私は激怒した。必ず、かの消費者をバカにした酒を糾弾せねばならぬと決意した。
さて、ビターチョコレートは、お好きですか?
なるほど。
それでは、板チョコを連想してみてください。
鼻腔を擽る豊かな香り、微かに漂う苦味の複雑さ、上品で落ち着いた甘味の予感。少し固めのチョコレートが割れる音と、口溶け、そして唇に残る余韻。
暴力的な西洋甘味の王の威厳。
それが、ビターチョコレート。
ですよね? そのビターチョコレートを更に改良した、と言われれば、何を想像しますか?
カカオ豆の産地を厳選した?
製法に拘った?
配合を変えた?
他の素材を一新した?
たぶんそんなところでしょうね。
私も、そういうふうに思います。
それが例えば、ですよ?、
そう、本当に例えばの話ですが、とあるビターチョコレートの新製品として出てきた、ビターチョコレートEXで――
――ホワイトチョコを混ぜたら味の調和がとれました! なんて言われたら、殺意を覚えるでしょう?
台なしじゃないか!
バカなのか!
いや、バカにされているのか!?
何もホワイトチョコを悪いって言ってるんじゃないんですよ。ホワイトチョコはホワイトチョコ。ビターチョコはビターチョコ。ミルクチョコはミルクチョコ。
それぞれが、それぞれに特化して、そして追求した結果あの姿に落ち着いているのです。
それを、安直に混ぜて調和が取れました、なんて言われた日には誰だって激怒しますよ。
バカにするのも大概にしろよ? って。
そう、黒霧島EX! お前だよ!
私は製法には詳しくないから、実際のところどうやって作ってるのか知らないですし、企業努力なんてもっと知り得ないですよ。ですけれども。
デリシャスペンタゴン? わざわざ黒霧島の良いところを全部殺しましたって言ってるようなレーダーチャート出して、何がしたいんですかね。
まだ、赤霧島や茜霧島を黒霧島とは別に飲んだ方が美味しいですし、他の霧島も併せて飲んで、デリシャスペンタゴンとやらを実現した方がマシですよ。
そう、私が抱いた感情は、他の霧島の混ぜ物みたいな味で調和していない、ということだったわけです。
そして、黒霧島の名前を付けたのが最も罪深いと思ってもいます。別の名前なら、まだ許せたかもしれないのに。
さっきのビターチョコレートの例を考えれば、わかると思います。それは、もはやビターチョコレートじゃない! そうでしょう?
なぜ、黒霧島の名前を冠したのか、甚だ疑問なのです。匂いも、風味も、キレも、甘味も、何もかもが中途半端で変に自己主張が激しいだけの、霧島。
ああ、マズい酒ですね。もう買わないでしょう。
短編なのに、豪華二本立て!
まあ、ここからは短いですが。
オーケストラは、お好きですか?
お好きでない?
いや、貴方が嫌いなのはクラシックであって、オーケストラの演奏そのものでは無いはずです。ちゃんとした交響楽団が、ポップスなどを演奏すれば、それはそれは聞きやすくて素晴らしいものだということに気づくでしょう。
さて、そんなポップスですが、大抵の曲はクラシックより演奏しやすいため、高校生のオケ部などが定期コンサートなどで演奏していたりしますよね。正直下手くそで、調和が取れてなくて、各パートの主張が激しい感じの。
質問ですが、それを聞くためにお金が必要なら、払いませんよね?
ですよね。
そう、お前だよ! ザ・プレミアム・モルツ<黒>!
味は薄くて水っぽいし、苦味は浮いてるし、甘味は自分勝手で優柔不断で、旨味は自己主張足りてない!
なのに優等生ぶって澄まし顔してればやり過ごせると思ってるんですか?
出直して来てください。
はあ、なんでこんなに消費者をバカにしたお酒を売るんですかね? どうせなら、もっと値段を上げて良いので美味しいものを作ってくださいよ。
はあ。。。別のお酒飲も。。。
※あくまで個人的な意見ですが、当然いろんな意見は肯定しますよ!
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