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東方転犬録  作者: レティウス
娘が頑張る妖々夢
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STAGE2

先週は風邪引いてダウンしてました

 レティさんたちと分かれ再び空を飛んで異変の原因を探っていると、なにやら魔法の森のほうが騒がしくなっているのを感じそちらへと向かってみる。


「だーかーら!私は知らないって言っているでしょ!自分たちでなんとかしなさい!」


「つってもなぁ、霊夢が怪しいって言っていたし、何だかんだでお前って色々とやってそうだぜ」


 現場へと到着すると、アリスさんと白黒の服を着て箒を持った少女と、それをだるそうに眺める紅白の巫女が言い争っていました。


「なんですか、この状況は?」


「あんたいい度胸しているわね……あら?椛じゃない」


 私が近くにいることに最初に気づいたのはアリスさんでした。白黒の少女と先ほどまで言いあっていて激昂しているのかと思いきや、私に話しかける口調は普段のそれと変わらないものでした。


「お久しぶりです」


「ええ、そうね。貴女のお父さんとはこの前会ったけど」


「ご迷惑おかけします」


「そうね、事実だけど……何だかんだで憎めないのよねぇ。世話にもなっているし」


 それがお父様の魅力でしょう。何だかんだとちょっかいかける人なのですが、その半面ある程度は面倒も見てくれるので、憎めないとかありますからねぇ。


「おいおい、私と会話しているのに余所見はないぜ」


 ぜ?おかしな語尾ですねぇ。それに、口調も大分荒っぽいですし、女性としてあまり関心しませんよ?


「会話ってあんた……」


 ああ、アリスさんが呆れていますねぇ。ちょろっとしか聞いていませんが、この白黒女性がなにやらアリスさんに因縁をつけているって感じにも聞こえましたから、あしらっている部分もあるのでしょうか。


「んで、だれなんだ?」


「普通なら最初に聞くことでしょ。魔理沙はいつもいつも、自分の道を進みすぎよ」


「照れるぜ」


「褒めてないわよ!」


 あぁ、なんかデジャヴが。確実にこの魔理沙と言われた少女は素で対応してますが、お父様だとからかいの意味でやりますね。


 清明さんや玲央様の話だと昔はそこからさらに話を脱線させようとしたらしいのですが、多少は落ち着いたらしく最近だと笑っているだけだそうですが……あれで、ですかねぇ?


「おい、なんか呆れられているんだが」


「あんたのせいでしょ!」


 アリスさんも気苦労が絶えませんねぇ。もう少しおおらかになれば、楽になると思いますが。


「そんで、誰なんだ?」


「指を差さないの。ほら、この前会った真理の娘よ」


「真理って……あぁっ!」


 突如魔理沙さんが大声を上げ、こっちを見て目を見開いています。

 

 私は、そんな魔理沙さんの声が五月蠅く耳を塞いで顔をしかめてしまう。お父様ほどではないですが、玲央様たちに鍛えられ、五感も強化されていますので、やめてほしいです。


「真理の野郎にまだ借りを返してねぇ!すっかり、忘れていたぜ」


「借り?」


「おうよ!前に、スペルカードルールの試しってことで勝負したんだが、やられたままだぜ」


「あぁ……あの時の実験台だったんですね。お疲れさまでした」


 お父様が誰かしらとやったとおっしゃってましたが、それがこの魔理沙さんだったとは。縁というものは不思議ですねぇ。


「真理に伝えておいてくれ、必ず借りは返すって」


「やり返されるのが目に見えていますが、伝えておきます」


 まぁ、遊びなので万が一も……あり得ませんねぇ。お父様って何だかんだで負けず嫌いですし。何より、お父様に勝った後が大変ですしね。


「だったら、これで勝負だ!勝ったほうが、負けたほうの言うことを聞くってのはどうだ?」


「ああもう!分かったわよ!好きにしなさい!」


 そう言って、二人とも空へと上がっていってしまいました。その間に、他へと向かってもいいのですが……見るのも勉強になりますから、見ていましょう。


 戦いが始まり、少し経ちましたが、同じジャンルでの戦いのためか、圧倒的とまでは言えませんが、アリスさんが有利に進めていますね。


 魔理沙さんも、あの若さであの実力は相当なものだと思うのですが、いかんせん、アリスさんの実力はそれこそ長い長い間の研鑽によるものもあるので、上回れないでしょう。


「教えてやるぜ、弾幕はパワーだぜ!恋符『マスタースパーク』」


「きゃぁっ!?」


 このまま魔理沙さんが負けると思いきや、追いつめられた魔理沙さんが放った一撃が、アリスさんの弾幕ごと飲みこみ、アリスさんもろとも撃破しました。


 しかし、マスタースパークって、あれは幽香さんの技ではなかったでしたっけ?彼女が魔理沙さんに教えるとは到底思えませんし、自力開発してたまたまなのですかね?


 決着がついたようで、降りてきたアリスさんは一言二言魔理沙さんに伝えた後、こちらに向き直りました。


「それで、椛はどうしたの?」


「そうでした。この異変の原因を探っていて、こちらが騒がしかったので来てみたんですよ。

 大体の会話の流れで検討はついていますけど、一応お尋ねします。

 アリスさん、この異変について何か知ってます?」


「知らないわよ」


「分かりました。では……」


「まちなさい」


 アリスさんに頭を下げた後、飛び去ろうとしたら紅白の巫女に止められた。


「なんですか、愚鈍な博麗の巫女」


「っ。あんた、なんでこの異変を調べているのよ」


 米神をひくつかせながらも、一番聞きたいことから聞いてきましたか。


「そうですねぇ……愚鈍な巫女のせいで、異変以上のことが起こりえそうだからですからね」


「あんた……」


 凄い凄い。歯ぎしりしそうな感じでこちらを睨みつけてきます。


「そんなに、見つめないでください。照れます」


「全く表情変えてないのになにを言っているのよ!」


 ついに爆発しましたか。こらえ性がない方ですね……ここら辺は天狗様あたりと変わらないでしょうか?


「愚鈍を愚鈍と呼んで何が悪いと?」


 私も人のことは言えませんが、知ったこっちゃないです。つつけるときは徹底的につつけがうちの家訓ですし。


「喧嘩を売っているなら買うわよ?」


「そんな暇があったら異変を解決するために動いてくださいよ。だから、あなたは愚鈍でおろかで、貧相なんですよ」


「貧相は関係ないでしょうが!」


 こちらの挑発に面白いように乗っかってくる博麗の巫女。私は、そんな博麗の巫女の体を眺めて。


「はっ」


「鼻で笑ったわね!」


「ちょっ、おちつけって霊夢!」


「黙れ!」


 先ほどまで、アリスさんとやりあっていた魔理沙さんが、博麗の巫女を羽交い絞めして止めてくれます。


「改めて、またうちにでもいらしてください。失礼します」


「あんたも、真理の娘ねぇ。えぇ、そのうち行かせて貰うわ」


 アリスさんにお辞儀をして今度こそ飛び立つと、後ろから凄いプレッシャーが追いかけてくるのを感じますが、どうでもいいことですので、放っておきますか。

アリスと戦うと思った?残念!戦いませんでした。


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