<第30話> 勝利を導く光
僕は佐野カイセイ戦でも使った緑の3本線の入ったかっこいい戦闘服に着替えて自分専用のロッカーにあるABDシステムオーバードライブをバックに詰め込む。さらにスプレーで黄緑色に髪を染めるのは諦め1階の出撃ゲートへ向かった。
エレベーターが開くと目の前に白石さんとエリザベスが先にゲートエントランスにいる。僕の存在に気付いた白石さんがこっちに向かって走ってくる。その勢いのまま僕の胸に飛び込んできて耳元に囁く
「ハルト君、、、帰ってきたら絶対パーティしよ」
白石さんの体は暖かくてとてもいいにおいがする。石鹸とか果物とかそういういい匂いではない。嗅いだこともない不思議な匂いだ。ずっとこのままでいたい気持ちすらなる。この時白石さんのこと気まずいとかそんな思いはいつの間にか吹っ切れてしまいお互い自然とコミュニケーションができるようになっていた。
「絶対帰ってきますから、、、」
僕は白石さんに一言だけ伝えて離れた。エリザベスが
「そろそろ行くぞ」
僕はその後ろにある黒いバイクの後部座席に乗り込んだ。光沢のあるきれいな黒なのだがその横には青いタンクを3本積んでいる。エリザベスが前に座り僕がエリザベスの腰に手を固定した。
「青いタンク何ですか??」
「うちらの小隊のエネルギー補充用だ」
そしてエリザベスはバイクにエンジンを掛けて急発進してアブトルを出た。
その途中後ろを振り返ると僕がいなくなるまでずっと白石さんが見守っていてその顔は泣いているようにも見えた。
クソなんだよ!とりあえず白いビーム野郎は3人で倒したけど今度現れたのはまたあの殺戮マシーン新型だよ。こっちを見てニヤニヤしている。俺の使える刃が残り2本しかない、、、とりあえず剣に変形して戦うしかない、、できるだけ時間を稼いでエリザベスが来るのを待つか
「佐倉君!!こちら新座、現在エリザベスがジョウホクに向かっている。三木君も一緒だ!」
おい嘘だろ!!準隊員のミキがここにやってくるってそんなの無謀だろ。あいつが戦える敵じゃねぇーぞ!!
「おいミキがこっちに向かってるらしいぞ!」
「ミッキーが??本当に??」
とりあえずミキとかよりもこの新型を倒す方法を考えなければ、、、あいつナナミのほうを向いている。ヤバい!!足にエネルギーをため込んでいる!
「危ない!!」
俺は前進してやつの頭に向かって斜め上から剣を振り落とした。あいつは瞬時に気付いて自分の腕で攻撃を持ちこたえる。力が強い!どんどん押されていく!
そこですぐさまマイがパルサーを入れて後ろから弾を入れる!いいぞやつは後ろの堅い両羽を使ってガードしている。これで4本全て使っている!いけるぞ!
真上にナナミがテレポートして思いっきり槍を投げた。やつの頭の真上に落ちたのだが、、、嘘だろ??パルサーを自力で跳ね返して両羽を使って槍を受け止めたんだ。あいつは自力で手に入れたナナミの槍を使って僕の太もも辺りを軽く切り刻んだ。
「カイセイ!!」
ナナミはアビスの槍の能力で新型から自分の手元にテレポートさせた。
「ゴメン!!私パルサー、アンドロメダどっちもエネルギーがない、、」
「俺もだめだ刃全てダメにした、、」
「、、、、クソッ!!」
もうこれ以上戦えない、、早く来てくれ!!
「こちらエリザベス。今6番街に到着。そっちへ向かう!!」
ヴンヴンヴンヴヴヴヴーンン!!
積み重なる瓦礫の上から飛んできたのは漆黒のバイク!エリザベスのバイクだ!!その後ろにはミキが乗っている!!
「ミッキー!!!」
着地するとドリフトをかけてバイクから降り横に付いている青いタンクを3人のいる方向に投げてきた。
「エネルギー持ってきたぞ!とっととチャージしな」
俺は青いタンクをすぐABDのチャージ口に突っ込んでエネルギー回復させる。
ジョウホク、、、モニターで見るときよりも実際は絵に描いたような地獄で5年前のあの事件を思い出す。僕の家は跡形もなく破壊されていて地面にはごみの塵さえも落ちていない。もうここには当分人は住めないだろう。そんな酷い有様だ。目の前にいるのは見たことない、、、あれがエリザベスの言っている新型か
「新型2人で殺すぞ!」
「分かりました!」
エリザベスに先行けと言われたのでライデンで真空波を出して様子を見た、、、が動きが段違い普通にかわしてくる!!こいつは他のジュウシンと違って知能を持っている。完全に人間を参考にして作られたジュウシンだ。
「ハルト君真上!!」
オペレーター白石さんからの通信だ。気付いた時に新型は真上にいて手についている刃を下に向けていた。その時!!
「ABD起動!!!」
エリザベスがABD起動を宣言!持っていた黒いベルトを腰に巻きそのABDは黄色く輝きだした。そしてエリザベスの変身後武器を持っていなかった。
「おいおい。調子に乗るなよ新型が」
そう言って左手から黄色い細長い棒を持ってそれを横に振ると、、、地面から黄色い筋が何本も現れそれが枝分かれして地面を突き抜けて空中を舞った。しかもその光の筋は敵を追尾するホーミング機能も付いている
新型はあまりのその数に僕の前から離れてその筋から逃げることで必死だ。
そして両手から黄色く輝く弓を作り出して弓の弦を勢いよく引っ張ると弦の中央部分に矢が生成されてエリザベスが新型に標準を合わせている。
「遠距離に対応できない!雑魚が出しゃばるんじゃねぇよ!!」
エリザベスが逃げる新型の動きを予測して「ここだ!!」と矢を放つと矢はまっすぐジュウシンの所へ飛んでいく。逃げるので必死な新型はまっすぐ矢が飛んでくるのにも気づかず腹に刺さり黒い体はかけらも残さず砕け散った。
僕はエリザベスのABDの強さに思わず見とれてしまった。恐ろしいのはエリザベスはABDを起動して一歩も動いてない。なのにあの強さだ。1801小隊がやっと3人で倒せる敵なのにエリザベスがたった1人で、、、
すると3人がエネルギー回復が終わりこっちにやって来た。
「ミッキー!マジでここ怖いよ、、、」
ナナミが僕に抱き着いてきた。ナナミの言う通りここは恐ろしい。ジュウシンがどんどん出てくる。
「引き続き3人は6番街のジュウシンを倒しなさい」
「ミキ!あんたは私と一緒にセントラルクロスに行ってキングを倒しに行くぞ!」
「了解!!」
僕とエリザベスは3人と別れてバイクに乗り崩壊したバリケードを潜り抜けながら奥へ進む
「ハルト君。無理しなくていいからね。自分の命を1番大切にして」
白石さんからの心配の声だ。僕は覚悟を決めジュウシンの核が存在するキングのいるであろうセントラルクロス中心部へ向かった。
セントラルクロス中心部
エリザベスと僕が目にしたのは1番街から8番街に繋がる大きな交差点のど真ん中に砕けたアスファルトのかけらやそこらの瓦礫を積み重ねてできた椅子にたった1人で座っている不思議な光景だった。座っている人の姿は黒髪色白で何かに怯えている幼い顔をした少女だった。
タイムリミットまで残り30分




