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東方転犬録  作者: レティウス
観察する紅魔郷
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エピローグ

あとがきにて、お知らせがございます。

 博麗神社。


 普段は人が訪れるには辺鄙な場所にあり、また道中で妖怪に襲われるかもしれないというリスクがあるために、参拝客どころか人がめったに訪れず静かな場所であった。


 しかし、今はその静けさはどこへやら。あちらこちらから、笑い声や何かを言いあう声、とにかく静けさとは無縁な楽しそうな声が漏れだしている。


「貴様!咲夜特性のその佃煮は私が狙っていたんだぞ!」


「知らないわよ。名前でも書いていた?書いてないでしょ?だったら、早い者勝ちよ」


「お姉さまったらみっともないわねー」


 その光景はまるで宴会。異変を起こしたものと、解決した者が一同に揃い、卓を囲み酒を呑み交わしている。


「うおっ!なんだ、この鳥料理は!?めっちゃうめぇ!」


「私にも食べさせなさいよ!」


「チルノちゃん、落ち着いて食べようよ」


「ルーミアも食べるのだー」


 卓に並ぶ料理はかなりの量に無国籍。そもそもが、大陸からやってきたレミリアが起こした異変である、並ぶ料理は純和風のみとはいかないだろう。……ただ、魔理沙が食べている唐揚げが西洋料理でないことは確かだ。


「ったく、なんでうちの神社で宴会なんてしているのよ」


 手にもつ酒の入ったコップを傾けながら霊夢が文句を漏らす。


「さらに言えば、妖怪なんて招いてちゃ参拝客が来なくなっちゃうじゃない」


「安心しろ、招かなくても来やしない」


「ぬぁんですってぇっ!」


 霊夢の文句にすかさず突っ込みを入れるレミリア。周りのメンツも同意なのかしきりに頷いている。


 ただ一人、霊夢のみがぎゃあぎゃあと騒ぎ立てる。


 ただ、その騒ぎもまた宴会の一興と捉えられ、皆の顔には笑顔が浮かぶ。


「洋酒を飲む機会ってのは少ないからなぁ、飲み貯めしておかんと」


「あまりケチくさいこというな。いざとなれば、お前は外に買いに行けるだろうに」


 そして、なぜかちゃっかりといる真理は清明とともに、レミリアが持ち込んだ酒のワインと次々と空けていた。


「貴様!そ、その手に持つワインはどっから持ってきた!?」


 そんな真理たちなど今まで空気にして霊夢と話していたレミリアだったが、真理が更に空けたワインを目ざとく見つけると、食ってかかる。


「ん?」


「ん?……では、ない!それは、私が楽しみにとっておいた、とっておきではないか!」


「フランがどうぞって、来たしょっぱなにくれたんだが?」


「フラーーンッ!」


「ごめんなさい☆」


 テヘッと舌をだし謝るフラン。そんな、姉妹のやりとりなんてなんのその、真理と清明は無常にもワインの封をあけ、コップに注ぎ飲んでいく。


「あーーーーっ!」


「つか、酒なんて後生大事に取っておいても意味ないだろ?」


「貴重な貴腐ワインだったんだ!それしか残ってないからちょっとづつ飲んでいくつもりだったの!」


 真理の前でいいように弄られるレミリア。威厳のある喋り方から、少女のそれへと変わっていく。


「下がってくださいお嬢様!」


「咲夜?」


「かふっ」


 そんなレミリアの前に咲夜が躍り出る。涙目で見上げてくるレミリアを見たら、咲夜の口の端から何故か血が流れ出る。


「くっ、やりますね」


「いやいや、何もやってねぇよ」


 口端を拭いつつ、そんなことを言う咲夜に呆れ顔をしつつ返す真理。


「咲夜、大丈夫よこの人は……」


「とにかく、お下がりください。こいつは、私の世界でも動けます!」


「なっ!」


 顔見知りのため、未だに警戒している咲夜を下げさせようとするレミリアだったが、咲夜から告げられた言葉に言葉を失う。


「そういえば、こいつらの能力なんて知らなかった……」


「おいおい、こいつらとは御挨拶だな……玲央呼ぶぞ?」


「すいませんでした!咲夜も謝りなさい!」


「お嬢様?」


「いいから!」


「は、はい!」


 よっぽどトラウマなのだろうか?真理から玲央を呼び出すと告げられた瞬間、恥も外聞もかなぐり捨てて、謝るレミリア。


 そんなレミリアの姿に疑問をもった咲夜だったが、レミリアの気迫に負け、ついでとばかりに謝らされた。


「ったく、楽しい宴会の席であーだこーだ言うなよ」


 呆れた声とともに一口。それだけで、コップに入っていた酒が消える。ただ、表現は一口に一気にとしか言えないのだが、何故か普通に飲んでいるという姿に見えるのは、彼自身は嬉しくもなんともないが、顔の作りがいいからだろう。


「てか、誰よあんた。清明と一緒にいるってことは知り合いなんでしょうけど」


 今まで黙っていた霊夢だったが、事態も落ち着き最初から思っていた疑問を真理へとぶつけた。


 まぁ、異変と関係ない人物がいれば仕方もないことだろう。そう思い真理は一度居住まいを正し、霊夢に向き直る。


「お初にお目にかかるな、今代の博麗の巫女よ。俺は、風由真理。ちょっと長生きしている犬の妖怪さ」


「ふーん」


 いつもの決まり文句の挨拶をする真理だったが、霊夢の反応は淡白だった。


「ほれ、霊夢も自己紹介くらいせい」


 ふーんの一言で終わらせようとした霊夢だったが、清明に注意を受けてしょうがなく挨拶をしてやるという雰囲気となる。


「何代目か知らないけど、博麗神社の巫女の博麗霊夢よ。いい?騒ぎを起こさないでね。私が出張るなんてめんどくさい」


 不遜も不遜な態度に、これが天狗ならば怒りを通り越してすぐにでも死闘に発展しかねないが、相手は良くも悪くも真理である。


「はっはっは、中々に愉快な巫女だな。安心しろ、俺は騒ぎを周りから眺めるのは好きだが、自分から起こすのは得意じゃないんでね」


「はた迷惑な奴」


「よく言われるよ。だがな、性分なんでね、直す気はさらさらないさ」


 霊夢の態度にも軽く流す貫禄を見せる真理。何だかんだで、長年生きている分、ちょっとやそっとのことでは怒らないのである。


「ちょっと、どうでもいいけど、服がはだけすぎよ。胸が見えるわよ」


 周りもよく確認してみれば、真理が来ている着流しがはだけていた。


「別にかまわんよ。てか、勘違いしているようだから言うが、俺は男だ」


「はぁ?嘘をつくならもう少しまともな……」


「事実だぞ」


 霊夢が真理の言葉を否定しようとしたが、それを遮り清明がきっぱりと言い切る。


「え?うそ、その顔で」


「ほっとけ、人化の術で化けると何故かこうなるんだよ。元は、妖獣ということもあって元の姿は犬なんだが、もう長い間、人型になってしまっているからか、どっちが本当かわからん」


「ううむ。確かに白狼天狗などは人化ではなく、犬から人型へと変わるものだからなんとも言えんな」


「つっても、白狼天狗なんかも、昨今は結婚して子をなせば、それが普通の子として生まれるからなぁ」


「ふむ。面白い題材だが、宴会の席で話すことでもないな」


 霊夢たちを放って好き放題話ながら、酒を進める真理と清明。


 見た目のペースはゆっくりに見えるのに、彼らの隣に置いてある酒瓶の数が夥しいのは、それを否定していた。


「「ありえない、ありえない」」


 真理が男だと告げられて、何故か霊夢と咲夜が頭を抱えながら暗くなっていた。


「顔はまぁ、しかたないとしても、胸だけは……胸だけは勝てるとおもっていたのに!」


 咲夜のセリフが全てを物語っていた。ちなみにこの症状に陥るものは、持たざる者のみと追記しておく。


「まぁ、なんだ?博麗の巫女よ」


「なによ」


「酒、おかわり」


「出ていけ!」


 こうして、巷を騒がせた紅霧異変は幕を閉じたのであった。

稚拙、転犬録をご愛読いただき誠にありがとうございます。

このたび、お気に入りの数が1000件を突破いたしました。

感謝の意味も込めて、アンケートを実施しようと思います。


アンケートの内容はずばり、人気投票です。

作中に登場した人物でお気に入りのキャラを一人選び、投票をお願いします。

名前を思い出せないようなキャラでも、なんかこういう奴~みたいな感じで言っていただければおそらく私のほうで分かるかと思います。


ROM専のかたも、この機会にはぜひ参加していただければ幸いです。

あくまで一人一票としたいために、選ぶキャラは一人でお願いします。


この投票を元に、そのキャラを中心とした番外編を作成する予定です。




最後にお知らせとして、来週の更新はできないことをお伝えします。

クリスマス商戦後ということで、おそらく体力的に無理かとおもいますので……

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