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東方転犬録  作者: レティウス
幻想郷生活篇
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人形師

「おーい真理」


「どうした?あと、ついにお前も人攫いか?」


「アホをぬかせ」


 人里の酒屋に外の酒が入っているか見に来ていたら、清明が金髪の少女を連れて声をかけてきた。


「ほれ、前に神綺が言っていただろう?」


「神綺が?」


 神綺といえば、魔界の唯一神だったよな?そいつが言っていたことって……ダメだ、愚痴しか覚えてない。


「はぁ、お前は相も変わらず、自分のためにならんことは覚えてないんだな」


「一々、覚えてられるか」


 清明が溜め息をつきながら毒を吐いてくるが、そんなもん一々覚えていたらきりがない。


 重要そうなことは覚えていたり、余計なことのほうが覚えているが。


「ほれ、前に魔界から地上に来るという子がおると言っていただろう」


「言っていたか?言っていたんだろうな」


 清明と神綺のほうが会う機会は多いし、そういうってことは言っていたんだろう。


「それが、この子だよ」


「へぇ」


 清明に紹介された子をよく見る。金髪を肩口らへんで切りそろえており、意思が強そうな目を持っている。少なくとも神綺とは似ても似つかんな。


「その……」


「おっと、失礼」


 ジロジロと見てしまったことで、何か不快なものでも感じたのか身動ぎをする少女。


「俺の名は風由真理。まっ、厄介事以外なら尋ねてきても邪険にはせんよ」


「アリス・マーガトロイドよ」


 そういって、挨拶するアリス。ふと見れば、彼女の肩にはなにやら西洋人形が座っていた。


「しゃんはーい!」


「喋った?」


「私は人形に命を吹き込むことを命題にしているの。この子の名前は上海」


 ふ~ん。まぁ、少女らしい夢じゃないか。


「へい、旦那。大陸の酒ですよ」


「お、サンキュー」


 お代を払い、品物を受け取る。日本酒もいいけど、たまには洋物の酒もいいかと思ってやってきたら、いいワインがあったのでついつい買ってしまった。


「お、美味そうだな」


「やらんぞ。思った以上に高かったんだからな」


 清明が俺の酒を見て、ロックオンする。だが、これは一人ゆっくり飲むために買った酒で誰にもやるきは無い!


「そういえば、神綺はいないのか?何だかんだで親馬鹿っぽかったが?」


「どうやら、アリスを地上に送るために結構無茶をしたようで、今回はきてないようだ」


「なるほどな」


 そういえば、魔界とこちらを繫げるのは骨が折れるとかなんとか言っていたような気がするし。


 俺としては、一回でも行ったことがあればあとは自由にいけるからそんなことを考えたことも無かった。


「そういや、住む場所は決まっているのか?」


「いえ、今日は清明さんの好意に甘えて家に泊まらせてもらいますが」


「うむ。ただ、うちの場合だと魔法使いにとってはあまり利点にもならんし、どうしようか迷っているのだよ。そんなときに、真理を見かけてな」


 なるほどなぁ。そういえば、清明の家ってただ単に、妖怪の山と人里の間に位置しているだけで利便性が皆無だったな。


 まぁ、清明の場合は飛べば一瞬だし、転移術もかなりのものだから、こいつに取っちゃ寝れれば問題ないんだろ。


「どこかよい場所を知らないか?」


「俺に聞くか?」


 俺の行動範囲は結構狭いぞ。ことさら、幻想郷を見て回ろうとも思ってないし……


「いや、前に変な幻覚を見せるような森があったな」


「ほれ見たことか」


 何がだといいたいけど、そういや、何だかんだで訪れたときに色々な場所を回ったな。


「幻覚ね……なんで、そこなのか聞いていいかしら?」


「いや、あそこなら魔術的にはいいのかと?魔法を使わんからなんともいえないけどな」


 俺が扱えるのはあくまで妖術だけだし。他の術も意味は知っているけど、扱えないから詳しくは学んでないってものが殆どだ。


 特に魔法に関して言えば、聖が扱っていたのを最後にパチュリーが現れるまで忘れていたくらいなじみも無かったからなぁ。


「一度、言ってみたいのだけど案内をお願いしてもいい?」


「かまわんよ。どうせ帰っても酒を呑むくらいしかやること無いしな」


「昼間からお酒なんて感心しないわよ」


「ほっとけ」


 幻想郷に来てからというもの、やることが減っちまったのが痛いな。前ならばあっちをふらふら、こっちをふらふらしていたのだが。酒の量は変わってはないと思うが。






「どうだ?」


「ええ、大気中にマナが溢れているわ。ここなら、私の研究も進むかもしれないわ」


「そりゃ、よかったな」


 案内した森に辿り着き、感想を聞いてみれば、アリスのお眼鏡にかかったようである。


「あとは、そうだなぁ……紅魔館にいるパチュリーを尋ねてみれば?あいつも魔法使いだったはずだし」


「しかし、パチュリーとはジャンルが違うだろ……いや、あの蔵書量なら案外ヒントになるものもあるかもしれんな」


 パチュリーのいる場所に思いをはせて可能性を口に出す清明。こいつってこんなに面倒見よかったか?


 まぁ、こいつのことなんて色々と柵が多いときに一緒にいた程度しかしらんから、それから開放されてこうなったのかもしれんな。


「さてと、家だが自分で作るかい?」


「ええ。流石にそこまで頼れないわ」


「いい心がけだ。んじゃ、近いうちに遊びにきな」


 そういって、後ろ手に手を振りながらアリスに別れを告げて家に帰った。

マナ云々はまたまた捏造設定です

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