<第52話> レディースエンドジェントルメン
「テスト5教科分。一気に返すから出席番号順で取りに来な」
はぁ、、、どうしよう。テストワンチャン0点はあり得る。放課後5時からバーテックスの試合を控えているのにここでメンタルをボロボロにされる可能性だって秘めている。
「ミキ君見てみてー!!」
河野ちゃんがテスト返却されて喜んでいる。さぞかし良い点数だったのだろう。
「河野ちゃん何点だったの??」
「見てみるー??」
国語以外80点以上!!難しいといわれる国語でも63点。恐ろしい彼女はバーテックスも強くて頭もいいって天は万物を与えるってこのことを言うのか。
「マイ点数見せてくれよー」
「えーカイセイには負けちゃうからやだー」
二人がまたイチャイチャし始めた。話に全然ついていけないのでそっと会話から抜ける。
「おいミキ。早く取りに来いよ。そんなに怖いのか?」
すごくエリザベスが煽ってくる。僕は手足を震わせながら遅る遅る教卓の方へ歩いていくと。
「お前はバーテックス控えてるし少し多めに見てやるよ。はい」
「、、、、え」
「国語3点、数学14点、英語24点、理科18点、社会22点、、、」
チーン、、、、
僕は頭を真っ白にしたまま自分の席に戻った。まぁ勉強してないからこの点数仕方ないとも言えるが誰にも言えない
「はぁ、、、、」
「ミッキー!!テストどうだった??」
「、、、察してくれ」
「超気になるんですけどー」
僕がテスト覆うようにガン伏せしているところからナナミは強引にテストだけを何とか取り出そうとする
「やめろ!!や、、、やめろつってんだよ!!」
「ちょっとだけ?ね?」
「力が強いんだよ!!やめろ、、、あああ!!!」
「嘘おお!!!私ミッキーに負けたんだけど、、、マジでショック~」
「え??」
おいおい僕の点数かなり低いぞ。それより低いってどんな点数だよ!!
「ナナミ点数聞いていいか?」
「私国語が、、、0点。数学が8点。英語が14点。理科が19点。社会が18点だよ」
「それはやべーな!!」
「ミッキーも人のこと言えないでしょ!」
クラスの底辺は僕とナナミで推薦枠しっかりしろとめちゃめちゃ言われる。エリザベスが帰りの挨拶を一言放つ。
「今回成績悪かったやつ9月に前期最後の試験あるからそこでいい点数狙っていくように!今日はミキのバーテックスっすね皆で応援しましょー。さようならぁ!」
その瞬間クラスの皆は一斉にアブトルへ走って行く。テストで結局メンタルはやられてしまったが今日は最終戦藤原ルークとの戦い。これに負けてしまうと僕はアブトルから永久的に追放扱いを受ける。何としても勝たなければならない。昨日のこともあって僕と白石さんはかなり藤原ルークに対して怒りが溜まっている。あいつ絶対にぶっ飛ばしてやるからな。
「ミッキー!バーテックスID見たよー。今度の相手藤原ルークでしょ??」
「ナナミ知ってるのか??」
「え??私あいつ嫌いなんだよねぇ。今度一緒に遊びませんかって誘われたけど。どの顔面が言ってるんじゃって感じ。本当にキモイ、、、死ねばいいのに。私もあいつにストレス溜まってるから代わりにミッキーがボコボコにしといてくれるときゅんとしちゃうなー」
ルークってすごく女性に嫌われるな。どうしたらそんなに嫌われるか気になるものだ。
「僕もちょうどあいつに怒ってるところなんだ」
「え!運命共同体じゃん!!今日私第1観戦ルームの特等席で観戦するから目会ったら手振ってねー。バイバイー!」
僕はナナミと別れて白石さんと合流するためにアブトルへ向かった。7月21日のアブトルメインエントランスは一面中今日のバーテックス「三木ハルト VS 藤原ルーク」の広告ポスターがずらっと張り出されていて各モニターが全部今回対戦が行われる第1対戦ルームの中継がまだフィールドに誰もいないにも関わらず放送されている。
聞いた話によると第1観戦ルームの倍率は過去最高の5.5倍。第2観戦ルームでも4.0倍。という異例の事態。過去最高の人気を誇るバーテックスの試合になるだろうと予想されている。どちらが勝つかという事前アンケートによると三木ハルトは45%、藤原ルークが55%と割と接戦であるが。人気面では圧倒的に僕の方が勝っていると聞いた。ファンが前日にいろいろ準備をしていたという話まで横耳から入って来たこともある。アブトルの夏最大のビックイベント!こんな時に試合ができてすごく嬉しい気持ちになった。
地下3階の更衣室へ着くと先に白石さんがABDやライデン、新しく下ろした戦闘服が置いてある。僕は新しい戦闘服に着られると思うと興奮してしまいウキウキしながら身に着けていくせ。鏡で自分の着こなしをチェックすると
「これが、、、僕の新しい戦闘服」
少しダボっとした感じでロングTシャツ、ズボンともに大きめに袖の部分は太めに作られている。デザインは黒をメインカラーに肩や肘、襟元、脇腹、太もも側や脇あたりに青や緑のプリントがちょうどいい感じに配色されている。前の右胸元に小さく、後ろの背中に大きく縦に白く、右後ろ太ももにブランドのロゴがプリントされている。とても近未来感が溢れるかつスポーティで個性が強くかっこいい。シンプルだが奥ゆかしいおしゃれさが加わさっている。
スニーカーは前とは変わらずつま先からかかとにかけて緑から青に変わっていきソウルが透明緑のやつである。髪はいつものように黄緑色にスプレーで染めて。今回は追加で白いヘッドバンドを用意したので前髪を掻き揚げるようにしてかぶる。あとは右頬に緑ペンで横線を引き完成!!
ABDが起動するか最終点検とライデンの起動を確認して、、、よし準備万端!僕は更衣室の扉を開けると奥の壁には白石さんがよりかかっている。今日の白石さんはいつもと違って甘い匂いがプンプンする大人っぽいかつ可愛らしいオペレーター姿の過去一最強の白石さんである。
「ねぇーハルト君、、、ジロジロ見すぎ。お姉さん照れちゃうよ」
「すいません!ついつい綺麗だなって」
「通信機動くか確認しよ!!、、、、、、、OK!!じゃあいつものやりますか」
「ハルト君、、、今日は楽しむとかではなくて、、絶対に勝ちに行くよ!!私今日は本気だから!」
「いつもは手抜きってことですか?」
「いやー。言い方間違えた。毎日100%だけど今日だけ120%!!」
「まぁともかく絶対に正隊員になろう!!皆期待してるから!!」
「はい!!」
「、、、せーのっ!」
バトルウウウウウウウウウーーーーーー!!!!!!!!!!!
チャアアアアアアアアアアアアアアアアアアジーーーーーーーーー!!!!!!
「いってらっしゃ~~~~~~あああいいい!!!!」
更衣室を抜けて対戦ルームへ続く通路へ向かうと、、、、
きゃあああああああああああああああ!!!!!
ミキくんんんんんんんんーーーーーーー!!!!!!
ファンの数が奥田ミヤビ戦の3倍以上!!パネルやうちわを持っていたりする。今回はわざわざ横断幕まで作ってくれた人までいる。横断幕を読んでみると
「三木ハルト!!!己の拳で勝利をつかみ取れ!!高校2年2組一同応援しています!」
どれもどれもクオリティが高く一つ一つ眺めるのも一苦労するくらいだ。真っすぐ通路を歩いていくと
「新しい衣装ですか??めちゃめちゃかっこいいです!!」
「すげーかっこいい!!憧れですうう!!!!」
「サイン下さいいい!!!お願いします!!」
サインをお願いしてくる子に近寄って手に持っている色紙に緑ペンで自分のサインを書いた。
「ありがとうございますううう!!試合頑張ってください!!!」
大歓声の中第1観戦ルームへ入っていく。中にはすでに藤原ルークとその周りを取り囲む「ルークガールズ」が僕を来るのを待っていた。相変わらずルークの見た目は鮮やかな赤い髪に赤いスーツ、濃すぎるアイシャドウだ。
「ルーク様ぁぁ。ここではちょっと刺激が強すぎますぅ、、あぁん」
「構わん、、、続けるてやる」
「ああん、、、ルーク様豪快!!」
試合前にこんなに密着している人始めて見た。こっちがドン引きしているのに気づかないみたいだ。
「おい。そろそろ試合始まるんじゃねーの」
「ああ??お前が来るのが遅すぎてこっちはハニーちゃんと楽しくやってんだよ!」
どこ行くのですかルーク様あ!
「、、、下がってなさいハニーちゃん」
はああルーク様ああ!!
「、、、夜はぐっすり眠れたか??それともトラウマすぎて夢の中にまで出てきちまったか??ああー!!それは残念だ!!」
僕もそろそろイライラしてきて
「何言ってんだ勘違い野郎!」
すると急にバーテックス第1観戦ルームより実況が入ってくる!!
「みなさああああああんん!!!今日もやって来ました!バアアアアアアアアテックスーーーーー!!!!!!7月21日夏休み直前にシーズンラスト!バーテックスの最後に相応しいこの二人が火花を散らします!!第1観戦ルーム過去最高倍率5.5倍を記録!!!さすが今年注目選手三木ハルト選手のパワーは半端じゃないです!!!今回の選手を紹介しましょう!!今シーズン人気ナンバーワン!5月の初試合から急上昇!!最後の切り札システムオーバードライブをどこで使っていくかが勝利のカギです!!「エネルギーデーモン」三木ハルト!!!!!」
ふううううううううううう!!!!! おおおおおおおお!!!!!!!!
「対するは、、、圧倒的カリスマ性と芸術性を内に秘めた生まれながらの天才!!!彼の光からは逃れることは不可能です!!!「ライトニング・ナイト」藤原ルーク!!!!」
きゃああああああああああああ!!!! ルーク様ああああああ!!!!
「今回の実況は私足立がお送りします!!まもなくスタートです!!!!」
実況アナウンスが終わると藤原ルークがペラペラと喋り始める
「勘違い野郎??品がなってねぇな!!昨日さんざん教育したのにもう忘れちゃったのか??」
戦闘開始まで残り3分ABDを起動してください。
「君には戦闘スタイルよりも礼儀を教えるべきだった、、、残念だなぁ」
「君みたいなやつが作る晩御飯を食べることによって口の中が薄汚れて!!人をけなすような言葉しか使うことができなくなる!!ああ貧乏人は哀れだねぇ、、、」
「戦闘前によくしゃべるな。僕を煽ってるのか?」
「ああ!!!君ってやつは!!!どうして私を困らせることしか言わないんだ!!私の思い通りに君はなぜ動かない!!あああ!!イライラするなぁ!!!」
戦闘開始まで残り1分ABDを起動してください
「ライデン起動!!!」
僕はABDの仮電源だけ入れてシステムオーバードライブをいつでも使える状態にする。またライデンの刃を輝かせておく。
「、、、君には再教育が必要だ。さぁ見てみろ!!この光輝くABD「ブリリアント」を!!目に焼き付けておけよ!!これがお前自身最後に見る輝きだからなぁ!!ブリリアント展開!!」
ダイヤモンドのように輝くABDその輝きが眩しすぎて目を閉じてしまう。それと同時にルークは「リフレクターシールド」と聖剣を構え始める。すると第1観戦ルームの歓声と実況の声でカウントダウンを始める
「10!!9!!8!!7!!6!!」
「これはアートショーだ。もちろん主人公は私。君みたいな私のテリトリーを荒らす奴は大嫌いなんだよ!、、、そろそろ時間見たいだな」
「5!!!4!!!3!!2!!!1!!!」
「レディースエンドジェントルメエエエン!!!藤原ルークがお送りする光のショー!!狂い死ぬ哀れな三木ハルトの姿をご覧あれえええ!!!」
「お前の思い通りにはさせない!!!」
ブーーーー!!!!




