名前のない花
このお話は友人より受けた恋愛相談に少しだけ脚色・味付けしたものです。
「こんなコト思う人もいるんだ〜」とか「あー、あるある」とか思っていただけると嬉しいです。
初めて逢ったのは何気なく受講した他科のクラス。
整った顔立ちに優しそうな笑顔と細身のシルエット。そして口数少ない控えめなトコロが好みど真ん中。
2回目、授業で課題作成のため組み分けした時に偶然ペアになったの!
内心「やったー」って喜んじゃった。
他科授業だからそんなに気合い入れるつもりなかったけれども彼と一緒におられるならばと課題に対して熱心さをアピールしちゃった。
一緒に大学構内の図書館で調べモノして一緒にランチ。
その時、初めてメアド交換もしてその夜に初メール!
『今度、御飯食べにいかない?』
思わずメールを保護しちゃった(笑
4月25日
初デート(って思ってもいいのかな?)は学校最寄り駅近くのちょっと可愛い和食居酒屋さん。
デート当日はもう朝から大変!
お洋服は・・・ワンピ?
お姉系とお嬢系どっちが好きかな?
露出ってもっとあった方がいい?
髪は・・・・巻く?ストレート?・・・・あ、アップの方が好きかな?
あ〜っもっと好みをちゃんと聞いておけばよかった(涙
待ち合わせは7時に駅前。
あと1時間でお洋服決めてメイクしなくちゃ!!
結局、水色のニットに白いシフォンスカート(ちょっとミニ)+ルーズ巻きハーフアップにキラキラアクセっていう実に無難なお嬢さん系スタイルで臨んだの。
学校で話すよりは話してくれたけれど結局は私が話す方が多い(涙
どうも話すの得意ってタイプではないみたいだからこっちから話を振って答えやすい話題にして・・・ちょっと気を使ったけれども楽しい時間を過ごせたぁ♪
初デートで知った彼のコト
●ビールが好き
●結構お酒が強い
●バナナが好き
●本の趣味が私と一緒!
5月
それからしばらくは週1ペースで御飯いったり飲んで来たり映画見に行ったりと多分ハタから見たらデートなんじゃない?付き合ってるの?って日々。
でもね、「付き合う?」とかそんな話全くでない!
何で?私ってただのお友達なの?
私は・・・自分で言うのも何だけれど(実際はもちろん言わないよ?だって大人だし・笑)結構イイ。
街を歩けばキャッチもスカウトにもしょっちゅうだし大学構内でもたまに声をかけられる。
日焼け止め+日傘死守で白美肌だしスタイルも・・・・うーん・・・きっとまあまぁ?
サトエリちゃんに似てる!って言ってもらった時は嬉しくて思わずサトエリが出てるグラビア誌買っちゃったなぁ
彼氏も居ない時期が3ヶ月を越したことない恋愛体質。
一緒に遊ぶウチ3分の2は彼からのお誘いだし・・・・・悪くは思ってないハズだけれど・・・・
どう思ってるのかな?
何で?
ちょっと不安なんですけれど!
6月中旬
彼の好みを彼本人と彼の友達から聞いてみる。
好みは『女の子らしくて明るくて話しやすいコ』。
彼の友達は私たちはとっくにもう付き合ってると思ってたって(笑
ふーん・・・・じゃあ友達にも私のコトは悪からずって話てるってことかぁ
あ、照れる。ちょっと頬を赤らめたり。
きっと私から「好き」って告白するってのもアリ。
でも、私から告白したら、大人しい彼は来るモノ拒まずってノリで私と付き合いそうで・・・・
何かそれは寂しい。
わがままかな?
付き合う時点での不安は何かイヤ(涙
出来れば・・・言って欲しいよぅ
6月29日
友達の車を借りて海までドライブ。
まだ泳げないけれど水遊びくらいできそう?
実は日焼けするから海って大嫌い。
山なら木陰があるけれど海だと逃げ場ないじゃん?
でも彼のお誘いなら行きますとも!日焼け止めでがっつり武装して!
波打ち際で裸足になって海に入ってみる。
彼もジーンズをまくって入水・・・・後、ちょっと高い波が来て彼、太股の辺りまで濡れちゃった。
私はそれを見て爆笑。
波に流されてうち寄せられる海藻を見て彼は何か難しいコト言ってる。
よくわからないけれど彼が何か楽しそう。
苦手だったけれど海も結構・・・・・楽しい♪
7月10日
海ではやっぱり少し日に焼けたみたいで頬がひりひり。ビタミンC飲んで回復しなくちゃ!
今日は彼からのお誘いで美術館デート。
私が以前「ミュシャの絵が好きなの」って言ったコトを覚えていてくれて作品展が開催される情報を仕入れてきてくれたの。
こんなもやもやした気持ちで見に行くなんてちょっとミュシャさんに失礼よね、って思いながら彼と待ち合わせて美術館へ。
館内はすごい混雑で順路通りに歩くのも結構大変。
うっかりしているとすぐに彼とはぐれちゃう・・・・はぐれちゃう?じゃあはぐれないようにすればいいのかな?
「すごい・・・混んでるね」
ちょっと困った風に言って彼の二の腕を取りさりげなさを装って腕を組んじゃった!
「そうだね。人気あるね」
腕を組まれたコトには無反応な彼はいつも通り落ち着いた笑顔を返してくれた。
えーっと・・・・・コレってつまり・・・・・自然なの?
私に腕組まれてもなーんとも思わないの?
綺麗な絵を見てちょっとカラオケ行ってその後、一緒に御飯+お酒飲んで駅でバイバイ。
もうこんなんが3ヶ月も続いてるよぅ・・・・
やっぱり私には女としての興味がないのかなあ?
何か日焼けが痛く感じてきた・・・・
7月18日
日焼けは何とかシミにもそばかすにもならずに赤味が引いた!よかったぁ
今回は今までとはちょっと違うの。
待ち合わせ場所は私のお家の最寄り駅。
そして私は一人暮らしだし彼も一人暮らし(なハズ)。
つまり・・・・お持ち帰りのチャンス?
この前、私のウチの近所にある結構有名な焼き鳥のお店の話をしたら彼が行きたいってことになり今回セッティングされたの。
しかも2人とも今日で前期の試験終了!
ちょっとしたお疲れ様会って感じですな。
テスト勉強で二人とも寝不足だし酔いが早いかも?
ちょっとズルいけれど酔った勢いで!?
そんなシタゴコロ持ちつつ美味しく焼き鳥を賞味♪
あ〜っネギマ美味しい・・・・・ささみの梅紫蘇巻きも美味しいなぁ
彼もテスト終了の開放感かいつもより饒舌(って言ってもやっぱり基本あんまり喋らないけど)
「コレ美味しいよ?」
と彼が飲んでいた酸っぱい梅酒を一口もらったりデザートのアイスを「はい、あーん」って食べさせたりきっと周囲からは普通にカップルっぽく見えてるハズ。
ゆっくり飲んで話して気付いたらもう11時!
私のウチまで歩いて5分、彼の終電まであと1時間半。
ちょっと寄ってく?
くらい言っても大丈夫そうなお時間ですわねん♪
お店を出てすぐに、何度も頭の中でシュミレーションした台詞を言ってみる。
「ね・・・え、ウチでお茶でも飲んでいく?」
言ったぁぁぁぁ!
ってここまで言えば意味、わかるよね?
一応健康な成年男子だもんね?
ここで断ったらホントに興味な・・・・
「今、座ったら寝ちゃうから帰るよ〜」
なし。
つまり興味なし。
あははは・・・・・・・
がっくし
「そっか。結構飲んだもんね」
私ももうちょっと食い下がればいいのに余裕の笑顔で返して駅まで送って今日も健全にばいばい。
ってか寝ちゃったらじゃあ泊まって行けばいいのにっ
バカ〜・・・・・・あ・・・・・もしかして・・・・・
お家で待ってる人がいるの?
7月19日
好きなんだよ!
やっぱり私は彼が好きなんだよねぇ・・・・・
だから同じクラスのコに告白されてもお断りをし、バイト先の社員さんに御飯誘われても彼のコト相談しちゃって牽制してみたり・・・・。
誘われれば合コンにも行くしその場で仲良くなってその後メールのやりとりをした男の子も何人もいるけれど結局メールだけ。
お食事誘われても遊びに誘われてもいつも適当に誤魔化して実現ナシ。
きっと彼以外とはお付き合いする気ない。
もう3ヶ月も好き。
私はいつも好きになったら即行動だったのに今はこのほわほわした関係が壊れるのイヤだから何かずるいの。
自分から言い出せないの。
それなのに彼の行動で一喜一憂してて・・・・・何かバカみたい。
まだお付き合いしてるってワケじゃないのに。
自分だけが好きで自分だけで何かぐるぐる考えてる。
ちょっと強引に迫ればきっとちょっとくらいはお付き合い出来ると思う。
押してもダメなら押し倒せ!ってね。
そやって落とした男の子だって居ないワけじゃない。
でも・・・・そうしたら・・・何か短い恋で終わりそう。
ひと夏の恋?
いいの?ソレで!?
ふた夏でもみっつ冬でも越したくない?
季節を二人で越えてみたい。
お昼頃、お家でぼーっとしているトコロに来た彼メール
『昨日のお店美味しかった。また行きたいな。』
こんな普通のメールなのに何故か何度も読み返し。
やっぱり好きなんだね。仕方ない。
8月1日
今日は映画。
ハリウッドの超大作歴史スペクタクル。
緻密系のかけらもない映画で、どー考えても彼の好みじゃないけれど誘ってくれた。
この映画・・・・前、一緒に映画みた時に予告編が上映されたヤツだ・・・・
あの後「見たいっ面白そうっ」って言ったの覚えていてくれたんだぁ。
彼のそゆとこ大好き。
軽くごはん食べて今日も品行方正デート。
それもそれでいいかもね。
何故かあんなに嫌いだったのにまた海に行きたい。
今日の映画は彼が私の好みに合わせてくれて普段見ない映画を見てくれた。
多分楽しんでくれたんじゃないかな?
私も、苦手だったけれど彼と一緒だと海が楽しかった。
あの強い日差しも磯の香りも何だか懐かしくなった。
前一緒に海に行ったのは初夏。
初夏の海もよかったけれど夏の海も一緒に行きたい。
このまま一緒に季節を過ごして秋の海も一緒に見たい。
冬だってさすがに水には入れないだろうけれど見たことのない冬の海を感じてみたい。
そして、実は小さく前進している、最近。
一緒に歩く時はかなり高確率で腕組んで歩くようになった。
たまに手繋いでみても抵抗せずにそのままぎゅって返してくれる。
中高生のカップルじゃないんだから!もう少し進んでもいいんじゃない?
って思わなくもないけれど(笑
嫌いな人とは手、繋がないよね?
いいんだよね?
好きでいても。
8月8日
海に行きたいって思うけれど道がすっごく混んでるだろうからちょっと2人で妥協案。
水族館へ。
寝てるんだか起きてるんだかわからないマンボウに笑いつつペンギンのスイミングスタイルに感嘆!
「泳いでみたいなぁ」
「え?泳げるの?」
「ひどーい!私ってそんなに運動神経悪そうに見える?」
「うーん・・・・何か・・・・ペンギンよりラッコの方が向いてそう・・・・」
「それって・・・・浮かんでるだけってこと!?」
「うん、そう」
「あ、ひどーい」
ラッコだって可愛いもん。実はそんなヒドイなんて思ってない(笑
軽く上目使いで睨みつつ「自分は運動神経良いからってさー」と拗ねたフリなんかしてみる。
混雑している館内を腕組んで歩く。
彼も素直に腕を取られながら私の歩幅に合わせて歩いてくれる。
冷房効いているからくっついてもそんなに暑くない。
水槽の中は水色できらきらしている。
あっちも涼しいのかな?
「水の中も涼しいかな?魚にとっては快適かな?」
彼がまぶしそうに目を細めながら水槽を見て言う。
それ、私も同じコト考えていた!
私が好きなモノに歩み寄ってくれる。
彼が好きなモノに一緒に触れられると嬉しい。
一緒に秋の海見に行きたい。
クラゲとか・・・・・見ることできるかな?
いつもの帰り際、いつもとは少し違うことをしてみる。
「おやすみなさい」
これは酔った勢い?いいえ、確信犯です。
好きだしやっぱり我慢は良くない。
向こうから・・・を待つのも良いけれどこっちも歩み寄ってみたい。
私は彼の肩にそっと手をあてて頬にキスした。
多分たっぷり2秒間。
よかったぁ。逃げられなくて。
あ、でも驚いた顔してる(笑)
って当たり前か。
ちょっと急ぎすぎた?
「お・・・おやすみ・・・」
やっと口を開いた彼。
狐につままれた感じかな。
コレをどう解釈するかは彼次第。
私はにっこり笑ってばいばいと彼を送り出した。
お互いの路線の階段を上がりながら
「これからですよ」
と私は小さくヒトリゴト。
ひと夏の恋?とーんでもない。長いですよ、コレはきっと。
そして夏ですもん。少しくらいは罠仕掛けますか。
言わぬなら、言ってもらおう、スキデスと。
さて、次はどーしよっかな?
彼に関しては色々なヒトを想像出来るように敢えて説明せずにしてみました。
身近な人、または好きな人に当てはめて想像していただけたら幸いです。
余談ですが、モデルとなった友達は煮え切らない「彼」ではなく別の猛アタックしてきた男性に持って行かれました。恋愛って勢いも大事ですね。