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東方転犬録  作者: レティウス
放浪篇
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眠りにつく者達

「それで貴女は一体この時間に私に会いに来たとは?」


「はい、貴女の噂はかねがね聞いております。なにやら命に対して憤慨があると。私ならばそれを解決する方法があります」


 夜、突如の乱入者に対しても神子は動揺することも無く乱入者に対して普段の態度で接しているが・・・壁に顔と手だけを出している青娥といった女はかなりシュールな光景だ


「ふむ、興味深いですね・・・しかし、その格好は聊か会いに来たという割には行儀がなってないんじゃないですか?」


「これは失礼しました」


 青娥は神子に注意されると直ぐに壁を抜けて出てくる。その姿は羽衣を纏っておりまるで天女のようだが、気配はもっと別の何かだ


「では、改めて・・・」


「その前にもう夜です、お話は明日聞くとして今日は休みませんか?」


 神子すげえな、興味がある話で目を輝かせているのに自制しているや


「・・・分かりました、明日また来させてもらいます」


「いえ、それには及びませんよ。・・・誰か!」


 出て行こうとする青娥を神子はとめてお手伝いさんを呼んで別の部屋へと案内を促していった


「ふふふ、まさかこんな事になるとは。たとえこれがウソでも得るものがあるかもしれませんね」


 嬉しそうに呟くと神子もまた眠りについた







 神子たちが眠りに付き時刻は大体深夜の1時前後・・・う~む、別に時間とか気にしたこと無かったが分からないとそれはそれで不便だな、時計が出来そうな時に大陸に行って手に入れるもの面白そうだな


「それはそうと・・・出てくれば?」


「ばれておりましたか」


 森の中でぼーっとしていると神子の家を出て行ったときからつけてきていた気配に対して言うと素直に出てきた


「確か、霍青娥だったか?こんな夜中にただの(・・・)犬に何のようだい?」


ただの(・・・)犬が喋るわけないでしょう?」


 違いない、青娥の瞳はなにやら俺を見定めようといった試すような視線だ、何がなにやら


「んで、なんのようだい?」


「なに、あの方に会いに行ってみれば、部屋の中にはあの方以外に妖獣が紛れ込んでいるではありませんか、そんな危険なものを何故おいておくのかも分からないし何よりこんな夜中に出かけなど、怪しすぎましてね。もし、あの方に不利なことを起そうならば私が退治をしようかと思いましてね」


 なるほどねぇ、確かに目的の人物が俺に何かしらやられたり、既にやられているなら退治しとこうと、犬状態の能力も万能ではないので青娥のように強い意志を持っていられると利きがかなり弱いしな


「ふむ、とりあえずこの状態で話すのもアレだしな」


 そう言って俺は人化する。長い間使っているおかげで今では人化するのも一瞬だ


「ほう、どうやら人に化ける程度には力をつけた妖獣のようですね。これはますます、おいて置けません」


「よく言うわ。お前も人間・・ではないだろう?気配が違いすぎる」


長い間色々な奴を見ていたせいか、気配を読むなどがかなり得意となってきた


「私は俗に言う仙人というものです」


「は~初めて見るわ」


仙人とは、実際にいるとは思わなかったわ


「さて、覚悟はよろしいですね?妖怪は退治されてしかるもの」


「覚悟は出来てないが、まぁやるなら別に構わんぞ」


俺が言った瞬間横にひとっとびするともといた場所に10の霊弾が通り過ぎていた


「中々早いですね、では次はこれです!」


 すると、青娥はなにやら4つの玉を作り出してそれを俺に向かって放ってくるが、遅すぎるので上空に逃げなが青娥に弾幕を放つ


「くぅっ!中々密度が高いですね・・・だが!」


 突如嫌な感じがしたのでその場を離れると先ほど青娥が放った玉が俺を追尾してくる。しかもいつの間にか数が増えたのか俺の周りには8つの玉がうようよと浮いている


「ふふ、逃げられないですよ」


 青娥は更にレーザーのような弾幕を展開し俺を攻撃してくるが


「ふむ、2尾解放」


シッポを増やしまわりのウザッたい玉を全て破壊する


「なっ!?」


「驚いている暇は無いぞ」


俺から放たれる無数の弾幕に青娥は最初は避けていたが次第に余裕が無くなり被弾していった


「きゃぁっ!」


「こんなもんか?」


シッポを封印して青娥の元へと向かう


「よっと、大丈夫か?」


「くっ、妖獣ごときに遅れをとるなんて・・・」


「いやいや、別にそうでもないさ。あと、弁明させて貰うならば俺は別にあいつ等をどうこうするつもりは無いさ」


「へ?」


ポカーンと呆けた顔をしている青娥を他所に俺はどうして神子の下にいるかを説明した





「まさか、そんな目的のためだけに犬に成り下がるなんて」


「いや、実際犬だし」


「しかし、長く生きた妖怪はそれ相応に誇りを持つものと記憶しておりますが・・・」


「誇りなぞそこいらの犬に食わせておけばいいんじゃね?」


 無駄に高いプライドなぞ持っていても役に立たん


「くす、面白いですね貴女は」


「お、漸く笑ったな。険しい顔よりそっちのほうがいいさ・・・あと、言っておくが俺は男だ。貴女なんて呼ばれる筋合いはねえ」


 なんで分かったかって?経験だよコンチクショウ


「え?えぇぇぇぇぇぇっ!?」


「なぜ、今まで一番そこに驚く」


もうやだ


「・・・スイマセンでした」


青娥が素直に謝罪をしてきたので俺もこれ以上言うつもりは無い


「さてと、戻ろうぜ。どうせ、誰も気づいちゃいないが起きた時いるべき人がいないと騒ぎになる」


そう言って俺は獣化し、歩き出すと青娥も後についてくる


「そういえば、アレだけの音がしたのに誰も気づきませんでしたね」


「ああ、そりゃ俺の能力だ。詳しくは教えん」


それだけ言うと俺は再び歩き出す・・・あ、どっかで足を洗わんといけないな







「では、説明をさせていただきます」


 次の日の10時ごろ(火の高さ的にそこらへんだと思うよ?)に主要な人物達(神子・布都・屠自古)を集めて説明会が行われようとしている


「太子様、こやつは一体?」


「落ち着きなさい布都、この方は私の願いを叶える方法を教えてに来てくれた方です」


 敵愾心をむき出しにしながら布都は青娥を睨みつける。屠自古も声にこそ出さないが青娥を睨んでいる


「では、お願いします」


「はい、私が来たのはあなた方に道教を教え導くことをするためです」


『道教?』


「説明します」


 青娥が説明しているのを他所に俺は頭の中で道教というのを思い出していた。確か道教というのは中国の宗教の一つだったはずだ。

 

 風水などもここらへんが絡んでいたはずだが、流石に詳しくは覚えていないのであれだが、キョンシーなどもこの道教の仙人が使えた気がする


 ・・・だめだな、死んで時間が経っているのもアレだが興味がそこまで無かったのであやふや過ぎる


「しかし、あなたが言う道教はこの国になじむでしょうか?」


神子の言葉で志向の海から戻るとどうやら説明が終わったようで、神子が感想を言っていた


「はぁ・・・ならば、仏教はどうでしょうか?確か現在も布教しつつあるという話ですが」


「仏教を広めることと貴女が教えようとする道教とどういった関係が?」


「いえ、仏教は確かに殺生を禁じるなどなじみやすいですので、まずそれを広め民衆を支配し、権力者たる貴女方は私が教える道教を習得し力を得るのはいかがですか?」


「なるほど・・・」


 仏教を隠れ蓑にするって訳ね~、確かに仏教はこれから1400年以上も続くからいい隠れ蓑になるわな


「では、とりあえず貴女の言葉を信じて私達はその道教を習得してみましょう・・・しかし、貴女の言った私の願いとは別となりますよね?」


「はい、されどこれを収めなければ意味を成さないのでまずはそれからとなります」


「分かりました・・・布都、貴女にも働いて貰いますよ?」


「はい!お任せください!」


 そして、神子たちはこれより何年かをかけて道教を習得していったのである





 あれから何年か経ち、神子たちは見事に道教の教えと言うものを習得していった。特に顕著なのは布都と屠自古であろう


 あいつらは風水や自然の力を習得でき、布都は風水とよっぽど相性がよかったのか能力まで発現し【風水を操る程度の能力】が開花した


 屠自古も【雷を生み出す程度の能力】を習得し、お互いに霊力の使い方も分かったのか空すら飛べるようになった


 神子もまた、その力のおかげか声を聞くしかできなかったの能力だったがいつしか人間にある十の欲を聞くといった読心術に近い力を持ったし


 そして、宗教においては狙ったように仏教が広まっていったが、前からある神道と対立する形となり宗教戦争に近いことが起こっている


 俺は会ったことなど無いが、確かにこの世界には神は実在しておりそれを称えるための道いわゆる神道がきちんと意味を成していた


 実在というよりも、妖怪と一緒で俺がいた時代では神という存在が忘れられて神が消えたんではないだろうか?


 神社・・・まだ形しかそういうのは出来てないがそれでもなお、神への奉納などは場所によっては定期的に行われているのを見るとそうだと思えてくる


 話が逸れたが、仏教の普及と道教による教えによって超人的な力を遺憾なく発揮した神子は周りからも大体的についには聖人と呼ばれるくらいまでになった


 神子は不老不死になるという研究もしていたが、そんなときに悲劇は起きた





「まさか、不老不死に至る前に体が犯されるとは・・・」


「あぁ、太子様」


「大丈夫ですよ布都。私はまだ死にません」


 まさか、不老不死の秘薬といわれている丹砂というのが、硫化水銀とは思わんかった。まぁ、アレを飲んで生きていたら流石に不老不死と思うわな


 まぁ、そんなこんながあり神子の体は毒に犯され死が間近に迫りだしていた


「・・・こうなれば尸解仙になるしかありませんね」


・・・尸解仙とはいわゆる肉体と魂を分離し魂だけの存在となる仙人だそうだ


「しかし・・・布都よ」


「はい」


「こんなことを願うのはおこがましいのですが、貴女も一緒になってくれませんか?」


 神子の顔は一度死ぬということに対しての恐怖と布都に試させようとするのとそしてそれをお願いしようとしている憤慨の表情が入り混じったなんともいえない顔である


「当然です!何処までもついて行きます!」


 布都の何のためらいも無い返事に神子はおろかその場にいた全員が驚きの表情を見せる


「そうですか・・・では、青娥こんなお願いをするのは違うかもしれないのですが、私達が眠り続けられる場所を作って貰えますか?」


「構いませんよ?」


「お願いします」







 あれから、また少し時がたった。神子の体はドンドン蝕まれてゆき今ではまともに動くのも困難なほどだ。しかし、これからを行うことについて意欲があるのかその顔は全くと言っていいほど病人とは思えないほどの顔だ


 見た目も気持ちやせた?って程度でそこまで変化は無い・・・女は強しとはよく言ったもんだ


「さて、これより貴女が眠る場所は霊廟と呼ばれる場所となります」


「ええ、いつしか人が仏教に限界を感じ私を求めた時に復活を遂げるように・・・」


「はい」


 因みに、ここには布都はもういない。布都は一足先に眠りに付き神子はそれを確認したからこそ既に準備をしていたのである


「太子様・・・私もいずれ」


「屠自古・・・えぇ、いずれ」


神子と屠自古もまた別れを告げたので俺も感慨深いものが有るなぁ・・・


「・・・そうだ、真理も一緒に寝ましょう」


はて?なにやらへんなことを言い出したぞ?


「真理も見た目は変わりませんが、そろそろ老犬です。道教には死者を使う術がありますし、真理も眠れば復活したとき一緒です」


 神子がなにやらこっちに諭すように言ってくる。青娥はそんな姿を見ながらクスクスと笑ってやがるし・・・潮時か


「それは断るよ」


「「えっ!?」」


 突如俺が喋ったから神子と屠自古は驚いて目を見開いている。それを他所に俺は人化し座りなおす


「改めて自己紹介しようか、妖獣の真理だ」


「そ、そんな・・・真理が妖怪だったなんて」


神子はショックが大きかったのか顔を青くしている


「ああ、別にとって食おうとはしないから安心しろ。青娥もそこらへんはよく知っているしな」


 そういうと神子は本当かどうかを確認するように青娥に顔を向けると青娥は頷いて返していた


「いや、楽しかったぞお前の生き様は」


「・・・どういうことですか?」


「俺はな、ちょっと長生きしすぎてこれと言った楽しみが無いんだよ。だから人・・・まぁ、妖怪でもなんでもいいんだが・・・そいつが何かをなそうとするならば近くで見ていたいんだ」


 俺の理念は本当にそれだけだ。何かをなそうとするならばそいつは決して歩みを止めない。妖怪ゆえかどうかはわかんないけど俺自身は何かをなそうとしてもその内って考えが出てしまってなぁ


「まぁ、そんなわけでお前が不老不死へといたろうとする人生を見せてもらった、礼を言うよ」


 そう言って頭を下げるとやはり妖怪らしくないのか二人は驚いていた


「さてと、お前が眠りについたら俺もここを出るとしようか」


「そうですか・・・」


「なに、俺の寿命はまだまだありそうでな、もし復活したのならば会いに来ると約束しよう」


「はい、ではさようなら真理」


「違うぞ神子?また会うのだからまた会おうだろう」


「クス、そうですね。では、また会いましょう真理」


「ああ」





 そして、二日後神子もまた眠りについたので俺は都を人知れず離れると青娥が目の前に来た


「どうした?」


「いえ、本当に貴方が言ったように見るだけなのですね。あの方が丹砂を飲むのを止める事も出来たでしょうに」


「そうだなぁ、最初は止めようとしたんだが、あいつの顔を見てやめてしまった」


「・・・なるほど」


 確かに止められたのだが、しかし理由が思いつかなかった。毒だから・・・これだけは完全に理由にならな。毒ゆえにそのクスリという話なのだからな


 まぁ、後は結局俺は恐れているのかもな、最終的に受け入れられたが俺が妖怪だからというだけで嫌われたらどうしようと


 卑弥呼の時とは違い今回は完全に犬として一緒にいただけだったからな


「それでお前さんはどうするんだい?」


「そうですね・・・芳香も若くしてなくなってしまいましたので私もあの方と一緒に眠ろうと思います」


「そうか、では、また会おうか青娥」


「ええ、また。今度は勝って見せますよ」


「楽しみに待つとするか」


それだけ言うとお互い振り返ることもせずに歩みだした


神霊廟への布石終了!


ニコニコ大百科を見直しながら作ったのでかなり可笑しい部分と無理やり感が否めない・・・


次の登場人物はあの方達!

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