陽気な絵描き
陽気な絵描きの
描く絵は
想像上の物語
僕は僕の手のひらを
じっと見つめて思い出した
この両の手のは
いつも僕とともにあって
いつも僕の傍らにあって
当たり前のように
動いているけれど
いつからかきっと
汚れることをわすれてしまっているようだったと
だから絵描きは
筆をとり
キャンバスいっぱいに
夢を描いた
ニセモノの世界也
僕の描く理想郷
来るはずもない未来世界
せめて額ブチにおさめました
陽気な絵描きの
描く絵は
解雇の色した郷愁歌
いつぞや誰かの
ラク書きに魅せられた
己の心は
つゆ知れず
知らぬが仏の
世の中も
絵心次第じゃ
義理人情
だから絵描きは
筆をとり
キャンバスいっぱいに
夢を描いた
過ぎ去りし世界也
僕の描く遠い故郷
汚いばかりの現実世界
せめて忘れて描きました
僕のこの手で描きました
僕の両手は
いっぱいでした
絵具でぐちゃぐちゃ
いっぱいでした
汚くて鮮やかで
それでも僕は
笑いました