言葉を失う




「ちょっとジャンプしてみてよー」


僕は軽く上に飛んでみた。そしたら白石さんの体2つ分くらいまで高く飛び跳ねる。




「あぁ、、、!!!なんなんだこれは??」



「どう?すごいでしょー」




僕はここに来て技術のすごさにずっと驚きっぱなしだ。




「ABDを起動すると身体能力が格段に向上してスピード、スタミナ、耐久面でもプレイヤー自身最大限の運動能力を引き出すことができるの」



「そうなんですね」




白石さんがまたロッカーから黒くて細い棒を取り出す。白石さんに「はい」と言われて棒を握ると先端から緑の光線が噴出した。


「これはジュウシンを倒すためだけに作ったABWよ。この武器は日本刀を参考にして作られたライデンっていう剣なの。私あんまり武器詳しくないけどアブトルには武器にすごく詳しい専門家がたくさんいるよ」



エリザベスがあの時ジュウシンに放った黄色に輝く光線銃、あれもABWの一部なのか。なるほどアブトルもよくできてるなと思わず感心した。




白石さんが腕時計を見て「もうこんな時間!」と言う


「そろそろ帰ろうか」


といっても僕は帰る場所がない。帰るといってもどこへ?そう尋ねたら。



「もうミキ君せっかちだぞ」



もういちいち言うことがかわいい。なんだか恥ずかしくなって僕は大人しく地下3階の演習ルームを後した。



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