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0 記憶が戻った日
…記憶が、戻ったらしい。
どうやらいつも通り3歳らしいが…。
残念なことに、今世は女のようだ。
私の今世の名前は「野崎楓」と言うらしい。
私は、前世の記憶というものを持っている。
1番最初の人生は…
とある公爵家に使える執事だった。
つまり男だった。
ワガママなお坊ちゃんの世話をさせられたのは、今となればいい思い出だ。
そんな最初の人生から計11回もの人生を繰り返し、今に至る。
奴隷、メイド、宰相、庭師、料理人、執事…
いずれにせよ仕えるべき主人がいた。
だが、今世はどうだ?
仕えるべき主人はいない。
そして使用人ですらない。
ただの、貧乏な平民だ。
もはや悲劇と言えるだろう。
だから、私は自分で主人を作ることにする。
いや、別に偶像に仕えるわけではないが。
私はこれから、野崎家に仕えることにする!