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<第19話> システムオーバードライブ

授業は全て終わり教室の前扉からエリザベスがやってきて



「今日の授業も終わったな。この後ビックイベントがあるから楽しみだな!」



と言ってホームルームは終わり生徒たちはいつものように騒がしくなることもなく急いで教室を抜け出していった。今日のビックイベント新人の三木ハルトと正隊員佐倉カイセイが再び試合するとあって学校中で噂になっている。さらに佐野カイセイが半年ぶりに公式戦にでるため多くの人が注目していて1番大きい第1観戦ルームの倍率が3.5倍。予定より大幅拡張の第2観戦ルームまで開放するなど藍田塾でも歴史に残る看板戦になると期待されている。



僕は急いで学校にある男子更衣室へ向かいこの日のために作った戦闘服に着替える。上は鮮やかな青のパーカーに斜めに緑の3本線ストライプ。ABDが起動すると3本線が緑色に発光する。下は動きやすいジャージ素材の黒いズボン。靴はつま先からかかとにかけて青から緑に変わっていく特別な配色デザインで靴底は透明な緑という近未来なスニーカーだ。僕は身長が低いので少し厚底のスニーカーで身長を盛っている。右頬に緑色のペンで横棒の線を入れ洗って落ちる黄緑色のスプレーを頭に吹きかけることで黒と黄緑の奇抜な髪型が完成する。



男子更衣室から出ると目の前にはちょうど女子更衣室から出た白石さんが立っていていつもより整った化粧。Yシャツは青っぽくおしゃれな雰囲気をだしている大人の女性に仕上がっていた。



「ハルト君!いよいよだね!最高の試合にしよう!!」



「はい!絶対に勝ちましょう!!」



僕と白石さんは通信機が動いているか確認してその場で別れて僕は第3演習ルームに向かった。





「ナナミか。俺に何の用だ?」



ABDのメンテナンスをしている佐倉カイセイの前に現れたのは山崎ナナミだった。



「あんた。三木ハルトに手を抜くつもりでいるんじゃないでしょうね」



「大丈夫俺は正隊員だよ?あんな奴最後サイクロン使えば何とかなるだろう?そう思うだろ?」



「私はあんたに忠告する。その気持ちでいくと負けるよ」



「お前は??俺の何が分かる??」



「私の目を疑っているの?あんたが信じようが私には関係ないけど。じゃあ好きにすれば?」



「ちっ、、、」



そう言い山崎ナナミはいなくなってしまった。あいつはミキの何を知っているのか、、、佐倉カイセイはオペレータの黒いスーツの眼鏡男と合流して最後の確認を行い第3演習ルームに向かった。





ハルトが地下3階に着くと演習ルームに行く道にはたくさんの人が出待ちしていた。僕の姿を見て「お前は負ける!」とか「佐倉カイセイにボコボコにされるのが楽しみだ」など様々な罵倒が多く飛び交っているなかにも「ミキ君頑張って!」と応援する声もちらほら聞こえる。



すると後ろから出待ちしていた女子たちが「きゃーーー」と騒ぎ出した。どうやら佐倉カイセイみたいだ。彼の姿は以前のジュウシン討伐作戦とは別の戦闘服で黒のM&1に右腕の腕章にたくさんのバッジ。ズボンの横が赤色で製作ブランドのロゴが入っており服のいたるところにスポンサーの名前が入っていた。



トッププレイヤーは1流のハリウッドスターみたいなもの。ファッションリーダー兼カリスマ性を持ち合わせ様々な企業の広告塔でもある。佐倉カイセイもその一人で彼がそこを通るたびフラッシュがたかれ女子の歓声が大きくなっていく。これがバーテックストッププレイヤーか。



彼もそこを通るのがやっとで第3演習ルームになんとか入ってきて部屋中に爆音のBGMが流れ始める。



「バアアアアアテッッックススの時間がやって参りましたああああああ!!5月25日!!!そろそろ梅雨に入ろうとしているこの時期にどの場所よりも早く夏を迎えちゃうくらい熱い戦いがこのアブトルにやってきそうです!!実況は第1観戦ルームから私放送部足立コウスケがお送りします!!今回はオペレータあり1本勝負の公式戦でおよそ半年ぶりの出場!変幻自在に武器を操りその華麗な手さばきで相手を翻弄し続ける「サイクロンブレーダー」佐倉カイセイ!!!入学2週間足らずでABDを手に取り勝負に出た「期待のルーキー」三木ハルトだ!!どんな展開になるのか全く想像できません!バーテックス5月25日公式戦まもなく試合スタートです!!」



実況のアナウンスが始まると左耳が通信機に接続して白石さんの声が



「ハルト君?緊張してる?今まで通り戦えばいいからねー」



「はい。分かってます」そう答えると佐倉カイセイが



「新しいABD??そんなおもちゃで俺に勝てんのか??」



「おもちゃか判断するのは試合始まってからにしてくれる??」



佐倉カイセイが「2週間のくせに生意気だ!」とほざくとアナウンスが入り



「戦闘開始まで残り3分ABDを起動してください」



佐倉カイセイはABDに電源を入れエネルギー噴出口や高エネルギー機関が赤く輝き始めている。



「なんだよミキ??ABD起動しないのかよ?そのパフォーマンス最高にダサいぞ!」



「僕は使う時が来るまでABDは起動しない!」



佐倉カイセイは僕の一つ秘湯の発言に対して煽り続けるが核心で「こいつには何か作戦があるに違いない。まさかナナミが言っていたことって?」



「戦闘開始まで残り1分ABWを起動してください」



佐倉カイセイが刃をABDから4枚取り出し短刀を両手に持つ。僕はその後に続いてライデンを起動した。



佐倉カイセイはさっきまでの態度と豹変して何もしゃべらなくなった。僕がABDを起動しなくて少し動揺しているのだろう。



そして第1観戦ルームの観戦とアナウンスが一斉に戦闘開始のカウントダウンを行い始める!!



「10,9,8.7.6....」



5! 4!  3!!   2!!


1!!



ブーーーーーー。



おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!




「試合開始のブザーが鳴りました!!!」




「佐倉カイセイあぁーと!!三木ハルトに高速で詰め寄り空中で切り刻む!!その姿はまるで幻の生き物鳳凰が華麗に舞う姿!う、う、、、美しすぎるーー!!」


佐倉カイセイは開始と同時に今まで見せたことのない速さで詰め寄り何十回も剣で攻撃してくる。だが佐倉カイセイのスピードはレプリカとの試合でかなり目が慣れている。僕はライデンで受けながらできるだけ避けつつ隙があり次第カウンター攻撃を行う。



佐倉カイセイが左の剣に刃に1枚加えて手裏剣に変形!変形作業をしながら右手の剣で攻撃してくる。



「ハルト君!!手裏剣が来る!!」



左耳から聞こえたのと同時に僕は左斜めに体をひねり手裏剣を避けた。その最中横にライデンを振り真空波を出す。このときの佐倉カイセイは右手に剣しかもっていないし刃を5枚使っているのでシールドに変形することができない!チャンスだ!



佐倉カイセイも必死に対処しようとするが刃を5枚使っていることに気付いてかわすことしか選択肢にはないのでバク中したが反応時間が遅かったため左手に真空波が切り刻まれる。



「ハルト君もう一度来る!!」



今度は帰ってくる手裏剣だ!帰ってくる間は持ち主から手が離れているのでABDに戻して刃を修復するのに時間がかかる。そのためできるだけ刃にダメージを入れることで佐倉カイセイを間接的に追い込むことができる。一見手裏剣は無敵の武器に見えるがそこには強力なだけのリスクを持っている。



僕はライデンで手裏剣を切り刻む。するとある1枚の刃にひびが入りその刃を粉砕することに成功する。



「やるな。2週間でここまで強くなるとは、、、」佐倉カイセイが呼吸を乱しながらこっちを睨んでいる



「おおー??三木ハルト!!佐倉カイセイの手裏剣の刃を1枚へし折って左腕に損傷を与えた!!」



佐倉カイセイは手裏剣を回収して全ての刃を一度ABDに戻して刃3枚を使って手裏剣を生成。左手には動きを完全に封じるオレンジ色の球体を持っている。



佐倉カイセイが僕に向けて球体を投げる。僕は過去の戦闘から被弾面積をできるだけ小さくすることで範囲攻撃を当てにくくすることができるのは学習済みなので左にスライディングして球体を避けることに成功する。


「ハルト君!!後ろに手裏剣が!!」


その死角に手裏剣が別の軌道を描いて進攻している。球体の裏にくっつくように手裏剣を忍び込ませることで死角を作っていたのか。佐倉カイセイの本命はこっちか!!咄嗟にライデンでガードして2枚は折ったがライデンも耐えられなくなって峰が折れてしまいその反動か右肩をザクっと切り裂いた。



「サイクロンにシフト!!」



佐倉カイセイは手元に1枚の刃・武器は持ってないはずなのに足に竜巻のようなものを纏い空中を飛び回り僕の腹に何度も蹴りを入れ込んだ。



ボン!!ボン!!ボン!!ボン!!ボン!!ボン!!ボン!!ボン!!ボン!!



「佐倉カイセイが反撃する!!サイクロンにシフトして釘を打ち込むように蹴り込みを入れていくさすがスピードスター!!あまりにも早すぎて私たちの目が付いていけません!!」



僕は蹴りを何度も入れられて地面に倒れこんでしまった。



「終わりにするぞ!お前の負けだ!!」



佐野カイセイが最後の一撃首にとどめを刺そうと足を思いっきり振り上げたとき僕は折れたライデンをポケットにしまい、、、



「まだ終わっていない!佐倉カイセイ!」



両手で地面をつかみ勢いよく地面に押し込むと一瞬体が宙に浮く。その隙に体をひねり出してうつ伏せから仰向けに切り替えるのと同時に佐倉カイセイの振り上げている足の反対、軸足の左脛を掬いだして彼のバランスを崩れさせる。空中仰向けの状態から体を再びひねり出して4つんばいまで体制を立て直して



「白石さん!ABDのロック解除お願いします!!」



「了解!!」



「三木ハルト!佐倉カイセイのとどめに耐えて立ち上がった!!もしや?ここで三木ハルトの目玉技が公開されるかもしれません!!」



「ハルト君!!準備できたよ!!」



僕はABDのスイッチボタンを押してこう叫んだ!!



「ABDを起動!!システムオーバードライブ!!!」

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