<第43話> ファンファーレ
6月29日 16時00分
僕は奥田ミヤビの戦闘ビデオを見直して白石さんと計画した作戦をイメージしながら立ち回りなど復習する。作戦の内容は試合中盤にシステムオーバードライブをかけて後半スロースタートが解放される前にとどめを撃つ。前半はエネルギー温存でいく。靴紐を結んでABDの電源がかかるか確認。前にも着た戦闘服緑の3本ストライプが入ったパーカーを身に着ける。今回はワックスを使って前髪をがっちり上げた後スプレーで髪を黄緑に染める。あと右頬に緑ペンで「Battle Charge」と書く。僕の知名度はスーパースターレベル。今回の試合も第1観戦ルーム倍率3.5倍。第2観戦ルームでも2.8倍。今キテル選手ランキング1位にランクインもした。勝ち負けも大事だが観客に見せるパフォーマンスも重要だ。
「ハルト君!!準備いい??」
アブトル内の男子更衣室を出ると廊下の壁に腰掛ける感じで白石さんがいる。バーテックスになると気合が入る白石さん、、、ていうか目元がキラキラして真っ赤な口紅たまらない、、、、
「ハルト君恥ずかしいからジロジロ見ないでよ、、、」
あぁ取り乱してしまった30分後の試合に集中しなくては。二人で通信機が動くか確認して作戦内容を再認識。二人で考えた勝利の儀式を始めようとする
「ハルト君が勝てますように!!」
「エネルギイイイイイイイイイイ!!!」
「チャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアジ!!!!」
「行ってきます白石さん!!!」
「一生に残る最高の試合にしようね!!!」
地下3階にエレベーターが到着。扉が開いた瞬間目の前には佐倉カイセイ戦の時と比べて2倍以上の観客がいる。複数人にわたって巨大なボードを持ってる人たちがいて書いてある内容は「システムオーバードライブ!!!」。しかもその裏がチラッとこちらの角度から見えていて「祝三木ハルト正隊員!!」と書いてある。勝った時のために作ってあるのかと思って泣きそうになった。他にも手作りうちわを作って応援する人や僕の髪型を真似して黄緑色に染める人。演習ルームに入る通路ではサインを求められたり。これがスーパースターか!!!思っていたよりもすごい!そして応援してる人のためにも頑張らなきゃって思う。僕のファンだけではなく奥田ミヤビのファンも同じくらいたくさんいる。彼のファンも僕が目の前を通れば歓声や拍手で返してくれる。彼も人気があるなと思った。
今回の会場第11演習ルームに入ると
ヒュウヒュウヒュウヒュウヒュウヒュウ!!!!!!
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!
目の前には身長180弱の大男。服装は灰色と黒のスポーツウエアと青のハーフパンツ。髪型はスポーツ刈り。穏やかな笑顔で僕の登場を迎える。
「よろしくな!三木ハルト!!お前と会えるの楽しみにしてたよ!!!」
「ミヤビ!!!残念だけど僕が勝たせてもらうよ!!!」
「今日もやって来ました!!!!ヴァアアアアアアアテックスウウウウウウウ!!!!!!6月29日梅雨も明けていよいよ夏のファンファーレのラッパが吹き荒れています!!!!我々の熱きバーテックスソウルでアブトルをいやこのミカサを世界で一番灼熱なスポットに変えちゃいましょう!!!今回の公式戦は正隊員と準隊員によるマッチ。挑戦者!!前回のバーテックスで5本の指に入るトッププレイヤー「佐倉カイセイ」を顔面パンチしてロストミリまで追い込んだ注目のABD「システムオーバードライブ」を抱える緑の悪魔「エネルギーデーモン」三木ハルト!!!!」
三木ハルトおおおおおおおおおおお!!!!!!!
見せてやれシステムオーバードライブ!!!!!
「そして防衛者は後半圧倒的パワーで対戦相手を死の淵まで叩き落とす!!彼のクライマックス「ニューディール」は積み上げてきたダメージを無効にしちゃうぶっ壊れ性能!!!相手のペースもメンタルも尽く粉砕していく心優しき破壊神「ペースクラッシャー」奥田ミヤビ!!!!!!」
いええええええええええええええええええええいいいい!!!!!!
キガントアッパー見せてやれえええええ!!!!!
「17時40分よりスタートします!!!!実況は島田でお送りします!!!!第1観戦ルーム盛り上がってますかあああああああ!!!!!!」
「戦闘時間まで残り3分ABDを起動してください」
「ハルト君調子はどう??ワンチャンあなた正隊員より人気あるんじゃない??」
僕はABDの電源のみ入れる。システムオーバードライブはキープ状態だ。ミヤビは左二の腕についてるABDに触れて
「アウエーキング起動!!!」
左腕のABDが起動されるが何色にも輝かない。起動しても最初は何も起こらない。時間が経つにつれてABDが青色に輝く。青い輝きがABD全体に広がると彼の能力は最大限に発揮されどんな相手でも一瞬で倒される。できるだけ青い輝きが出る前に倒しきりたい。
「戦闘開始まで残り1分。ABWを起動してください」
僕はすぐさまライデンを展開して縦に構える。ミヤビは僕を徹底的に分析した結果、、、ライデンの二刀流!!!あえて僕と同じ武器を選んだか!!!
「さああああ!!!皆さんカウントダウンを開始しますよ!!!!」
「戦闘開始まで!!!! 10!! 9!! 8!! 7!! 6!! 5!!」
「4!! 3!! 2!! 1!!」
ブーーーー!!!!!!
「戦闘開始しましたあああああ!!!早速三木選手!!後半のスパートを恐れてか??光の速さでライデンを振り回します!!しかし奥田選手は2本あります!確実にガードしていきます!!」
「ハルト君!!少し落ち着いて!焦る気持ちは分かるけど!もう少しチャンスを伺って!!」
「、、、白石さんここはチャンスだと思います!」
シュッシュッシュッシュッシュッ!!!
ミヤビに引っ付くようにライデンを振り回す。ライデン同士ならどっちが先に刃を折れるかのれ一騎討ちだ!!ミヤビの刀が2本あろうが関係ない!
「ハルト君一回引いて!!このままだと奥田君にペース崩される!!彼の思うツボよ!!」
するとミヤビが2本のライデンを使ってXの字に真空波を展開。僕は何とか彼の頭上を横回転ひねりしてかわしていく危なかった、、、
「ハルト君一回深呼吸!!彼は一歩も動いてないよ!!できるだけエネルギーを消費しないようにしてる!」
こっちも様子を伺ってみると、、、ミヤビは全く動かない。これはやつの作戦か??
「ハルト君!!奥田君ABD起動制限時間予想!!残り10分!!」
「なんで全く動かないんだ??」
「騙されちゃダメ!!彼の作戦だよ!!!」
「でも!!!この時間に攻撃しないと!!ミヤビは時間が経つたび強くなっていく!!」
「そうだけど!!落ち着いて一回考え直そう!!」
「いや僕は行きます!!」
僕は自分の判断で白石さんの命令を無視した。絶対この隙に攻撃しなければ!!ニューディールを使わせてでもダメージを与えなければ!!そっちが彼の思う壺だ!!
「システムオーバードライブ!!!」
僕は白石さんの無許可でシステムオーバードライブを起動!!拳を握りしめて今畳みかける!!
「ハルト君!!!システムオーバードライブは早す!!プツン、、、」
白石さんが耳元でうるさいので通信機の電源を切った。腰をひねり出して空中でミヤビのライデンを避けていき彼の右腕から右肩にまで一刀両断!!ミヤビは右手のライデンを落としてしまう。今だ!!
「エネルギーエミッション!!!!」
彼の腹に思いっきりパンチした!!!!
ズゴーーーーーーンンンン!!!!!!!!!!
「ああああああ!!!三木選手!前半で終わらせるためか!!!!システムオーバードライブを展開!!強すぎる!奥田選手の右手は昨日停止!さらに腹を強打!!ここで決着ついたか????」
「プツン、、、どうして電源を切るの????ほら!活動停止まで残り1分弱!!!」
「白石さん、、、見てくださいよ、、上手くいったと思いませんか、、、はぁ、、」
砂煙から大男の影が、、、、
「やるな、、、ミキ。もう少しで死ぬところだったよ、、、」
「嘘だろ????」
「ニューディールに時間は関係ないんだ!!エネルギーが存在する限り無限にできるんだよ!!」
彼の右手に持っていたライデンは消えてなくなりミヤビの腹や右腕は完全に再生してた、、、




