1話
「もう無理かも。」
ふと、そう思ってしまった。
俺こと南浦思郎は現在高校生である。
俺は今、とてつもないこの無理感に襲われてしまった。
「おい思郎、顔がもうダメかもって顔になってるぞ。」
声をかけてきたのは、同期の早瀬夏彦だ。
南浦「この顔はダメかもって顔じゃなくてもう無理って顔だよ。」
早瀬「あんま変わんねーじゃんかよ。そんで、なにがもう無理なんだよ。」
南浦「この国もう無理だなって。将来に希望の光が一筋さえ見えない。」
早瀬「考えすぎだろ。それに将来に希望を差さないのは、思郎に将来の夢がないからじゃねーのか」
南浦「億理ある。」
早瀬「一理どころか、億理もあんのかよ。じゃあ、探してみたらどうなん?」
南浦「えー。まあ、探さないとな。ダメだよな。」
南浦(本音を言えばなにもしたくないなあ・・・)
早瀬「そうそう、頭で処理ばっかりしてないで体にも処理を回すこったな」
南浦「ちょっとネットでも使ってさらっと見てみるわ。」
早瀬「ういー。じゃあ、先帰るなー。ばい。」
南浦「ばいー。」
うーん。将来の夢か。俺はなにがしたいんだろうか。
普通の仕事はまずしたくない。なんか、一般人って感じがすごいし。
かといって、特段に難しい仕事もしたくない。専門家って感じをだしたくないし。
「どうすればいいんだー。」
もう無理かも。
また頭をよぎった。この言葉が頭に浮かぶたびに俺は無理感に襲われる。
無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理
ああ、もう頭がパンクしそうだ。
考えても頭に無理の二文字しか思い浮かばない。
「俺が本当にやりたいことってあるのかな」
思考を巡らせたことで頭の疲れが体全体に流れたのか、眠気が俺を襲う。
さっさと家に帰って寝よう。そうだ。寝て起きれば、この無理感からも解放される。
そう思った頃には、家にいた。
家に着くなり、俺は自室のベッドで布団をかぶり丸くなっていた。
家には誰もいなく、俺はただただ寝ることに神経を注いでいた。
少し体を動かすだけで聞こえるベッドが軋む音。
その度に、吐く息が強くなる。
俺が生きていると同時に死んでいるように感じる瞬間だ。
ああ、もう無理かも。
次に起きる頃には、きっと。
そうきっと、この感情も消えて、1からリセットされるはず。
早く朝になって。お願い。もう無理なんて思いたくない。
俺には明日がほしい。なにもしない人生を過ごすなんて、俺がやることじゃない。
でも、今の俺はなにもしない人生を過ごしている。
ただただ、学校に行っているだけでろくに勉強もしていなければ、部活動にも入っていない。
放課後になれば、すぐに帰路へ着く。家では、自室のベッドで丸くなる。
矛盾を抱えながらも未来を思いたくなる。こんな、世界から抜け出したいとそう思ってしまう。
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朝が来たのか?
鳥の囀りが聞こえる。目を開けると、布団の中でもわかるくらいの太陽の光が丸くなった布団を照らしていた。どうやら朝らしい。
布団をめくるとそこには、俺の自室が広がっていた。
いつもの日常に感謝して、今日も学校に向かう。
学校に到着するなり、早瀬が俺の前に飛び込んできた。
早瀬「ういー、おはしろー。」
南浦「ういうい。」
早瀬「いつも通りじゃん。」
南浦「でしょ。今日も無理かもって感じ。じゃないかも。」
早瀬「まじ?じゃあ、前から言ってたことやる?」
南浦「どれかわからんけど、1つくらいならまあ。いけるかも。」
早瀬「うし。じゃあ、まずはどんな子がいるか学校を回ろうぜ。」
南浦「? わかった。」
俺は前々から早瀬に「これやりたい」「あれやりたい」と話していたが、一体、早瀬は何を企んでいるのやら。
早瀬「とりあえず、俺達の教室から見て回るか」
南浦「え、ちょっと。先になにするかだけ教えろって。」
早瀬「前から言ってたでしょ。彼女ほしいって。」
南浦「え。え。もう無理かも。」
早瀬「いや、今日は無理かもじゃないって言ったでしょ。」
南浦「いや、いやいや、無理かもになりました。無理かもです。そうなんです。」
早瀬「とにかく、まずはタイプの女の子を聞き出してやる。ハードルは挙げないからとりあえず答えるんだ。」
南浦「ええ。3つだけな。それ以上はもう無理だ」
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〇創作意欲が湧いたらどんどん書いていくつもり