唯一神
先週は東方輝針城をプレイしていたら、気づいたら12時でした。
さて、フランを引き取り、能力の暴走や情操教育を行うこと2ヶ月。
2ヶ月の間にフランの情緒も大分安定し、今では笑顔が耐えない少女となっている。
500年近く生きているから、時折見せる黒さは、まぁ、仕方も無いだろ。変なところで麻耶が茶々を入れていたからとは思えないし。
そんなこんなで、時間が過ぎ去っていく中、なにやら清明が朝っぱらからやってきて鍋を貸せと言ってきて貸しているのだが……
「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり……」
「あほかー!」
鍋を似ながらなにやら不吉な呪文を呟いていたので思わずハリセンで頭をどついてしまった。
「なにをする」
「こっちの台詞だドアホ。人ん家で何を召還するつもりだ」
「知っているのか」
てか、その呪文はネタに近いものだぞ。
「いやな、パチュリーのやつが秘書として悪魔を召還したと聞いてな、私もそろそろ助手が欲しいと思って」
「だからといって、うちでやる必要はねえだろうが」
料理を作ってくれるものばかりと思っていたら、とんだ期待はずれだよ!
「バズビ バザーブ ラック レク キャリオス……」
「だから、やめんか!」
また呪文を唱え始めた清明の頭にツッコミをいれてとめる。てか、さっきと違う呪文だぞそれは。
「何をする」
「だから、人の家でやるな。自分の家でしろ」
召還はしていいから、お前に勝てる存在なんて片手しかいないから心配はないし。
「しかしな、真理よ」
「どうした?」
なにやら急に真面目な顔になる清明。そんな様子の清明に思わず固唾をのんでしまう。
「私の家には大なべはないんだ」
「買えよ」
真面目に何を言うかと期待したら、とんだ期待はずれだった。
「まぁ、もう完成はしたんだがな」
「ああ、もう、好きにしろ。ただ、その鍋二度と使えんから、お前が買いなおせよ」
もう、疲れた。とっとと酒のみてぇ。
その後、ボンと煙を立てる我が家の台所。そして、煙が晴れるとそこには、先ほどまでいなかった人物が現れる。
「いったたた……何よここ」
「これが悪魔か?パチュリーのやつのとはまたえらく毛色が違うな」
「それは、見た目か?実際の髪色か?」
「どっちもだな」
現れた人物は、白銀髪をサイドポニーにしている女性である。見た目的には可愛いのだが、宿している力は結構でかい。
「はぁ?誰が悪魔よ」
「お前ではないのか?」
なにやら、話が食い違っているなぁ。とりあえず、召還された悪魔(?)を居間へと案内してそこで腰を落ち着かせて話を聞こう。
「……呆れた。何が呆れたって、悪魔召還を行って私を召還する貴女と、それに召還された私自身が」
そういって、深いため息をつく神綺。
「何処の世界に、魔界の神を召還する人間がいるのよ」
「ここにいるではないか」
「そういう意味ではないだろ」
まぁ、清明も分かっては言ってるだろうが。
「しかし、神様ねぇ。いろんな神を知ってはいるけど、神綺だったか?お前はその誰とも違う感じだな」
「八百万の神と一緒にしないでちょうだい。私は魔界の唯一神よ」
「どう違うのだ?」
「八百万の神はそれぞれに役割があるけど、私は魔界のすべてを生み出した始まりの存在なのよ」
へぇ。その後も色々と話を聞いていくうちに、なにやら愚痴になりはじめた。やれ言うことを聞かないだの、やれ敬ってくれないだのと。
「それにしても、ここが地上ねぇ。私の娘が一人来たがっていたけど、この世界を見ていると案外大丈夫かしら?」
その後も、色々と話しをしていると、突如神綺が周りを見渡しながら呟いた。
「そこそこの力を持っていて、そこそこの防衛力があれば問題ないだろ?」
「そうだな。おぬしの様に羽が生えているなら人里以外でなら問題ないだろ」
「あ、羽はないわよ。羽生えている子もいるけど、来たがっているのは貴方達と外見は殆ど変わらないわよ」
「それなら、人里でも問題はないか」
「ただ、魔法使いだから、人と一緒にいるかはわからないけど。力も私ほどじゃないけど確りつけているし」
「魔法使いか。そういや、昔知り合いに一人いたなぁ」
魔法という言葉で思い出す一人の人物。パチュリーなんかとはまた違ったタイプだったな。
「そうそう。ちょっと前に地上から人間がやってきたわよ。その子はなんでか知らないけど、魔法を使えたから今はちょっと教えてあげてるわ」
「へぇ、人間がねぇ……ん?」
そういや、誰かが、魔界に誰かが言ったとかいっていたなぁ。
「なんていう名前だったかなぁ……そう、聖だ。聖白蓮だったはずだ」
いや、すっかり忘れていた。
「あら、知っているの?」
「あん?お前も知ってるのか?」
「だって、地上から来たのがその子だもん」
「妙な縁もあったもんだ」
清明の言葉に思わず俺も神綺も頷いてしまう。いや、本当に奇妙な縁もあったもんだ。
「何で地上からと思ったけど、そこは聞いてないけど」
「まぁ、色々あったんだよ。話してないなら俺からは言うことはないな」
まぁ、正直に言えば、他人の事情なぞどうでもいいと思っているから。
「ん~、娘が来たら面倒を見てくれる?」
「俺じゃなくて清明に頼みな。てか、男に頼むのはどうなんだ?母親として」
「………男?」
「気づいてなかったのか。真理は男だぞ?」
娘を男に預けるなんて正気の沙汰とは思えんから突っ込んだが、もしかして例のごとくか?
「え、え?その顔で」
「言うな、万を越してなお、変化の顔が変わらないんだ」
「もう、お前はそれでいいだろ。昔みたいに怒りもしないんだから」
「まあな」
正直、見慣れた顔になってしまったから、逆に変えてしまうと違和感が酷そうでなぁ。
「ふ、ふふふ……これで勝ったと思わないことね!」
それだけいうと、神綺はいずこかへ消えていってしまった。
「なんだったんだろ」
「しまった。契約するのを忘れた」
「鬼かお前は」
「失礼な、私は人間だ」
いや、神を従者にする人間がどこにいるよ。その後も、清明は悪魔召還を行うたびに神綺を呼び出してしまい、結局諦めることとなった。
というわけで、今回は神綺様にご登場願いました。
本編で、絶対に絡ませられないと思っていずれ登場させようと考えていた一人ですね。
因みに、登場させるきっかけとなった悪魔召還のくだりですが友人に
『料理が下手な子が、怪しく鍋を回しながら呟いていたら怖くね?』
という台詞を聞いて、これだと思ってやりました。




