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東方転犬録  作者: レティウス
観察する紅魔郷
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STAGE1

「お、始まったみたいだな」


 昼間なのに、暗くなったと思い外を見れば、空は赤い霧に覆われていた。


「二度ネタはつまらんのだがな」


「言ってやるな。知らん奴も多いしな」


 清明の辛口のコメントに苦笑いしながら立ち上がる。


「何処に行くのだ?」


「邪魔するなとは言われたが、見ちゃダメとは言われてないんでね、見学してくる」


「物好きな奴だ」


「知っているだろ?」


「ああ、もちろん」


 軽いやり取りをした後、俺は玄関を抜けて里へと向かっていく。


 里へと向かっていく途中、何故かしらんが妖精どもが活発化して、ちょっかいをかけてくるので、問答無用でピチュらせていく。どうせ、数時間後には復活するし。


「って、ん?」


 里へと向かっていると、里側ではなく湖のほうから力の流れを感じる。


「もしかして、直接元凶を叩きに行ったのか?」


 ふぅむ……今代の巫女は変わっていると周りが言っていたが、確かに変わっているなぁ。普通ならば、被害の確認とかの意味も込めて里に来るだろ?


 いや……そういえば、慧音がいるから人里は問題ないのか。それならば、確かに元凶を叩きに言ったほうが、結果的には被害は少ないかもな。


 そうとわかれば、力の流れを感じる湖へと向かうとしますか。




「わ~お。これは、壮観だな」


 空でドンパチやっているために、やりあっている連中よりも上へと昇り見下ろすように観察しているのだが、いやはやここまでとは。


「あれが、今代の巫女か。何故、博麗の巫女は脇を出したがる?あれが、正装なのか?」


 博麗の巫女をよく観察する。顔はまぁ、今までの歴代の巫女たちもそうだが、どことなく雰囲気は似ている。


 その身に宿す霊力は、歴代の中でも上位に君臨するだろうな。


 戦闘のセンスとしては、ふむ……清明が言っていたがいいセンスをしているな。これなら、早々に遅れはとらないな。


 さて、そんな今代の巫女の相手をしているのは、ルーミアだ。


 別にあいつってこの異変に参加しているわけではなかったと思うが、紫あたりに依頼されたか?はたまた、チルノたちと遊んでいるときにたまたま、かぶったからついでに参加か?


 別の場所から、魔力を感じるからそっちにはこの前あった魔理沙があたっていると思われる。


 そうすると、後者のほうが可能性は高いな。


 ルーミアは力が封印されているにも関わらず、よく戦えているな。そこらへんは、今まで生きてきた経験が物語っているのかね?


 ただ、新しいルールにのっとった戦い方をしているからやり辛そうではあるけど。


 博麗の巫女は逆にルールを提唱しただけはあり、悠々と戦えているな。ただ、ルール的に有利とはいっても、相手は妖怪だ。それなのに、優位ということは、この子自身の力もあいまったものだろう。


 針に札、あとは……玉?陰陽の文様が象られているから何かしらの効果はあるのだろうけど。


「あぶないのだー!」


「いい加減に!」


 あれは、何かなと思っていたら、ちょうど使ってくれて、効果が分ったが、ありゃホーミング性能を有したものらしいな。


 この前のアリスの話じゃ、誘導弾ってのは案外に難しいらしいから、あの玉は有効だな。


 ただ、間一髪でそれに感づいたルーミアが避けたのはよかったのだが、博麗の巫女は面白くないようで、顔をしかめている。


 その後も、ルーミアが作ったスペルカードを博麗の巫女がすべてさばききり、お返しとばかりに一枚の札を取り出した。


「霊符「夢想封印」」


 七色に輝く霊力弾がルーミアに襲いかかる。


 ルーミアはというと、さすがにさばききれなかったのか、直撃を喰らい落ちて行ってしまった。


 その後、少し話していたのだが、博麗の巫女は用は済んだとばかりに紅魔館へと向かって飛んで行ってしまった。





「おつかれさん」


「真理なのだー」


 博麗の巫女の向かう場所は分っているので、それよりも先に知り合いの元へと訪れた。


「怪我は……なさそうだな」


「滅さないかと聞いたら、『そんな面倒なことするか』って言っていたのだー」


「なんだそりゃ」


 まぁ、悪さをしたわけじゃないし、清明たちの話を総合すれば滅さないのは分っていたが、それを面倒ですますなんてな。


「真理は、どうしてここにきたのだ?」


「ん?新しい博麗の巫女のデビューらしいからな。野次馬だ」


 俺の目的を教えてやると、ルーミアはかなり呆れた顔をした。


「本当に物好きね」


「いきなり素に戻るなよ。まぁ、そんなもんだよ。ここ最近は、これといって面白いこともなかったしな」


 子供口調から、元の口調に戻ったルーミアに苦笑いしつつ、本心を伝える。


「そういや、新しいルールはどうだった?」


「そうね……あなたじゃないけど、退屈している連中にはいい遊びだとは思うわ。それに、あの巫女ならば、多少のいたずらなら後でお詫びでもすれば問題ないと思うしね」


 なるほどなぁ。


「そういや、お前、封印解かなかったけど、解いたら勝てた?」


「はぁ?何を言っているのよ。力を封印したのはあんた達でしょうが。まぁ、勝てる勝てないで言えば、確実に勝てると思うわよ。確かに、才能がある子ではあったけど、経験が足りなすぎるもの」


 確かに、センスはいいのだが、まだまだ荒削りってのは否めなかったな。この異変で多少でも経験を積んでくれるといいな。それは、魔理沙にも言えたことだし。そういう意味で、今回清明は留守番なのかね?


「そういや、お前の封印だが、それ自分で解けるぞ?」


「はぁっ!?聞いてないわよ、そんなの!」


「あれ?清明が伝えたと思っていたんだが……まぁ、ドンマイ」


「それで済ますな!……って言いたいところだけど、力が余っていても仕方ないし、別にいいわよ」


 大声で叫んだと思ったら、すぐに反論を引っ込めた。現状に満足してそうだなこいつは。


「おーい、ルーミアー!」


「ルーミアちゃーん!」


「ほれ、友達が呼んでいるぞ」


「ええ。じゃあね、真理」


 それだけ言うと、ルーミアはチルノ達の元へと向かっていくので、俺も博麗の巫女を追いかけるために飛んで行った。

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