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4.謎の生徒

 高校。

 私は食堂でお昼を食べている。

「前、いいかい?」

 お盆を持った男子生徒が訊ねる。

 私は無言で頷いた。

「君、一年生の城之内さん、だよね?」

「ええ、そうですけど」

「実は俺、君を一目見た時から好きで。付き合ってくれる?」

「ブフー!」

 口に入れていたものを吹き出した。

「え?」

「ああ、ごめん。好きって言ってるんだけど」

「それはわかるんですけど、私は今、そういう余裕はないですから」

「君のこと、調べさせてもらったよ。政府直属の極秘部隊の隊員なんだってね」

「な!? どうして知ってるんですか?」

「君が怪物と戦ってるチータスだってことも知ってるよ」

「……………………」

 何者だこいつ?

「それ以上関わると殺されますよ? 運がよければ記憶を消されるだけで済むかもしれませんが……」

「俺が死んだら世間に部隊のことが知れ渡ることになるよ。そういう手続きもしてるんだから」

「何がお望みですか?」

「君との時間の共有」

「いやだ」

「じゃあ、全部バラすよ?」

「そんなの世間が信じるわけ……」

「それがそうでもないんだな。実は怪物の件で警察も動いていてね。実は俺、親父が警官なんだ」

「なるほど。それが情報源」

「あ、もうこんな時間!?」

 男子生徒は慌ててご飯を食べると、食堂を出て行った。

 私もご飯を平らげ、教室に戻る。

 ……。

 …………。

 ………………。

「なに? 極秘部隊が警察に知れ渡っただと?」

 私の言葉に隊長が問い返す。

「父親が警察官をやっている生徒がうちの学校にいて、それで調査されてました」

「我々の組織は警察にも秘密なんだ。それが明るみに出たとなると、法的にまずい」

「圧力、かけますか?」

「当然だ。我々のことは防衛省だけで十分だ」

 隊長は血相を変えて出て行った。

 入れ替わりに同僚の小沢おざわ ゆたかが入ってくる。

「隊長、どうしたんだ?」

「いや、別に……」

 席に着く小沢。

「そういえば、城之内」

「はい?」

「お前、この部隊に入隊するとき、どうやって知ったんだ? 極秘部隊だぞ?」

「父親が武器製造部にいてね。それで」

「ほう」

「しかし、お前の身体能力は異常だな」

「なにか問題でも?」

「いや?」

 小沢が携帯を取り出す。

 私は司令室を出ると、休憩ルームに移動した。

 休憩ルームでジュースを買う。

 パカ、とプルタブを起こして蓋を開け、ジュースを飲む。

 あいつ、どうしたら……?

 隊長がやってくる。

「こんなところにいたか。例の生徒、抹殺対象になった」

「え?」

「抹殺はこちらでやる」

「いや、そうじゃなくて……」

「大丈夫だ。そいつの父親は警察でもなんでもない。そもそもそいつは、擬態した星人だ」

「迅速な調査でしたね」

「当然だ。自衛隊警務隊が動いたんだからな」

「ああ、あの防衛省の司法警察組織」

「そうだ」

「隊長」

「なんだ?」

「……いや、なんでも」

 一瞬、正体を明かそうと思った。しかし、やめた。

「変なやつだな」

 隊長は出て行く。

 私もジュースを飲み干し、司令室に戻った。


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