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エピソード5
「全く、満ったら桔梗をほったらかして。告白したのは満からなのに最近どころか7ヶ月も桔梗を差し置いて仕事にしかめがないようね。」
ジャスミンが不満をぶちまけるのを、苦笑しながら聞き流す。
「まあまあ、満も仕事がたまってたんでしょ。そんなにしわをよせていると取れなくなるわよ。」
散々にけなされている満がちょっと可哀そうになって助け舟を入れると、落ち着いたのかお茶をすすった。
「でも、桔梗もちょっとやつれてきちゃったし、可哀そうじゃない。」
まだ収まってはいなかったようだ。仕方なく伝家の宝刀をぬく。
「ふふふ、満には後でお灸をすえておくからそこまでにしてあげなさい、マリア。それよりも舞鶴からおいしい和菓子を貰ったのよ。だけど私はあんまり甘いものが好みじゃないから、おいたままになっているの。だけど腐らせちゃったら失礼だから食べてくれないかしら。」
「ほんと!!やったー!!」
甘いものに目がないマリアは一瞬で機嫌を直した。
「では、ユウに持ってこさせるわ。ちょっと待ってて。」
そういって室内電話に手を伸ばし、受話器をとると目の前があっという間に暗くなった。