<第50話> 期待を背負って
「おはよう河野ちゃん!!」
「ミキ君おはよう!!」
「今日のテストの意気込みは??」
今日、、、テストなのかあああああ!!!!頭の中にテストなんて入ってなかった、、、すっかり勉強するの忘れてた。とりあえずやったと言っておくか
「うん、、、ちょっとだけね?」
「本当に?テスト上手くいくといいね!!」
「お、、おう」
「ミッキー?テスト勉強したの?」
2つ席前のナナミが振り返って話しかけてくる。
「ちょっとだけねー」
「スゴ!私10分やってないよー。勉強とかダルいし」
ナナミは勉強していない。そんなの予想通りだ。ナナミとテストの点数でいい勝負をするとさすがに周りからバカにされるし、、、今更テストの範囲どことも聞けないし。どうしよう、、、1点でも多く取りたいが聞く術が見つからない。そう思ってモタモタしていると
「ほーい。1時間目英語のテスト始めっから」
あ。終わった。2個前の席では後ろを振り向きながらニヤニヤしている。いやナナミも少しは焦れよ
「ミキ君!テストのできどうだった??」
河野ちゃんは嬉しそうに声をかけてくる。今はそんな気分じゃないんだよなぁ。とりあえず今日の1時間目から5時間目で国語、数学、英語、理科、社会の5教科をやって学期末テストは終了した。手ごたえは、、、勉強してないからあるわけがない。
「、、、勉強したところ全く出なかった」
とりあえず少し勉強した設定できているので出題の的を外したみたいな嘘をつく
「仕方ないよね!ミキ君今日初めてのテストでしょ?」
どんな時も笑ってポジティブな河野ちゃん。彼女が悲しんでいたり困っている姿は見たことがない。彼女の元気には毎日癒される。明日、国語、数学、英語、理科、社会全ての教科のテストが返却される。河野ちゃん的にテストの難易度は基本変わらず少し数学が難しくなったぐらいだと。難関のエリザベス作の国語以外は60点ぐらいが平均点。国語は、、、平均点40点と予想。こんなこと聞いたって勉強してない僕には全く関係ない話だ。
テスト期間が終わったので今日からみんなアブトルで練習を再開するだろう。また寂しかったアブトルに活気が戻ると少し嬉しい気持ちになった。早速ホームルームも終わったみたいなので演習ルームにダッシュした。
人と人の合間をすり抜けて2組、、3組とどんどん昇降口へと向かっていく。
ミキ君!!今度のバーテックス楽しみにしてるよ!
ミキ君!応援してるよー!!
「ありがとう!!」
すれ違うたびに湧き出る暖かい声援。後1戦で除隊されることも分かっていながら僕が1勝するのをとても期待してる人がいる。僕は決して1人で戦ってるわけじゃないんだ。
2階の駆け上がる反対に降りてくる下級生にごった返している。衝突起こしながら一段ずつ登っていく。やはり下級生の間でも僕の名前は知られている。「先輩、握手してください」などと要求されることもある。最終的には握手をするために列をなしてしまった。ある下級生に聞いたらクラスでも僕や僕のABDはブームになっているらしい。僕はバーテックスはこんなに影響力があるのかと驚きが隠せなかった。
「ごめんねみんな!僕も今日練習があるから!ここで失礼するよ!」
ありがとおおおお!!! 応援してます!!!!
2階奥の連絡通路を駆け抜けると目の前にはアブトルメインエントランスへと続くゲートがある。華麗なステップでバッグについてるアブトル準隊員証が入ったパスポートケースをゲートにかざして扉を開ける。
その視界に広がるのは巨大大理石に覆われた空間。天井には太陽のように明るく照らすライト。王族が通るのかと思うぐらい幅の広い豪華な階段。高級ホテルのロビーようなゴージャス感のある受付。そこを行き交うたくさんの人!!
入り口の前には次回開催されるバーテックスの宣伝電子横断幕が掲げられているのだが6本のうち全部縦文字で「7月21日 三木ハルト VS 藤原ルーク 男子バーテックス公式戦 ミカサで生中継!!」と大々的にお互いの顔を睨み合ってる画像と共に張り出されている。バーテックスIDによると藤原ルークは正隊員<ナイト>級の戦士で女性を甘い言葉で誘い出すことから「魅惑の皇子」と言われている。アツヤが女子から絶大な人気を秘めているのは少し分かるが、、、ルークはいうほどかっこよくはない。いったいどんなやつかは気になるが、、、
アブトルエントランス奥にあるエレベーターに乗り目的の地下3階に到着するまで待っている。すると同じエレベーターに乗っていたのは1803小隊の「奥田ミヤビ」と「菅原アツヤ」だ。
「あれ??お前か??久しぶりだな!!」
「ミキ君!!この前は対戦してくれてセンキューな!!」
「どうもー!!」
「そういえば次のバーテックス、、、ルークだろ?あいつちょっと癖強いからな。まぁ慣れればどうってことないだろうけど」
「ルークとの試合普通に楽しみだな。あ。言い忘れたけどミヤビその試合当たってたんだよ!第1観戦で!」
「まじか!!ナイスアツヤ!ミキ俺たちは特等席で試合を眺めているからな!」
「ところでミキ君??どのようなスタイルで行くとか決めたの??」
「新しい服は用意したよ!!あとは必殺技も練習中だよー」
「おおお!!!すげーな!それもバーテックスのお楽しみってことでな、、、」
地下3階に到着のアナウンスが鳴ったので僕は降りる準備を始める
「じゃあ僕は先行くね!じゃあねミヤビとアツヤ!!」
「またな!!」 「おうー!!」
地下3階の演習ルームへ走り出すとスポーツドリンクを飲んでいる竹下の姿が
「よお!!帰って来たぜ!!ミキ!」
「竹下帰って来たんだ!!もうお前がいなくて寂しかったぞ!」
竹下は話を聞いてるとどうやらルークと戦ったことがあるらしく僕の話した内容に激しく同意した。
「ミヤビやアツヤが言ってたんだけどルークってどんな奴なんだ??癖があるって本当??」
「ああ2人の言う通りだよ。ルークは癖どころではない。普通にヤバいやつだ。各バーテックスごとに女を連れてくるんだけど毎回違う女だ。なんかあいつって自分のことかっこいい?とか思ってるのか知らんけどランウェイで複数の女を囲って歩いてくる。しかも連れてくる女も趣味が悪くてさー!美女ならいいんだけどさなんか微妙なんだよ。しかもファッションセンスがよく分からないし。腹筋見せながらのタキシードはさすがに笑ったわ、、、まぁこんなやつ!」
とりあえずキザで自分に酔ってて、、、女好きというのが分かった。竹下と鼻図と長話になってしまうのでこの辺で切り上げる。「ありがとう!そろそろ行くね!」と伝え第3演習ルームへ向かおう、、、
ピピピピピピピピ!!!!
白石さんからの電話だ。最近忙しいからという理由で直接話せないときは通話をするってことで僕に携帯電話を事前に持たせていたのだ。急いで電源をつけて通話に出る。
「もしもしハルト君!!前注文した戦闘服届いたよ!!今から藍田塾に取りに来れる??」
「分かりました!すぐ行きます!」
僕は急いで藍田塾へ向かった。新しくできた戦闘服が楽しみで仕方ない!!




