PKとほしねこの合流
夕方寝て起きたら朝とか良くあるよね。仕方ないね。すみませんでした…!
そして、また短いです。というか、3000文字前後か5000前後ってどっちが読みやすいんですかね?
活動報告にも書いておくので、もし良ければ文字数についてコメントくれると嬉しいです!あ、どうぞ本編へ!
追記、ユウが寝てとか意味不明な誤字してたので修正しました(前書きの最初のとこ)
ほしねこは困惑していた。
このゲームはカンスト後も楽しめる様にシナリオが長く作られているのだが、それでも50を超えたらシナリオ15くらいまでは進んでいる筈だ。
なのに、ユウは未だに4&5のクエストで止まっている。明らかに進むペースが遅い。そんな事をモニタリングしながら思っていた。
「まだ3日目とはいえ、少し遅すぎる気が…」
シナリオの後半部分は難易度を馬鹿みたいに跳ね上げているので余裕がある内に進んでおかないとあと後大変な事になるのは目に見えてる。
夏休み中に終わらさなければ学校側がおかしいと思うだろう。最悪、家に調べに行っていない状態で連絡を取れない状態なら、捜索届が出されてもおかしくは無い。そうなる事を嫌った上層部の処置がほしねこの介入だ。
しかし、当の本人はそんな事はどうでもよく、早くユウ…ではなく、優と現実世界で話をしたいと思って行動している。
ほしねこは半日プレイにより、実はユウのレベルを抜かしていたりする。とあるスキルを習得するために、火、氷、地のスキルを100まで到達させなければならなかったから、ひたすら反復使用しただけだ。勝手にレベルが上がるのも道理だろう。
そしてほしねこは望んでいたスキルを手に入れた。これでユウに合流できると思い、現在地を確認するためにログアウトし、モニタを覗き込んだのがついさっき。
ユウを早くログアウトさせるためにもさっさと合流しよう、と思い周辺のマップを開く。
「…んぅ?」
ユウがいる位置を囲むようにプレイヤーの光点がマップを映しているモニタに映し出される。ユウの移動に合わせて包囲を崩さない様にして動いている。その数10。
ほしねこは怪しい、と思いそのプレイヤーたちのステータスを確認する。
大剣装備が2人。片手剣、盾装備が2人。ナイフ使いが1人。魔法使いが5人の構成だ。レベルは30とそこそこ高い。
「5人がSTRとAGI。 残り5人が…INT極振り…!?」
運営用のPCを使っているからこそ確認できる事だが、この構成でユウを囲んでいるとなると…。
「PK、かな…」
ユウのステータスを確認する。此方は装備も全て映し出す。
「うぅん…。 これじゃ、近接は対応できても魔法がダメな気が…」
まだPKと決まった訳ではないが、怪しすぎるという事でほしねこは上層部に連絡を入れる。
「PKらしき奴がいる」
『何処だ?』
「ユウの周辺。 まだ確定はしてないから一応顔出してみる」
『此方でも確認しておこう。 もしPKなら構わんからぶちのめせ』
「そのつもり」
簡単に連絡を終えると、ほしねこは直ぐに再度ログインした。
ログイン場所はグランディオーソの森の前。先程ユウがいたのはグランディオーソとアンダンテの間の平原だ。
「丁度いい所っ」
ほしねこはINTを優先し、AGIも上げているのでユウの魔法型と言うステータスだ。故に、歩いているユウに追いつくなど、造作も無い事だった。
直ぐに背中が見えてきて、ほしねこはどう声を掛けようか悩んだ末、もう全部打ち明けて嫌われるなら嫌われようと決めた。事実、嫌われても仕方ない事をしているのだから。
「ユウ」
「うわっ!?」
急に背後から声を掛けた所為で驚いて振り返るユウ。
「あれ、お前…」
「ひょっとして、アキにでも聞いた?」
「あ、あぁ…」
流石にスクショが届いたとは言わなかったユウである。
そこでほしねこは深呼吸し、サーチスキル100で習得する【超広域索敵】で周囲を確認してからユウに何者かを打ち明ける。
「信じるかどうかは任せる。 私は、GMの1人」
「は、えっ!?」
「早急にログアウトさせるために合流したの」
「あ、そうなんだ。 以外と優しい」
「それよりも、今、囲まれてる。 敵か知らないけど」
ユウはそこでサーチを発動させたのだろう。顔をしかめて周囲に目を向けた。
「わざわざ警告に?」
「違う。 手伝いに来た。 除去も、シナリオも」
「あれ、普通にログアウトさせてくれるんじゃなかったのか…」
「私の作ったシナリオなんだから、頑張って…?」
「しかもお前のかよ」
「とか言ってたら、視界に入るほど近付かれてる」
「おっと…」
ほしねこの勘はあたっていたようで、既に全員が武器を手にしている。
「魔法使いは任せて」
「あぁ」
ユウも戦闘型の横にマジシャンの文字が出ている事は確認済みだから、ほしねこに任せれる。自身はほしねこを守る様に近接組に太刀を向ける。
「レベルの高いサーチスキルか」
ナイフ使いがそう呟く。
「PKすれば関係無いでしょ」
魔法使いの1人が言う。10人は全員頷く。
「なぁ」
「ん、どし、た?」
「始まって3日目でPKが出るって、案外治安悪いゲームなのか?」
「そんな事は、無い…」
そう言ってほしねこは自分を中心に周囲に向かって習得したスキル【星重魔術】の初期スキル【グラビティ】を発動させる。
【グラビティ】は相手を重力でその場に押さえつける範囲スキルだ。
「ぐっ!」
「な、んだ…っ」
呻くPK達。彼らの間違いは、相手がユウとほしねこだった事だ。
「うわ、すげぇ…」
「MPが凄い削れるから切れる前に殺って」
「OK。 【一閃】」
ユウは倒れ伏す相手に容赦なく剣を振るう。
「【スターシュート】」
ほしねこも容赦なくスキルを撃ち込む。
ほしねこの周囲に赤、青、白の球体が浮かび、相手に向かって飛んでいく。直撃した相手は吹き飛んでそのHPを散らした。
「【全てを焼き払う古代の炎よ、今一度此処に具現し、我が敵を焼き尽くせ エンシェントファイア】」
さらに火魔法スキル100で覚える最後のスキルを放つ。残り数人も炎に焼かれてHPを0にした。
「【一陣・風】」
ユウは目でとらえれない速度で太刀を振るう。最後の1人のHPを削りきり、太刀を鞘に納める。
「PKが弱く感じたが、ほしねこが強かっただけだな」
「私、役に立った…?」
恐る恐る尋ねるほしねこにユウは当然だ、と頷く。
「よかった…。 これで、やっとユウに先に進んで貰える」
「…え?」
「これからは、ハイスピードでいく。 タイムア○ター。 トラン○ム」
「いやちょっとのんびりしたいなーと…」
「それは許さない」
「なんでさーっ!!」
「…逃がさない」
AGI全開で走っても、レベルが上のほしねこを振りきれる訳が無い。だからこそ、ユウはアンダンテの町に隠れようとして、グラビティで捕まった。
「おまっ。 コレ卑怯…!」
「次、私から逃げたら………ね?」
「ね? ってなにね? って!」
「貴方の現実の身体に酷いことする」
「脅しだ! GMが脅しに出てる!」
「私の事口外しても、酷いことする」
理不尽だ!と思いながらもユウは必死に地面を這って逃げようとする。が、ほしねこがMPポーションを呑んでMP上乗せで重力を強くして地面に押さえつけられる。
「あ、別にゲーム内の身体に酷いことしていいなら、現実は救ってあげる」
「いや、酷い事って何する気だ…?」
「密室に連れこんで襲う」
「犯罪だ…!」
「GMだし、その辺の都合はつく」
「付けたらダメだろ!?」
「安心して。 精神的に追い詰められるだけだから」
「取り敢えず逃げないから勘弁して下さい!」
「よろしい」
満足げにほしねこが頷く。
ユウは解放されたが、若干HPが減ったのでポーションを呑んで回復させる。
そう言えばここってアキが良く通る道だったな、と思いつつ友達リストを開いてみる。
【ほしねこ:55】
【シキ:レベル48】
【アキ:レベル35】
【×ナギ:レベル31】
【×チル:レベル35】
なんかほしねこが勝手に追加されているが、そこは気にしない事にした。チルとナギはアレからログインしていないのだろう。
そして、アキがログインしているという事は…。
近くの門からアキがつるはしを担いで鉱山に行こうとしている。ユウはチャットを飛ばしてみる事にした。
『今から採掘?』
『あれ、何処かから見てるの?』
『左斜め前』
アキがユウに目を向ける。続いて、その背後にいるほしねこへ--
「ほしねこちゃんっ」
「ひっ…!」
ユウも驚くスピードでアキがほしねこに飛びつく。ほしねこの口から小さな悲鳴が漏れる。
「この子借りて言っても良い!?」
「どうぞお好きに」
「ゆ、ユウ…!?」
見捨てないで!と言いたげな目を向けられたが、ユウは応じなかった。さんざんGM権限で脅されたのだから、ちょっとした仕返しをと思ったのだ。
「ゆ、許さない…! 後で、絶対に酷い目にぁゎ………」
「勤めて聞かなかった事にしよう」
ユウは現実逃避をしつつ、ほしねこ達を追う様にアンダンテに入り、戻って来た用事を済ませたのだった。
遅れてすみませんでした!
お詫びに明日もう一話 (ふらぐ)




