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エピソード2
軽くため息をついてサインや、処置について膨大な量の書類に万年筆を走らせる手を止めた。
「今何時だ」
そばで自分と同じく書類にペンを走らせているとても美しく艶めかしい男が書類にサインする手を止めずに聞いてきた。
「ちょうど午後3時になりましたよ。休憩しますか?」
私は、そばに座って仕事をしている男、表では世界屈指の資産家として名を馳せ、裏の世界をすべる陰流家現当主、陰流紫蘭にそう答えた。
「そうだな。桔梗も夕顔も暇しているだろうからな。」
「では、抹茶と和菓子でよろしいですか?」
「ああ。」
紫蘭様がそう答えたのを確認して席を立とうとした瞬間だった。視界が闇に包まれた。