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<第29話> 決断・対立

僕は地下3階のモニタールームでジョウホクの様子を見ていると1801小隊の前に現れた3体のジュウシン。そしてみんな絶望的なエネルギー量の中でなんとか3体倒してもまだ2体いる。他の隊を見るとジュウシンの攻撃を思いっきり食らって小隊が撤退していたり4番街はジュウシンによって制圧されていたりとアブトル軍はジュウシンに押されていてジョウホクを囲む有刺鉄線が崩壊するのも時間の問題だった。



「僕はどうすればいいんだよ!!」



5年前カドガウラに住んでいた頃、小学4年生が目にしたものは鋭い牙を見せてよだれを垂らす悪魔「ジュウシン」あいつは僕の家族、故郷、、、そして友人、、、、友人!!!



その瞬間!忘れかけていた友人を思い出した。いないにも関わらず僕の耳から声がするし目には映らないものの何かが僕の目の前に広がりだした。



「ねぇねぇ、、シン!僕はどうしたら、、シンみたいに強くなれるのかな??」



「ハルト!本当に強いやつっていうのは自分の弱さを知っていることだ。強くなっちゃた奴はいつの間にかそんなことを忘れちまう。身の回りに困っている奴がいたらそいつを助ける。弱い人を全力で守ってあげる。強くなりたくてなるものではない。人の優しさにたくさん触れ合うことでいつの間にか強くなっているものだ。絶対に強くなったからって弱いやつをいじめたりするな。お前にはそうなって欲しくはない、、、、」



その友人はカドガウラの悪夢によってもう2度と会うことはなくなってしまった。あいつはいい奴だった。僕が地元のガキ大将みたいなやつにポコスカ殴られてめそめそ泣いているといつも「どうしたんだ?」って声をかけてきて僕の味方になってくれて一緒に喧嘩しに小さなガキ大将みたいなやつに飛び込んだよな。



「なぁお前ならこういう時どうするんだよ、、、」



いないやつに向かって急に僕は話し始める。僕には何かが見えちゃっているのだ。それだけ追い込まれていたんだ。



「どんなに周りが間違っていると言ったとしても俺が正しいと思ったら絶対戦う。後から何と言われようとも関係ない。未来を変えられるのは今しかないんだよ」



その瞬間僕の目の前にはエリザベスが映りこんでいる。あの時の教室で言っていたエリザベスが何度も何度もフラッシュバックされる。なぜだかうっすらと輝いている。分からないどうなっているんだよ!!



すると急に僕の過去が秘められた記憶の中で再生し始める。



僕はジョウホクで5年間1人で暮らして地獄の日々を送り。あの鋭い牙を持つ悪魔と再会してその時にエリザベスに助けてもらい。最初上手く馴染めない新生活も白石さんのおかげで。あれだけ複雑な思いをしていた学校も佐倉カイセイとのバーテックスなどを通して最高の仲間に出会えた。



僕がいて。いや僕がいたからこそ環境や世界が変わったんだ。今ここで諦めてどうする!今からでもまだ間に合う!今なら大嫌いな故郷や大切な友達だって守れる!この手で未来を変えて見せる!!



僕はモニターの電源を消して扉を開け全力疾走で演習ルームの通路を走っている。



「ミキなんかあったのか??」


竹下が声をかけてきたが



「今やるべきことがあるからゴメン!!」そう答えると



「、、、やっぱりあいつならそうすると思ったよ、、、」と竹下がボソッとつぶやいた。



エリザベスがいるのは多分指令室。そしたら3階だ!僕は地下3階ロビーを狂ったように走って行きエレベーターに入ると何回も3階のボタンを押した。早く到着しろ、、、急げ、、、




3階に到着。3階に着くとアブトル1大きいスクリーンがある。今はジョウホクの様子を生中継されていてそこに移っているのはジュウシンの攻撃によってたくさんの建物が破壊されていく酷い有様だ。そんなんに構っている場合じゃない僕はロビーの受付に



「エリザベスに会いたいですけどどこにいますか??」



「エリザベスさんはですね、、、取り込み中ですよ?連絡でしたら私から伝えときましょうか?」



「結構です!!時間がないんで失礼します」



ダメだ普通に考えてエリザベスのいる指令室のいる場所なんか教えてくれるわけがない。



僕はエントランス奥にある指令室に繋がるゲートへ向かった。名札をゲートにかざしたって通してくるわけがない。僕は迷わずゲートを飛び越えてその先に行こうとすると



「指令室に侵入者を検出。反逆者の可能性あり」



真っ赤なサイレンが周囲を照らし始めて僕を捕まえに10人くらいの大人が追いかけてきた。僕は目の前にあったモニターでエリザベスのいる部屋が第4指令室だということを確認してそちらに向かって全速力で走る。



「1」


あの追いかけてくる大人たちはプロなので足がものすごく速い。このままだと追いついてしまう!!僕はABDを装着してできるだけ出来るだけ足を速く動かして距離を縮められないように逃げる



「2、、、3、、、4!!!」



僕は第4指令室に立ち止まる、、、が扉には1から9までの数字が書いており4桁のパスワードを入れなければならない。やばい追いかけてくる!!



「1673!!」



「パスワードが違います」



「3482!!」



「パスワードが違います」



「5061!!」



「パスワードが違います」



「クソ!!」



左を向くと目の前には10人の警備隊がいた。そして警備隊は4人で僕の両足と両手を地面に固定して動けなくさせた。


「お前!!武器は持っているのか!!」


「離せ!!離してくれよ!!!」


僕は必死に抵抗しようとしたが大人に完全包囲されていて身動きが取れない、、、、



ウィーーン



「うるせーな!!!こっちは集中してんだよ!!少しは黙ってくんないかな!!!」



エリザベスが出てきたなぜか赤色の戦闘服を着ている。



「え?なんで。あんたがここにいるの?」



「、、、あんたらとっとと散りな。こいつから離れなさい!!」



エリザベスが強く言うとと警備隊が「すいませんでした」と返してその場からいなくなってしまった。




するとエリザベスは第4指令室に僕を案内した。ここはいかにも暗い感じの何台ものパソコン、巨大なスクリーンとまさに軍事の中枢を担うと言ってもふさわしい場所だった。



「あんた何の用でここに来たの?」



僕はエリザベスを睨みつけて



「僕もジョウホクに行きたいです!!!」



「それを言うってことは準隊員のあんたにこれからやってくる罪をある程度覚悟していることでいいんだね?」



「、、、分かってます!未来を変えるためには今を変えるしかないんで!!」



「、、、、、分かったこいつもジョウホクに連れていく。白石オペレータやるか?」



白石さんが切羽詰まった顔で



「エリザベス先生!!何を言ってるんですか!!ハルト君は準隊員ですよ!いくら優秀な隊員といえどもルールがある以上出撃させちゃいけないですよ。ハルト君の命だって危険なんですよ!死んじゃったらどう責任を取られるんですか??」



「、、、、、白石!!本当にこいつのためを思って言っているのか??こいつはバカじゃねーぞ!!ある程度死のリスクやこれからやってくるペナルティ全部腹をくくるって言ってんだぞ。お前が三木ハルトのためを思ってるんだったらこいつの意見を尊重して出撃させるべきじゃねえのか!!ルールとか準隊員とか責任とかそんなの関係ねぇーんだよ!お前が三木ハルトをどうさせたいか決めるんだよ!!!」



「私だってねハルト君を出撃させたいですよ!!でもルールは守るもの。これからのことを考えてハルト君を出撃させるべきではないと思いますけど!!」



「クソが!!!、、、そうミキ言われてっけどジョウホク行くのやめるか?」



「、、、止めません白石さんに反対されても僕は行きます」



するとエリザベスが笑いながら



「おい白石。オペレーター失格だな。担当隊員の心も動かせられない!お前2種免許から取り直してこいよ!」



「、、、、あなたのそういうところ大っ嫌い!!自分が全て正しいとか思ってて人の弱い部分に付け込んで周りにその価値観を強引に押し付けてくるのマジでウザいですよ!!」



白石さんがこんなに怒っているのを始めて見た。



「まぁまぁ熱くなんなよ。結局どうすうんだよ??こいつのオペレーターやるのか??」



「、、、やりますよ。ハルト君が大けがでもしたら私はあなたのこと一生恨みますから」



「、、、10分後にはアブトルを出るぞ。それまでに準備するように」



僕は急いで戦闘服に着替えて出撃の準備をした。

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