ギルドでの闘い?
結局ギルド内での戦闘行為はしてはいけないと叱られ、しかし、訓練場でなら良いだろうと好意によって貸してもらえた。
訓練場はギルドから離れ、街の外れにあった。何でも、ギルドの近隣からの苦情があったとか言う話らしい。
「取り敢えず、訓練場は貸してもらえたし、始めましょうか。」
「良いぜ?始めよう。そっちも武器使って良いんだぞ?それに、全員でこいよ。」
男の言葉にミスティア達も身構えた。しかし、
「あー、こちらは僕一人でやりますよ。なので、ミスティアさん達は下がってください。」
「あー、良いのか?助けを借りなくて。こっちは五人だし、何よりそっちは武器ないじゃねえかよ。」
「武器は問題ないです。素手の方が僕は強いですから。それに….」
司は一度言葉を区切ると
「一人の方が闘いを独り占めできて楽しいですから。最も、死なないようには手加減しますよ。」
と悪人の如き笑顔を見せながら宣告する。
「んじゃあ遠慮はいらねえな!行くぞオラァ!」
男達が司にむかってくる。全員が武器を抜く。
(大剣に双剣、槍使いに弓使いは二人。バランスが良いのか?)
この世界には回復魔法などは存在しない。だからこそ近距離だけでなく遠距離でも攻撃できるものもいるとバランスが取れていることになる。
また、この男達は戦闘経験が豊富な方だ。
(双剣使いが一人で向かって来た。なら、夢中になっている隙に大剣と槍で後ろから攻撃。かな?)
実際その戦略だ。弓使いの二人は威嚇射撃で司の進路を限定しようと打ってくる。さらに、大剣使いと槍使いは迂回して一撃で司を倒せるように背後に回ろうとしている。
(なるほどね。そうくるなら!)
司は双剣使いと距離を一気に詰め、
背後にまわりこみ、首に手刀をトンッと当てた。
「速え!」
たったそれだけで双剣使いは気絶した。他四人が驚いてる隙に弓使いの一人に肉薄すると、鳩尾に掌底を当てる。すると、また気絶した。
「は?!鎧きてるはずだぞ!」
「これは浸透勁という技です。」
浸透勁とは鎧通しとも呼ばれ、衝撃を体内にのみ通す技だ。
もう一人の方も驚き、焦り、司に矢を放つ。しかし、焦って打った矢など司にはかすりもしない。次は顔を殴って吹っ飛ばした。
大剣使いであるリーダーの男は戦慄した。
(何だよこいつ!強い!俺たちはランク100に入る上位者だぞ!?なのに、もう、3人も…)
そのような思考に入ったのは1秒もない。しかしその間に司は30メートル位離れてる槍使いとの距離を詰め、顎を蹴り上げる。
「あとあなた一人ですね。」
「ヒッ!」
司はまた男に近づき、拳を振り上げる。
「終わりです。恐怖を感じて終わりです。さようなら。」
何も考えられない間に司は打ち出し、
当たる寸前で拳を止めていた。
「全員気絶すると運ぶ人いなくなるのはまずいですよね?その人たち運んでいなくなってください。」
男は青ざめた顔でコクコクと頷き、二人ずつ運んで走り去った。
「さて、あの人たちも追っ払えましたね。」
「お兄さん、ありがとうございます。」
「あ、ありがとう。あんた、やるわね。」
「いえいえ、この位は朝飯前、ですよ。」
「これであの男達もチョッカイ出さないでしょ。」
ミスティアが締める。しかし、司は
「いやー、まだ終わってませんよ。」
という。
「は?いや終わりでしょ。彼女たちも助けたし、なんとでも…。」
ミスティアは続けようとするが、つかさはだってと区切り、
「この子達はあの五人組を瞬殺できるくらいの力はある娘さんなんですから。」
と告げた。