5.夏帆の記憶
「何をする!? 放せ!」
例の生徒が街中で自衛隊警務隊によって確保された。
自衛隊警務隊というのは、簡単に言えば、自衛隊関連の捜査を行う警察である。
「貴様に抹殺命令が出されてる」
「どういうことだ!?」
「貴様が侵略者だからだ」
「なんのことだ!?」
現場に居合わせた私が答える。
「あなたが人間に擬態している星人であることは、全て調べがついてるのよ。騙しやがって」
「こうなったら……」
生徒は怪物に姿を変えた。
「うわ!」
怪力で吹っ飛ばされる警務官。
「来い!」
怪物が私を捕らえた。
「こいつはもらっていく!」
「待て!」
私は怪物に連れ去られた。
怪物に、廃工場に連れて来られる。
体は拘束されている。
「我々の仲間になれ」
「断る」
怪物に腹部を蹴られる。
「ぐえ!」
私の体が倒れる。
そこへ、チームのメンバーが駆けつける。
「城之内!」
メンバーは怪物を囲む。
そして一人が私を解放する。
「ありがとう」
私は立ち上がる。
「さーて、形勢逆転ね」
怪物がプロペラのように回転をし、メンバーを吹っ飛ばした。
「うわ!」
地面に落ちて気を失うメンバー。
「人間ごときが」
怪物がこちらを見る。
「さあ、仲間になるのだ」
私はチータスに変身した。
「誰がお前らなんかの」
「ならば!」
怪物が攻撃してきた。
私は怪物の攻撃を受け流し、隙をついて反撃した。
「ぐおあ!」
腹部に拳をお見舞いし、怪物はくの字に曲がった。
ヒューン!
吹っ飛んでいく怪物。
私は先回りし、接近してきた怪物を地面に叩きつけた。
「ぐは!」
吐血する怪物。
私は爪を伸ばし、怪物の首を引き裂いた。
血しぶきをあげて絶命する怪物。
私は元の姿に戻った。
その時、物陰から木の枝が折れる音がした。
私が振り向くと、そこには。
「夏帆?」
「さ、聡美なの?」
「夏帆、どうしてここに?」
「聡美が怪物に連れていかれるところ、目撃したから追いかけたの」
「そうだったんだ?」
「さっきの怪物なんなの? それに、聡美も変身してたし」
「ごめん。今は言えない」
「ちゃんと説明してよ! 聡美はなにをやってるの!?」
「……………………」
「質問に答えて!」
どうしたものか。
その時、意識を取り戻したメンバーが、夏帆の背後に移動し、うなじにチョップを当てて気絶させた。
「さっき、変身って聞こえたが……?」
「んあ? なんでもないですよ」
「そうか」
とりあえず、とメンバーは何かのスイッチのようなものを取り出し、ボタンを押した。
ボン!
一瞬、夏帆の頭部に煙が出現して消えた。
「今のは忘れてもらったから。ところで、やつはどこに?」
「え? ああ! チータスが来て倒してくれましたよ!」
「そうか。やはり、チータスは人間の味方なんだろうか……」
メンバーはそう呟きながら、他のメンバーを起こしにいった。