魔法と黒龍
話がまとまらないまま見切り発車です
「しばらく休んでなさい」司が楓に優しく声をかけた。
司は眼を閉じて、右手を楓の頭の上にかざした。
『治癒』
右手全体が白く輝く。
「えっ?」
彼女は頭と股の痛みが無くなっていることに気づいた。
「ウソ…痛みがない…」「治癒の魔法をかけたから、もう大丈夫でしょ?」
「司は本当に魔法使いなの?」
「そうよ、すぐに理解できなくてもいいけど…」
「なんか今の凄かった…体の中に風が流れていったみたいだった…」
「えっ!楓、魔力の流れを感じたの?」
「良くわからないけど…体がスーとした」
「そう…もしかすると…楓これが見える?」
司が手のひらを彼女の目の前にかざす。
「人差し指の上に赤色の丸いのが見えるけど…」
「じゃ、これは?」
「すごい指の上にボールがいっぱい!手品ですか?」
「いくつ見える?」
「八つ見えますけど…それがなにか?」
楓があっけらかんと答えると、司は驚いた顔になった。
「ほんとに?」
「ほんとに…」「全部言ってみて」
「青、赤、緑、黄色、水色、茶色、後、白に黒」
「…そう金色以外全部見えてるのね」
「それがなにか?」
「わかったわ…ありがとう」
「…金色はわからないけど…すごい手品ですね♪」
「これ手品じゃないのよ…」
「そうなんですか?」
「誰もが持ってるものなの…」
「えっ?どういうこと?」「楓、自分の手を見てごらんなさい」
「自分の手ですか…」
楓は目の前に右手をかざしてみる。
「指の先に赤色の玉が浮いてる!?」
「炎の力ね…」
「なんなんですか?これ?」
「貴方に元々宿している魔法の力よ」
「今までこんなの見たこと無いです!私、変な夢でも見てるんですか?頭の打ちどころ悪かったのかな…」
「そんなこと無いわよ♪黒龍に導かれたと、言ったとこかしらね」
「黒龍って…あのウネウネ道ですか?」
「ウネウネって、黒龍が聞いたら何て言うかしらね…」
『聞こえてるぞ!』
「えっ?司さん何か言いました?」
「何も言って無いわよ…それより、さん付けはやめてくれる?」
『はじめまして、楓、私が黒龍…勝手ながら楓の体に棲むことにした』
「どういうこと?」
「あの楓、私にもわかるように言ってもらえる?」
『私の声は楓にしか聞こえない…あまり声にだすと大声の独り言にしか見えないから気を付けたほうがよいぞ!』
『……』
「楓?今度は黙ってしかめっ面してどうしたの?やっぱり打ちどころが悪かった?病院行った方が良いのかしら?」「黒龍とかが、勝手に私の中に不法滞在を始めたらしくて…出来たら強制的に退去していただきたいのだけど…」
「えっ!随分気に入られたものね…」
『私は何か?避難民か何かか?』
「私が避難したいくらいだわ」
『くらいねぇ』
「暗い?全くその通りよ…真っ暗だわ…泣きたいくらいよ」
『暗いcry…言い得て妙だ…』
「何オヤジギャグ言ってるのよ!」
「落ち着きなさい。楓、誰もオヤジギャグ何て言って無いわよ!」