実力者との戦闘になるかな?
「さて、本物の実力者もわかったことだし、闘いたいと思うのは自分勝手でしょうか?」
「私達の方は闘いたい訳じゃないんだけど?」
「あうあう………」
「私も闘う必要が無いなら戦わない方が良いんだけど。」
「おや?」
司は不満に思う。自分が五人組と闘ったのは本来の実力者であるキャトル姉妹を引きずり出すためだからだ。
しかし、その二人は闘いたい訳ではなかった。しかも、ミスティアも闘いに協力的ではなかった。まあ、元から好戦的でもなかったのだから当たり前だが。
(どうしましょうか?挑発して見ましょうか?いや、人として闘わざるを得ない状況にして仕舞えば……。なら……。)
司が人としてまずい考えに陥りかけた時、
「キャーーーーーー!」
女性の悲鳴があがった。
「何事ッ!」
「外獣ですか?ならず者?」
「キャトル姉妹の出番かしら?」
「い、急がなきゃ!」
四人はそれぞれの反応を示す。訓練所にいたのは四人のみの為、直ぐに行動を開始した。
四人が駆けつけた先では女性が5人、外獣の群れに襲われていた。
「あれはオーガ!しかも30体!」
「実力は?」
「そんなことも知らないの!中級の実力ね。一体の戦闘力はオークの5倍とか言われてるわね。その分、群れを作ったりはしないんだけど……。」
「群れてますね。何故?」
「わからない。とにかくやるわよ!クトリア!」
「コクコク!」
二人はオーガに向かっていく!
「私達も行くわよ!司!」
「5体目!って、ミスティアさん、何やってるんですか?早くして下さいよ!」
「いつの間に始めてるのよ!そして私置いてけぼり!」
キャトル姉妹の会話の途中から既に闘い始めていた司に続き、ミスティアも遅れながらオーガに突進する。
しかし、ミスティアは一体ずつとしか闘えない。しかも、苦戦している。他の三人とは数に差があった。
(前から思ってたけど、司って化物ね。戦闘力53万なら当たり前か。)
司から目をはなし、キャトル姉妹の戦闘にも目を向けると、
(司の予想した武器ね。とはいえレイアの方は華麗な闘い方ね。)
レイアはミスティアの感想通りに美しい闘い方だった。小太刀二本を無闇に振り回したりはせず、しかし、力強く振る。しかも、舞う流血がまるで演出のように、花吹雪のように彼女を魅力的にする。
(そしてクトリアは…何だろうあれ。何をしてるかわからない。暗器…だから?)
クトリアはレイアの闘い方に比べると地味なものだが、オーガを沈めて行く。その様はまるで、暗殺者だ。しかも、オーガの中には何故死んだかがわかっていないようなものもいる。
「とんでもない実力者ばかりね。にしても、まだ終わらないのは何故?30はもう潰してる筈なのに。」
ミスティアは疑問に思うが、
「何故ですかね。オーガは何故か増えてますよ。仲間をどんどん呼んでるみたいですね。」
司から答えが返ってきた。
と、同時にキャトル姉妹の二人も集まってきて、
「オーガは…群れない……筈なのに……何故……仲間を呼ぶ……?」
「やばそうね。最近魔物の生態地域的にあり得ないところに現れたらするらしいけど。何が起きてるのかしらね。」
ミスティアを除いた三人は余裕そうに、考察を始めるが、まだ闘いは終わっていない。しかも、数がどんどん増えているのだ。
「いくらなんでも増えすぎですね。」
司たち三人の余裕の表情も少しずつなくなっていく。すると、草むらからガサリと音がなった。その音に司がいち早く反応した。
「そこにいるのは誰だ!出て来い!」