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One Route Online  作者: 向日葵
~ログアウトを目指して~
10/25

コミュ障弓使い

話が進まない上に、短め。さぼり過ぎましたね(。

おまけ的要素として見て貰えると幸いです。

 シナリオ3をクリアした後、直ぐにチルはログアウトした。

 1人になったユウは、取り敢えずクエスト完了を報告してシナリオクエスト4を受け取った。その内容を見て、一瞬目が点になった。


【ゴブリンの巣窟クリア:0/1】

【???(???は町や村にある図書館で調べる事が出来ます。探したい情報が載っている本は薄く発光しています)*シナリオ5扱い】


「???って、なんだ? しかもシナリオ5扱いって…」


 ボス系統のモンスターか何かだろうか、と考えつつもチルに一度連れて行って貰った図書館に向かう。そして、ほどなくして到着する。

 村の図書館は人気が無く、とても静かな場所だった。窓の外から見える景色は木だらけだったが、落ち着く事が出来る場所だ。

 軽くあたりを見渡してみると、説明に遭った通りに薄く発光している本を見つけた。

 手にとって読んでみると、そこにはゴブリンの巣窟についての注意点が記されていた。


「えーと…。 『ゴブリンの巣窟には、ファイター、アーチャー、マジシャンの計3種類のゴブリンが存在する。 さらに、各ボスゴブリンも数体巣窟の奥にいる。 此処までならばバリケードを守っていたゴブリン部隊と変わらない気がするのだが、問題はその地形だ。 狭く、罠などが仕掛けられている。 有利に戦うためには、余り大人数でいかない方がいい。 信頼できる遠距離武器の仲間と共に闘うのが適切だろう。最後に、ゴブリンの巣窟には別の場所に繋がっている所もある。それを十分注意するに越した事は無い』………か」


 要するに、あの防衛線突破クエストの上位互換だと考えても良い訳だ。それに加えて、クリア後も気を抜かない様にしなければならない、と言うのがこの説明にはあった。


「信頼できる遠距離武器の仲間…」


 ユウは友達リストを開く。


【アキ:レベル26】

【×ナギ:レベル31】

【×チル:レベル35】


 ×マークが付いているのはログアウトしていると言う事を表している。

 アキはまだログインしているようだったが、いかんせんレベルが離れすぎている。その上、遠距離武器を使っていないからレベルが足りていても意味が無い。

 ユウはごり押しで行こうか…、などと考えながら図書館から出ようとして、誰かにぶつかった。


「あ、ごめん…」

「ごめんなさい」


 互いに頭を下げて謝る。ユウがぶつかったのはアキ(157cm)よりも少し高い背丈の少女だった。蛇足だがほしねこは143cmだ。

 ユウは反射的に相手の頭上の情報を見る。


【名前:シキ】 【ルート:戦闘型:アーチャー】 【レベル:45】


「つよっ!」


 ユウはレベルに気を取られて気付いていないが、戦闘型の横にアーチャーと付いているのは弓スキルをレベル100まで上げているという事を示している。ユウの太刀は現在レベル35だ。そしてレベルは37。どちらもシナリオ3をクリアした時に上がったのだ。

 この場にチルがいたら間違いなくシキに「廃人乙」と言っていただろう。


「この世界の基準が良くわからないわ…」


 シキが言うには、此処に来るまでにシナリオをやりながら弓矢で相手を射抜き続けていただけ、だそうだ。口ぶりからして、今までソロでやってきたようだ。

 弓自体は片手武器ワンハンドウェポンだが、相手いる方のスロットに矢をセットしなくてはいけないので、実質両手武器(ツーハンドウェポン)に分類される。

 遠距離1人で此処に来るまでのシナリオを終わらせたのか…、と戦慄しながらも感心する。


「シナリオってどこまで進んでるんだ?」

「んぅ…? どして?」

「いや、もし1人でシナリオ4クリアしてたら行けるかな、と思って」

「あぁ…。 ゴブリンの巣窟クリアのクエストね。 あれ、ゴブリンの巣窟はクリアしたのだけれど、その後のマップで殺されたわ…」


 マップには???と表示されていたらしい。そこにはファイター、アーチャー、マジシャン以外にも、ウォリアー、シャーマン、シールダーなどがいたそうだ。勿論、各ボスゴブリンも存在したらしい。


「マップ自体は狭かったのだけれど…」

「そりゃ幾ら狭くても6種類のゴブリンがいたら弓矢だけじゃ対応できないもんな…」

「スキル使っても無駄だったしね…。 一撃で消し飛ばされたわ」


 いくら弓スキルが100に達してようと、数の暴力には敵わないのである。ユウが1人で行った所で帰り打ちに遭うだけだろうと思いつつも、少し気になった事があったので聞いてみる事にした。


「なぁ、シキって防御幾らぐらいなんだ?」

「防御…物理が29で、魔法が32よ」

「…俺より低い?」


 レベル差はあるのにどうして…、と思ってから今自分の装備している服を作ったのは誰かを思い出した。あのつるはしの一撃でゴーレムを砕いたりする生産型が作った服なんだからそりゃ防御は上になるよな…なんて思いながら、一応ユウは提案してみる事にする。


「…知り合いに武器&防具と言うか服を扱う生産型いるけど、会ってみるか?」

「…私の欲しい服が出来る保証が無いなら、行かない。 コミュニケーション苦手なのよ」

「普通に喋ってるくせによく言うよ…」

「ここが図書館だもの」

「答えになってないぞ…」

「事実、私は此処から出たら貴方とも喋れないと思うわよ?」


 面倒な性格だな…、と思いつつ欲しい服が作れるかどうか確認するために聞く。


「……袴」

「袴か…」


 ユウはアキがまだログインしている事を確認してチャットを飛ばす。


『今暇してる?』

『んぅ? どうしたの?』

『なんか弓使いの人が袴欲しいとか言ってるけど、作れたりする?』

『袴は………、あるね。 作ったら素材がほとんど無くなっちゃうけど』

『何G分くらい?』

『10万G分くらいかな』

『作って売るとしたらその値段?』

『着る人に寄るかな~』

『要は連れて来いと?』

『せーかいっ。 もし似合わなそうな人だったらユウさんを拉致監禁します』

『レベル差的に無理だろ』

『チッ』

『んじゃ、今から行こうと思うけど大丈夫か?』

『問題無いよ~。 御持ちしてますっ』


 チャットを終えてシキに向き直る。


「作れるらしいけど、本人を連れて来いってさ」

「う、うぅん…。 此処から出たらチャットしかしないからね…?」

「そんな涙目で言わなくても…」


 そう言いながらシキを連れて図書館から出る。偶に後ろに目を向けると、ビクゥッと反応するシキ。どうやら図書館の外で普通に離せないのは本当らしい。グランディオーソを一緒に行くためにパーティを組んでおく。

 道中は、シキの弓スキル50で覚える【一矢・鋭風】の一発一発で敵を殲滅して行った。勿論ユウも近付いてきた奴の相手をしていた。

 ものの3分でグランディオーソの森を抜け、そこからはシキにチャットで『走るけど、AGI上げてる?』と聞き、DEXとAGIに極振りしている事を確認し全力で走ったのだが、流石ユウよりもレベルが上と言うべきか、スピードアップⅢを付けなければ追いつけないという事態に陥ったが、無事にアキが今のところ拠点にしているアンダンテに到着。連絡してから5分くらいしか経っていない。


「えーっと…。 あ、いたいた」


 いつもの広場のいつもの場所でアキは露店を出していた。


「あ、早いね~…。 トランクィッロから来たんでしょ?」

「あぁ。 思った以上にシキ…弓使いさんが強くてな…」

「で、その弓使いさんは?」


 ユウが振り向くと、シキは少し離れた所で此方を見ており、ビクッと反応する。


「あれだな」

「黒い、長い髪…? ちょっと遠くて分かりにくいなぁ…。 なんであんなに離れてるの?」

「なんかコミュ障らしい」

「どうやって知り合ったのさ…」

「図書館なら普通に話せるらしいぞ」

「ならもう作っちゃったし図書館に移動しよっか」


 チャットを開き…。


『図書館行くらしいから付いて来て』

『えぇ。 了解よ』


 面倒だな、と思ったが口には出さない。本気でコミュ障の人は真剣に他人と関わる事が出来ないらしいし、というのがユウの知識だった。

 アキと共に図書館に入ると、続いてシキも図書館に入ってきた。


「あ、結構綺麗…」

「ごめんなさい。 さっきあんなに離れた所にいてしまって…」

「むむっ。 これは…」

「…?」


 シキは困惑した様な顔をしているが、アキは興味ありますっ!って感じでシキをじーっと見つめている。


「はい、これ頼まれてた物。 ちょっと装備してみて~」

「袴…」


 受け取ったシキは袴を装備する。そして--


「ふぉぉぉっ。 めっちゃ似合うよっ!」

「…あぁ。 此処まで似合うと逆に驚きだ」

「袴…」


 自分の着ている服が袴だという事に感嘆の声を漏らすシキ。女性用の装備の様で、胸当ても付いている。


「うれしい…」

「なら良かった。 また何か用があるならこいつの店に行ってやってくれ」

「そうするわ」

「って、ユウさん何処行くの?」

「ん、ちょっとスキル上げに行かないといけないから」

「武器新しくしたら? 代金は取るけど」

「あ、それもそうだな…」


 行ったんアキの店に戻ってから行くか、と思っていたのだが、取引ウィンドウを開かれ、そこに制作された太刀が表示される。勿論+Lだ。


「代金は?」

「そうだねー…。 2万Gでいいよ」


 2万Gを取引ウィンドウに入れ、取引完了ボタンを押す。


「それじゃ、頑張ってね~」

「おう。 んじゃ、シキも頑張ってなー」

「ありがとう」


 そして無言で友達申請してきたので、承諾しておく。

 アキとシキと別れ、1人でトランクィッロまで戻る。道中にいたゴブリンは逃さず狩りつくして行った。

 その甲斐あって、レベルは39に、太刀のスキルレベルは40になった。その他のスキルは良く使うのですでに50を超えたりしているが。

 トランクィッロに着いて、何処でスキル上げをしようかなと思ったが、やはり思いつくのはグランディオーソの森だと思い、来た道を引き返す。


 何時間戦っていただろうか。太刀のスキルレベルが50を超えた所で気力が尽きた。一体、シキはどうやってスキルレベルを100にしたのだろうか。ユウのレベルは45に達していた。


「なにかコツでもあるのかな…」


 トランクィッロに戻り、宿屋のベッドに倒れ込みながら呟く。

 今日だけでシナリオを3つクリアしたのだ。無意識のうちにかなり疲れてしまっていたようだ。

 友達リストを開いてみると、全員に×マークが付いていた。今の時刻は午前1時だからだ。


「明日で何処までシナリオ進めるかな…」


 2桁前くらいまでは行きたいな、と思いながらもユウは意識を手放した。

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