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<第56話> 正隊員の日常

カチャカチャカチャカチャカチャ、、、



ピッ!!



「??」



1人の男がコンピューター画面の前で驚き始める。すると男は錆かかって動かなくなっていたアサルトライフルの型番を画面に映し出された情報と照らし合わせてあることに気付いてしまう



「、、、もう休んだら?」



そこに現れた女はお盆の上にコーヒーカップを載せている。どこか安らぎを持たせてくれるほの暖かいコーヒーを画面を注視し続ける男の目の前にそっと置いた。



「見てくれよ!!これ、、」



「嘘でしょ!!!」



画面に映し出されていたのはミカサ市内に保管されているはずの「XXXカービン」の設計図であった。

その下に発注先が書いてありそこには「対ジュウシン技術研究所・ABToL」の文字。



「間違いない、、、こいつらがジョウホクを崩壊させたに違いない」



薄汚れた壁には「N°8」の文字が書いてある。男がボソッとつぶやくと被っているフードを下ろしポケットに入っているナイフを取り出しキーボードに思いっきりぶっ刺した!!



ズバッ!!



刺した勢いにより飛び出したキーボードのピースは空中を舞う。彼の姿は坊主頭に鼻ピアス、右腕には猛犬の刺青、左手には「N°8」が彫られている。



「俺の縄張り(テリトリー)を荒らす奴は許さない、、、覚えてろアブトル、、地獄の底まで沈めでやる、、、」






「ミッキー!!おはよ!」



「おう!ナナミ」



僕が正隊員になった次の日。1801小隊に所属することになった僕は正隊員の1日の大まかな流れや特別な施設、その他の細かいことをエリザベスの命令でナナミが教えるようにと指示が入った。そういうわけで12時に行われる合同演習の前に流れを完全マスターするために朝早くからここアブトルメインエントランスに集合していた。



「早速行こうよ!!」



2階メインエントランスの奥には各小隊の隊員室というのが用意されているのは知っている。以前河野ちゃんに招待されてパーティを開いた場所でもあるからだ。僕は二人横並んでナナミの言う通り進んでいくとやはり1801小隊の隊員室に到着した。



「知っているとは思うけど。ここは私たちの隊員室ね!この辺曲がり角が多くて最初は迷うと思うけど、、、それは慣れるしかないねー」



「それと、、ミッキーの隊員証は正隊員に更新されているから扉前にかざせば自動で開くよ!!」



言われた通り隊員証を扉の前にかざすと「ピッ」と音が鳴りドアのロックが外れた音がした。



「ようこそミッキー!!1801小隊の隊員室へ!!」



部屋の電気をつけると以前来た時とはあまり変わっておらず、中央に大きなテーブル、サイドに4つの大きめなロッカー、トイレやシャワーが完備されていてシンクにキッチンまである。隊員の控室というよりか一種のシェアハウスに近い。ベッドこそないのでそれは自分で持ってこなければならないがこの中で1週間くらい生活しても不便なく過ごせると思った。



「人によっては隊員室に住み込んでいる人もいるし、作戦によっては泊まり込みとかあるからこの中でも生活できるようになっているんだー」



ナナミは右奥についている4つの大きなロッカーの前に立ち始める。



「これは個人のロッカーね!左端から河野ちゃん、佐倉、私、一番右がミッキーの!基本何でも入れていいけど、、、食べ物とかは冷蔵庫あるからそっち入れた方がいいよ」



ナナミがロッカーの使い方の例で自分の使っているロッカーの扉を開けた。中にはABDと現在使っている戦闘服に冬用の戦闘服?と思われるものに収納されたアビスの槍に置き勉しているであろう教科書がもろもろ、、、それより気になるのが扉の裏側にマグネットで抑えてたくさんの写真が貼ってあった。その写真の様子はスタイル抜群でナナミに雰囲気が似ている4人組のガールズグループ?そのメンバーの1人であろう様々な髪色の写真がたくさんあった



「ナナミ、、、この写真何??」



「ん?ああこれ!!私の大好きなグループ、、、だよ!!その人は私の推し!ミッキーに言ってなかったっけ?私バーテックスで曲使ってるって、、、」



「いや?聞いてないよ、、、ていうか、そんなグループの名前初めて聞いた」



「まあTVに出るような人たちじゃないし、、、外国のアーティストだからねー」



よく写真を見てみるとナナミの戦闘服同様、上半身と下半身のズボンが分裂しお腹周りが露出している「セパレート」だし、河野ちゃんや白石さんとは違ったメイクやスタイルだし言われてみればナナミにそっくり。そっくりというよりかはナナミがこの人たちに寄せているだと思った。僕は普段インターネットとか使わないし海外の情報とかあまり知らない。



「ねぇねぇ!今度さバーテックスの戦闘曲変えたいから家に遊び来てよ!その時聞かせてあげる!」



「分かったー」



ナナミはロッカーの扉を閉めると続いて様々な色のファイルに小分けされた本棚に向かい緑色のファイルを取り出して開くと中には「作戦報告書」と書かれた紙が入っていた。



「これは読んで字の如く作戦報告書だよ。1種免許の時にやったでしょ?作戦後に何体ジュウシンを倒したか正確に記載して本部に提出しないとルール違反になるって!その紙は緑のファイルに入っているからー。足りなくなったら本部に行けばもらえるから無くなったことに気付いた人が補充してねー」



「あとは青のファイルには報酬金の明細書が入っている。作戦が成功するとアブトルから報酬金って形でお金がもらえるんだー」



「え?そうなんだ」



「そうだよー。私とかは今この報酬金で生活したり好きなもの買ったりしてるー。私ミッキーたちみたいに専属のオペレーターとかいないから戦闘服やABDは報酬金を使ってオーダーメイドや修理に出しているんだ。オペレーターがいないとそういうのは大変だけど自由にお金が使えるからメリット・デメリットってところだよー」



「へぇー!すごいな」



「あと赤のファイルは作戦内容を紙にまとめたプリントを入れておくやつ。作戦忘れちゃった場合はここから取り出して見返したりすることもあるよ。黄色のファイルは完了した作戦をまとめたものー。赤のファイルにある作戦が完了すると黄色いファイルに映さなきゃならないよー。、、、でもだいたいこういうのやるの河野ちゃんなんだよね。まぁーこんな感じかな!隊員室は利用時間とかに制限はないけど夜11時から朝5時まではアブトル外には出られないからそこは注意しなきゃね!」



「これくらい分かれば隊員室はいいや。次に行こう、、、って言っても会議室の使い方分かるし、、あ!専門の修理担当がいること紹介しなきゃね!!」



ナナミと二人で隊員室を去り続いて向かった場所は地下2階の研究フロアである。ナナミの言われた通り迷路の中をスタスタ歩いていくと、、、



「ミッキーここだよ!隊員専用の修理室!今回は用事がないから入らないけどこの扉を開けると作業着を着た男の人が出てくるからその人に壊れたABDや武器を渡して!んー大体2日くらいで修理されて戻ってくるかなー。このサービス無料でやってるからミッキーも遠慮せず使った方がいいよ!」



「ほーほー、なるほど」



「、、、まぁーそんなもんかな。あと指令室とかあるけどあそこ普段行かないしーそれくらい知っていれば大丈夫だと思うよ!あと最近のニュースだけど作戦中に補充用のエネルギータンクを持っていって良くなったよ!これで長期戦も行えるようになったみたいだよー!だけどバーテックスでエネルギー補充は禁止だからそれだけは忘れないで。あと、、、」



ピピッピピッピピッ!!



「もしもし、、、河野ちゃん、、、うん、、分かった、、すぐに向かう、、はい、、はーい」



ピッ!



「ミッキーそろそろ合同作戦が始まるみたいだよ!ABDとか戦闘服を隊員室に持ってきて!私は先に向かっているから!みんな隊員室で待ってるから!ごめんー!ミッキーと一緒に居れて楽しかったー!今度はデートしよ!!」



「ありがとう!ナナミ!」



僕は急いで保管してあるABDや戦闘服を取りに地下3階の藍田塾に向かった。

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