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<第25話> すれちがう心

誰かのために、、、誰かのために、、、



心の中でずっと叫んでいる。僕はずっとナナミには分からないように表面では笑ってごまかしていたが僕の内側では葛藤し続けていた。



すると次の授業のチャイムが鳴り始めた。



「ミッキー!そろそろ行こう!!」



僕はナナミに手を引かれたままに教室に戻っていった。





放課後僕は地下3階で演習ルームに入らず目の前のベンチに座っている。



「ミキ?最近来てないみたいだけど練習はどうしたんだ?」



そう言ってきたのは竹下だ。竹下も準隊員でジョウホクのジュウシン討伐作戦に参加できない。彼ならその苦しみ分かってくれると思って



「実はさ竹下、、、、、」



「そんなことでへこんでるのかよ。俺もお前と同じで作戦に参加できないけど次回同じような作戦で活躍できるように今人一倍頑張っている。ミキも佐倉カイセイ戦の時そうだったろ?ミキ!今一番頑張らないと強くなれないぜ!」



竹下はどんな時でも前向きに考える。そして本当に僕のことを心配している。戦ったことはないが仮に竹下より僕のほうが強かったとしても彼のほうが人としての強さは僕よりもずっとたくましい。僕は彼のその地道な努力に尊敬の気持ちを持った。



「ありがとう竹下!今日用があってじゃあ行くね!」



「お前明日には絶対に演習ルームに戻って来いよ!」



僕は竹下に言われたときふとあの人の言葉を思い出した。



「、、、大人を信じるな!自分の正しいと思ったことを追求しろ!!」



エリザベスだ。先生だったらどういうことを言うのだろうか?僕は先生のところに行くべく職員室に向かった。



「エリザベス?彼女なら教室にいるよ」



職員室にいた他の先生に聞いてみるとどうやら教室に残って今回の作戦についていろいろ整理しているらしい。エリザベスは暗くなるまで職員室に来ることなくたまに作業をしていることがあるらしい。僕は急いで彼女のいる3年1組に行った。



教室に着くとほのぼのとさしているオレンジ色の夕焼けがきれいに輝いていてその光が花びらに反射していて薄暗い教室に明かりを灯しているようにも見えた。その奥に椅子に深く腰掛けた先生の姿があった。



「先生!!」



「あんた何の用よ?宿題持ってきたのかしら」



「違う!聞きたいことがあって!」



「、、、どんなに生死に関わる危ない状況でも、どんなに周りからお前は無理だと言われ続けても、大切なものを守るためだったら戦いますか?」



エリザベスは僕の質問を聞いて黙り込んだ。僕はエリザベスの目をじっと見つめてエリザベスの返事をただ待ち続ける。するとエリザベスが立ち上がるその瞬間カーテンがひらりと揺れ夕日が教室中を照らし始める。



「、、、何回も言わせんなよ。世界中のやつらがお前のやり方を間違っているとほざいても自分が正しいと思ったならば自分を信じて戦うべきじゃねぇのかよ。例えそれが大切なものを守るためだったとしても」



そのセリフは出会いの時と言っていることは変わりない。だがエリザベスの言葉を聞いても気持ちが晴れることはなかった。どうしても心の中には使命を背負って戦わなければいけない、そして白石さんやナナミは誰かのためと言いつつも自分のためなんじゃないか。考えれば考えるほどわけが分からなくなってくる。エリザベスの言葉は僕の気持ちには少し届かなかった。



「作業があるから用がないなら出てくんないかな」



僕は礼だけ言って静かに教室を後にした。




特に何もすることはなかったので地下3階に再び戻り藍田塾に久しぶりに行ってみる。白石さんの席には誰もいなく隣には佐倉カイセイのオペレータがいる。


「ミキ君この前の試合ありがとうございます!」


 髪はワックスで固めていて少しカールになっている。少し大きめな眼鏡をかけていて灰色のきっちりとしたスーツ。佐倉カイセイのオペレータ名前は新座って言うらしい。



「私は新座って言います。佐倉君のサポート担当をしている者です」



僕は軽くお辞儀をしてエントランスを抜けた。藍田塾の奥には大きな書斎がありジュウシンの知識をまとめた本などがたくさん置いてある。そこに佐倉カイセイがいた。



「ミキ何の用だよ。お前には関係ないはずだろ」



「暇だから来たんだよ」



佐倉カイセイは忙しそうに僕の言葉に返事をせず本を熟読している。彼の読んでいる本はジュウシンの生態についてまとめた記録であった。僕は彼の本を読んでいる姿を見て佐倉カイセイの言う通り一般で入って舐められたことが悔しくて自分なりに最大限努力して今の地位にいるんだなと思った。僕は佐倉カイセイの周りでじろじろ見ていると思われたくはないので今日は帰ることにした。



家でTVを見ていると玄関から鍵を回した音がした。白石さんが帰って来たのだ。白石さんは「ただいまー」と言って僕は何も返事しない。白石さんは帰ってすぐリビングに向かいテーブルに置いてある風呂敷を開いてない弁当を発見した。白石さんは感情を表現することなく弁当を台所に運び中身をごみ箱に捨てぞれ以上何も言うことなく夕飯を作り始める。たぶん僕が白石さんの期待に応えられないことを理解して嫌いになったんだろうそう思わざるおえなかった。



初めて夕飯を食べながら何も話さない時間を過ごした。僕は少しやさぐれた顔で「ごちそうさまでした」といってすぐ自分の皿だけ洗いそれが終わると風呂も入らず布団を持っていく準備を始めた。



「、、、お風呂には入って」



白石さんがそう言う。複雑な気持ちを抱きながらも風呂には入る必要があると思ったので風呂に入りソファに布団をしいた。



僕はソファに寝転がり電気を消して天井をじっと見つめる。結果として白石さんをリビングから追い出してしまった。真っすぐ眺めているとスーッと目が閉じていき気付いたころには暗闇が映りこんでいる。







ハルト君が寝たことに気付くと私は自分の寝室からリビングに入っていき明日のメモと台所に置いてあった弁当をテーブルの前に置いた。ハルト君が最近練習していないのも私が強く言ってしまったからでハルト君に嫌われちゃったのかなとずっと考えてばかり。明日分のメモ書きの内容を書くのに2時間かかってどうやって言えばハルト君を傷つけないか。ハルト君と前みたいに仲良く話したい!そういう思いで書いてみたけど、、、、私はただただハルト君が心配。




ハルト君と私はこういう状態でその後2日以上続いた。その間にはジョウホクのセントラルクロスには特設型のバリケードが設置され第1防衛ラインから4までの要塞を前日深夜に建設することに成功した。1801小隊を含め全小隊は最終調整に入り前日には現地に行ってどのような立ち回りで行うか完全シミュレーションで総合演習を行った。



とりあえずやることは全てやった。後は当日どうなるのかそれは明日になってみないと分からない。ハルト君と仲直りしたい気持ちでいっぱいだけどその前に私にはやるべきことがある。仲直りはジョウホクの作戦終わってからでもいい。





私は明日のジョウホクジュウシン大規模討伐作戦に備えて早めに寝た。





タイムリミットまで残り14時間

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