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<第24話> 誰かのために

「これよりジョウホク防衛及びジュウシン討伐作戦の作戦内容を説明する」



エリザベスが2階第7会議室で1801小隊と白石さんを集め会議が開かれた。



「、、、私たち1801小隊はジョウホクの4番街を通りそこにまっすぐ出ている優先道路をジュウシンがその先に行かないように防衛。それが完了次第中央のセントラルクロスに行きジュウシンたちの中枢を担うキングを倒しに行くぞ」



「ジョウホクってどういう町構造になっているんですか?」



河野ちゃんが質問する。



「ジョウホクは図にある通りセントラルクロスを中心に放射状に大きな道路が8本伸びていてその大きな道路の間にそれぞれ1番街から8番街まで名前が付いている。道路の近くやセントラルクロスに近ければ近いほど住人は多く住んでいてたぶんスポーンは人の多いエリアで行われるだろう。セントラルクロスから離れるにつれてごみが違法投棄されている土地が多くなってく。あんたたちもわかっているだろうが3番街はもともと工場地帯であったが事故によって一部陥没状態になっている。私たちの攻略する4番街は特に違法居住する住宅地が多く存在し住んでいる人が多いから注意しなければならない」



「ジュウシンの数はどれくらいなんですか?」



佐倉カイセイが聞くと


「今のところ何体いてどんなタイプのジュウシンが出現するか分かっていない。もしかしたら新種の可能性も高い覚悟するように」



「とりあえず何でもいいから全部倒せばいいんでしょ?話つまんないですけど」



ナナミが言うと会議が一瞬凍りつく



「、、、じゃあ今日の会議は終わりにする。5日後まで演習ルームで仕上げてくるように」



エリザベスが会議を終了の宣言をする。関係者は立ち上がりそれぞれの場所へ散っていった。




僕は演習ルームで練習するやる気さえ失ってしまい今日は放課後早くアブトルから出た。大嫌いな故郷が滅ぼされる様をモニター越しで見なければならないのはとてもつらかったからだ。自分は何もできない。



今まで自分を信じ自分のために戦ってきた。ちゃんと頑張ればそれなりの成果を得られて自分自身少しづつ成長していく過程を感じることがある。だが今更頑張ってもジョウホク戦に参加することができないし奥田ミヤビとの試合だってできない。率直に言うとと今の目標を失ってしまったのだ。目標があるから頑張って来れた僕にとってこれ以上つらいことはない。



僕は自宅で電気をつけないままソファの上で三角座りしていると電気がぱっとついて



「ミキ君どうしたの??」


白石さんが僕に話しかけた。でも僕は白石さんの声に振り向かずただ1点を見つめている。



「具合悪いの??それともなんか嫌なことでもあったの?」



「、、、何でもないです」そう言うと白石さんが近づいて



「何があったの?ハルト君が言うまでここから離れないから」



「、、、白石さんのそういうところウザいですよ」



「嫌われてもいい!それでも私はハルト君が言うまで離れない」



「、、、僕をほっといてくださいよ」



「ほっとけない!私はハルト君の担当なんだから!」



「、、、僕の担当だったら今の気持ちわかりますか!!僕の気持ちを第一に考えるんだったらほっといておくのが一番でしょ!!所詮サポーターなんだからこれ以上僕の気持ちに踏み込んでこないで下さい!!」



僕は白石さんに怒鳴りつける勢いでものすごく反発した。それに対して白石さんが下を向いてる顔の顎を持って目と目を無理やり合わせてくる



「いい?最後の言葉にするからよく聞いて。ハルト君は自分自分のためって言って何かに対してずっと努力し続けてる良い一面もある。その反面自分自身で閉じこもったり誰も信用できなくなっちゃたりすることが今まで人生のうちに何回かあったと思うし今がその時だと思う!!」



「ハルト君!誰かのために戦いなさい!!私のためじゃなくていいから自分が命を懸けてまで必死に守りたい人のために武器を握りなさい。私はそうやってもし誰かに裏切られる可能性があっても最後まで信じて守り続けた。人生のうち何回も裏切られてそのたびに人間不信になる。でも私が一生をかけて信じられる人を長い人生の中で見つけるまで私は探し続けるよ」



白石さんは持ち上げた顎を下ろして僕の前から立ち去った。僕は白石さんの言葉を心には刻みまれてはいたがどこかでそんなことはないと未だに反発している。



僕と白石さんはその後一言も会話せず夜を過ごしソファの上で寝た。




朝になって起き上がるとテーブルの上にはちゃんと弁当が置いてあった。そこのメモ書きには



「言い過ぎちゃってゴメン!」



と書いてあった。白石さん的には仲直り?(喧嘩した記憶はないけど)がしたいのだろう。僕は白石さんと仲良くしたい特に思うことなくメモ書きをゴミ箱に捨て弁当を持っていかず制服に着替え家を出た。





お昼休みに売店で買ったパンを食べているとナナミから呼び出されて学校の屋上に案内された。



「ここって立ち入り禁止じゃないの?」



「ミッキー真面目すぎー。そういうの気にしなくてよくない?」




「、、、ね。聞いてミッキー」



その後ナナミが言ったのは4日後にあるジョウホクにジュウシンがやって来る話だった。どうやら昨日会議があったらしく作戦の説明があったらしい。



「、、、私その会議で全部倒せばいいでしょとか強気なことを言っちゃったけど本音は怖い。何体来るか分からないジュウシンに立ち向かう恐怖。1体でもやばいのに、、、ミッキーならわかるでしょ?」



「あぁ」


そしてナナミが近くに来て僕の手を握りこう言ってきた



「もしかしたらその作戦で私死んじゃうかもしれない、、、もし私が死んじゃったら代わりにイチゴを探してほしい。あと作戦に行く前にミッキーとハグしていいかな?私にとってミッキーは人生を楽しくしてくれた大切な人だから。最後はミッキーに見送られて戦いたい」



僕はあの時のセリフの記憶が蘇ってしまった。「誰かのために、、、」「誰かのために、、、」ナナミも白石さんも自分の命が懸けられるくらい信じている人を探し続けている。僕はずっとずっと自分のために、自分のために、両親がジュウシンに殺されたって言うのを言い訳にして結局自分のために戦ってきてた。



誰かのために戦い続ける。



これが今の僕に一番足りないことであり。一番今の僕に求められていることだと全て理解した。




だが心の中で葛藤し続ける。誰かのために戦って最後裏切られて結局信じられなくなる。自分の身を捧げるってことはウラを返せば好き放題されてもいいってことだ。僕だってもともとは誰かを信じてきた。その気持ちだってわからなくもない。だけどその言葉が言えるのは裏切られたことがない人が言うセリフだ。



「ナナミ。約束するよ!」


「ミッキー。ミッキーを私は信じているからね」




僕は一応ナナミに返事をして心の中で張り裂けそうなくらい複雑な感情でいっぱいいっぱいになっている。







タイムリミットまで残り98時間

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