<第22話> 迫りくる恐怖
僕がナナミと楽しく会話していると授業が始まった。僕は自分の席に戻りエリザベスが来るのを待っている。すると隣の河野ちゃんが、
「え??いつの間にナナミちゃんと仲良くなってるの?」
「もしかして、、、付き合ってる??」
「そんなわけないだろ。ただの友達だよー」
「ふーん、、、向こうはどう思ってるかなぁー??」
そうするとエリザベスがやってきて朝の挨拶をして、、、出席確認に入る
「ナナミ!!朝早くにいるなんて珍しいな。昨日良いことでもあったんか?」
ナナミは当然のように無視をした。クラスメイトはある程度勘づいているから少しニヤニヤしている。
「今日は朝から全員出席。これが毎日続くといいんだがな」
エリザベスは一言生徒につぶやいて朝の連絡は特になくホームルームは終了した。
休み時間の時クラスメイトの男子に僕の名前を呼ばれて
「お前あの試合の後クイーンビーとなにがあったんだ?あいつなんかすっかり変わっちまったけど」
「特に何も?」
「そっかー。あいつもクラスメイト内の一人だしな。仲良くしといたほうがこれからのこと考えると、、、」
彼の言う通りだと思う。ナナミも一人のクラスメイトだ
「ミッキー!!私の友達紹介するよー!!」と言ってナナミに強引に手を引っ張られる。
「あの人ミッキーのお友達?」とナナミに聞かれ
「そうだよー」
「そーなんだ!ミッキーのお友達とは仲良くしないとね!」
彼女も少しづつ明るくなっているように思えた。
彼女の友達はクラス外の生徒で年齢もバラバラ。ナナミと同じように体が細く顔が少し派手でおしゃれに敏感な女の子だ。いつもこの4人組で行動しているらしい。ナナミからミッキーと聞いて友達たちは大喜びをして僕を歓迎してくれた。
今日の1時間目は社会。経済の仕組みという内容だ。担当は木崎ってやつであいつの話し方はとにかく眠くなる。僕は授業の内容が頭に入らず退屈そうにあくびをしていると河野ちゃんが
「ほらほらミキ君!呼ばれているよ」
「は、はい!」
クラスメイトがみんな僕のことを見ている。やばい、、、怒られたらどうしよう、、、。
「ミキ君。外国との経済の取引において円の価値と相手国の通貨の価値のバランスを保っているものを何て言うのか?」
僕は何が何なのかわからずぼーっと突っ立っているとナナミがこっち向いて口の動きで「え」「ん」「ど」「る」って聞こえて
「えんどるですか?」
「おいミキ今まで何の話を聞いてたんだ!!」
教室じゅう笑いに包まれていた。僕は「騙したなっ!!」とナナミを睨みつけたが、当の本人が手を机に叩きつけながらクラスで一番大爆笑している。笑いすぎて涙も溢れている。すると左の男子が笑いながら
「クイーンビーを信じたらだめだぞ、あいつクラスで一番頭悪いんだよ」
僕はすぐに椅子に座り恥ずかしくなって顔を伏せた。こうして社会の授業は終わったのだ。
「ミッキー?最高に面白かったよー!あれ怒ってる?」
「ナナミに二度と勉強について聞かないからな。勉強できないならアドバイスするなよー困ったら河野ちゃんに聞くから」
「ミッキーにお馬鹿さんって言われてるみたいだけどミッキーが私にお馬鹿さんって言えるほど勉強できるのかしら?今度のテストで勝負してみる??」
「あぁ良いだろう。絶対負けないからな」
真剣な僕の顔と対照的にテスト対決ができてとてもニコニコしているナナミだった。
放課後河野ちゃんにアブトル2階のエントランス前に呼び出された。するとエレベーターのほうから河野ちゃんが現れて
「ミキ君ーー。待たせちゃってごめんね。行こう!行こう!」
そう言われ河野ちゃんの後ろを追うとエレベータには乗らず左奥に行き。すると4桁の部屋番号が書かれた扉がたくさんある。そして河野ちゃんが急に立ち止まった目の前の扉の番号は「1801」である。
河野ちゃんが自分の隊員証でドアのロックを解除して中に入るとそこは灰色っぽい部屋で6つのロッカー中央には巨大なテーブルがある。ここは1801小隊の隊員部屋だ。中でコーヒーを飲んでゆっくりしている佐倉カイセイがいた。
「カイセイーー!ミキ君連れてきたよ!」
「ありがとうマイ!」
「私はちょっと用があるからー」
河野ちゃんが隊員部屋を離れると佐倉カイセイが僕に近寄ってきて
「お前マイと仲良いと思ってるだろう」
さすがに嫌な予感がしたから
「そんなことないと思うよ、、ハハハ、、」笑ってごまかすと
「マイは誰とも仲良くする優しい子なんだ。お前だけ特別とか勘違いしないほうがいいぞ」
「つまり。河野ちゃんは誰とも仲良くするってことは。佐倉カイセイもその仲いい普通の友達っていいんだね?」、、、結構攻めた質問をしてみた
「俺は違う。見ればわかるだろ!こうやって放課後も一緒にいてただの友達だと思うか?」
「んじゃなんでナナミとは仲良くしないんだ?」
「それはマイと関係あるか?」
もう僕は佐倉カイセイに呆れて
「、、、もう僕にだけ素直に言っちゃえば?大丈夫河野ちゃんには内緒にするからさー。ただ単純に佐倉カイセイは河野ちゃんのことが好きなんだろ?だから最近やって来た転校生の話しかしない河野ちゃんを見て僕にやきもち焼いて個人戦を申し込んだ。そうでしょ??」
「、、、、んんぁあ、、そうだよ。分かってるんだったら勘違いするなよ」
「はいはい。勘違いしているのは佐倉カイセイじゃなければいいけどね」
すると河野ちゃんが戻ってきた。そこにはもう一人メンバーのナナミがいて
「ミッキー!!一緒にパーティしよ!」
といって部屋の冷蔵庫やカゴからたくさんのお菓子とジュースを取り出し。パーティの準備を始める。
そうして隣にナナミ、向かい側に河野ちゃんと佐倉カイセイが座り
「せーのっ!!乾杯ー!」
とみんなでグラスを勢いよくくっつけた。
「ミッキーが正隊員に入ったらここに来るよう私ひたすらエリザベスにお願いしとくから!!」
「私もするー!あれ?カイセイは??」
「、、分かったよ!マイが言うならミキを受け入れるよ」
僕は佐倉カイセイに向けて左口角を少し傾けた。そしてパーティで4人は会話をとても楽しんだ。
、、、司令塔に突然通信が入る
「こちら観測部です。ジョウホク付近にジュウシンらしき影を電波で察知、その数!!!ダメです!!エラーが出ています!!」
総指令室長と思われる男性が
「日時は予測できるか?」
「はい、、、日時の計算に成功しました。およそ160h、もって7日ってところでしょうか」
「確かジョウホクには地下要塞がない。これはイレギュラーなパターンだ。被害状況を計算してくれ」
「こちら技術開発部。被害状況予測をチャートで表しました。数が正確でないことから何とも言えないですがミカサまで侵入してくる可能性は大いにあります」
「これはジョウホクを滅ぼすしかないのか、、、広報部直ちにジョウホクに住む者に避難命令を!」
「広報部です。避難させようとするお気持ちはわかりますがその間の住居、戦闘後の住居をどうお考えになるのですか。ジョウホクにはシェルターはないんですよ??」
「じゃあ!!貴様ならどうする!!政府みたいにジョウホクの住人を見殺しにするのか??」
「仮にジョウホクの人たちに避難命令を出したとして政府はどうされると思われますか?政府はアブトルのことジョウホクの民を擁護していると批判して来ますしアブトルの善意でやった行動が陰謀論やテロ行為に結び付けるとこじつけのような事を言ってくる酷い集団ですよ!あの人たちはジョウホクの民を平気で捨てるような人たちです。さらに我々の評判が下がれば政府は私たちを攻撃してくる可能性も大いにあります!総指令室長もさすがにそこまでは理解していらっしゃいますよね??」
「、、、、わかったジョウホク市民には避難命令は出さない。何としてもうちの隊員たちでジュウシンを食い止めて見せる」
タイムリミットまで残り160時間




