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エピソード1
その時、桔梗は自分の庭で静かに本を読んでいた。
「若、そんなところで本を読んでいたら風邪を引きますよ。」
後ろを振り向くと、其処にいたのは護だった。予想した人間ではなかったことに少しだけ落胆する。
「護」
私の少しがっかりしたような声に護が苦笑する。
「本人を前にしてそんなにがっかりしないでください。満は任務についていますよ。あと1時間ほどで帰ってくるそうです。」
「そうか。」
護の言葉に短く返して本を閉じた。
「父上のところに行く。護衛に話をとおしておいてくれ。」
「わかりました、若。お気をつけて。」
護が綺麗なお辞儀をするのを背に桔梗は服を着替える為に自分の部屋に向かおうとした。
「若!!!」
護の言葉を聞いた瞬間目の前に黒い闇が広がった。