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東方転犬録  作者: レティウス
幻想郷生活篇
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あいさつ回り―冥界3

「ここですか、先ほどの騒動の原因がいる場所は」


 幽々子に誘われそのまま夕飯をという流れになったので今で談笑していると縁側から声が聞こえてきたのでそちらを向けば悔悟棒を持った緑髪の少女と手に鎌を持つピンク髪の女性が此方を睨んでいた。


 正確に言えば睨んでいるのは少女であって、ピンクの女性はめんどくさそうに付き従っていた。


「めんどくさいのが来たわね…」


 紫が心底嫌そうな顔をして呟く。なんだ?紫がここまで人を毛嫌いしているのは珍しいな。


「あら~閻魔様がなんの用ですか~?」


 閻魔?閻魔なの?一瞬ピンクの女性に視線を向けるがあちらが持つのは鎌ということは死神か?


 でも、そうするとあの少女が閻魔ってことになるよな?なんというか、こんな子で大丈夫かって疑念が生まれるな。


「用?用ですか?ふ、ふふふ…面白いことを言いますね…管理人」


 なんだ?幽々子が用を聞いたら怪しく笑い出したけど?あまり怪しくなるなよ、後ろの子がドン引きしているぞ。


「先ほどの謎威圧において、危うく裁いている魂が消滅しかかってしまいました…発生源はここと簡単に調べられましたからね」


 閻魔がそういうと白玉楼の面子+αが俺に振り向く。俺は知らんぞ。悪いのは幽々子だ。


「そう、貴女が原因ですか…」


 周囲が俺を捕らえたので完全に彼女は俺をロックオンしたようだ。


「俺は男だ」


 とりあえず、一番にツッコミを入れたい場所に入れて話を逸らそう。


「何を言うかと思えば……え?」


「えぇっ!?」


 ポカーンと呆けた顔で驚く少女と声を上げて驚く少女に回りからは笑いが漏れる。


「な、なにを言ってるのですか!?貴女の顔で男ですって!?嘘をつくらならもっとマシな嘘を」


「嘘はつかんよ。何故だ?何故、男と認識されん…」


「その顔で男といわれても…それに声も…」


 デスヨネー。俺ももう怒ることはないが、未だに女性といわれていい気がしないのもまた事実。


「自己紹介といこうか、俺は風由真理。ちょっと長生きしている犬妖怪さ」


「あたいは小野塚小町。船渡しの死神さ」


 ピンクの女性は小町と。あの鎌は死神の鎌かちょっと興味あるな……しかし、今までお目にかかったことはないが死神の気配って大して俺らと変わらんのか。もっと禍々しいのかと思った。


「そんでそっちで固まっている少女は自己紹介もできんのかい?」


「はっ!?私は四季映姫=ヤマザナドゥと申します。ここの幻想郷の閻魔を勤めさせていただいております」


 ん?幻想郷の閻魔?


「閻魔って一人じゃないのか?」


「閻魔は元々は十人でやっていましたが、人が増えたことによりそれでは裁ききれないとなり増やしたのです」


 ほぉ~。まだまだ俺も知らないことは多いなぁ。


「私はその時に地蔵から閻魔へと転職しました」


「地蔵っつーと、地蔵菩薩か?」


「良くご存知ですね」


「まぁ、無駄に長生きしているからな」


 和やかに会話してどうやら話題を転化させることに成功したようだな。ふっちょろいな。


「悪い顔しているわよ」


 おっといけね。


「それで~何しにきたのかしら~?これからご飯だけど食べていきますか~?」


「そうでした!」


 おい幽々子!人がせっかく話題を逸らしたのにぶり返すな。


「先ほどの威圧はあなたということですが」


「待て待て。こんなちんけな妖怪が出来るわけないだろう?」


「嘘よ~さっきは凄かったじゃない~」


 幽々子は俺になにか恨みがあるのだろうか?あれはただの忠告なだけでこれといって殺そうと思っていなかったんだが。


「では、罪人の釈明でもききましょうか?死者ではないので猶予を上げましょう」


「慈悲深いこって」


 とりあえずことの経緯を簡単に説明してやる。


「そうですか…しかし、それは貴方が最初に言えば済む話でしょう」


「知らんよ。てか、娘を勝手に殺されそうになる親の気持ちを考えろ」


 俺がそういうとなにやら難しい顔をして考え込む。


「親ですか…しかし、私は未だに……それに……」


 なにやらブツブツと呟いているがどうでもいいので聞き流す。


「さぁ、お待たせしました料理ができましたぞ」


「お、すまんな手伝わなくて」


「いえいえ、お客人の手を煩わせてはいけませんからの」


 妖忌の持ってきた料理はコレでもかという量だが、あの幽々子の食事量をみるとこれで足りるのかという気持ちもあるが。


「兎に角酒だ酒だー」


 空間にしまいこんでいた酒を次々と取り出して並べていく。


「なんていう量出しているのよ」


「なにをいう、まだこれは序の口だ!」


 紫が呆れているがこれはまだ俺にとっては茶一杯分の量でしかない。


「お、上手いな」


「そう言ってもらえると作ったかがいあるというものです………幽々子様!沢山お食べになるのはかまいませんがもう少し味わってください!」


「味わってるわよ~妖忌の料理で飽きたこと無いもの~」


 うげっ、既に四分の一が消化されてやがる。


「あんたの酒の消費量もおかしいわよ」


 まぁ、既に取り出した酒のほとんどを飲みきっているから口にはださないけどな。


「げはっ!?」


 げは?変な声が聞こえてきたので声の主のほうを見れば小町が口元を押さえて盛大に咽てやがる。


「な、なんだいこれは!?」


 俺が取り出した酒を飲んだのは分かるがなにを飲んだんだ?


「こ、こんなきつい酒なんて飲んだことないよ!?」


「ああ、それか。それは俺が作った酒だな」


「あんたはついに飲むだけじゃ飽き足らず作りもしたの?」


「まあな」


 酒好きがこうじて酒造りを始めてみたんだ。最初は結構失敗したんだが上手くいくもんだ。


 しかも空間を弄れば待つ時間を短縮できるという優れもの!


「それは、きつい酒に挑戦しようとして作った酒だな。銘は【鬼殺し】」


「なんて危ない名前を…」


「ちなみにこの名前は単純に玲央が飲んだらちょっときましたと言ったから付けた名前だな」


 俺も玲央も麻耶も酒がきいてくるというのがないのだがさすがに鬼殺しだとけっこうくるものがあるのでそう名づけたのだ。


「因みに天狗殺しと言うのも作った」


 そう言って違う容器に入っている酒を注いでやる。


「その説明を聞いて飲めって言うのかい?鬼か」


「犬だよ。天狗殺しはきつくないぞ」


「あんた基準ではないよな?」


「うんにゃ、逆に俺はこっちのが好きくない。回りの反応はすごくいいんだけどな」


「どれどれ……! こいつは、口に含んでから喉越しまでいいね…それで何で天狗殺しなんだい?」


 新たに注いだ天狗殺しを飲んで小町は目を輝かせて嬉しそうにするが直ぐに天狗殺しの異名がきになり尋ねてきた。


「なんか、麻薬の如く飲みまっくてな次の日は全員つぶれたんでそう名づけてみた」


 俺達は全員鬼殺し飲んでいたけど次の日は普通だったと追記しておく。


「はぁ、確かにこの口当たりだとついついのんじゃうね」


「気に入ったなら家に来い、貯蔵は腐るほどあるからな」


 能力を使って腐るほど空間を作り、腐るほどの在庫を溜め込んだ…まあ、腐らせる前になくならせるけど。


「風由真理!」


 みんなで和気藹々と飲んでいたら突如大声で呼ばれ振り向けばなにやら目の据わった映姫がこちらを睨んでいた。


「いいですか、貴女のその飲んだくれの行いが…」


「飲んだくれとは酷い言い草だ」


 間違ってはないが指摘されると傷つくぞ。


「そもそも…」


 なんというか、うん酔っ払いだわ。今まで映姫がいた場所を見てみればそこそこの酒瓶が転がっているのでそれで酔っ払ったんだろう。


「ですから貴方は…」


「はい、すいません…」


「っていう感じになっているんだろうな」


 誰もいない虚空に向かってくどくどと説教をしている映姫を尻目に酒を飲む。


「いつの間に…」


 なにやら小町があるいみ尊敬の眼差しでこちらを見ている。


「ん?名前を呼ばれたときに嫌な感じがしたから振り向くと同時に目を見て幻術をかけた」


 普段なら気がつくだろうが酔っ払いなもんで気づかずにいい気分で説教をしているようだ。


「あんた幻術まで使えるの?」


「種族限定の妖術以外は基本的に全部使えるよ」


 例えば藍の狐火なんかは使えないが似たようならできたりする。幻術なんかは母親に教わり久々に使ってみたが結構楽にかけられたな。


「さてと、このままここにいるといつ気づかれるか分かったもんじゃないから帰るわ」


「またいらしてね~」


「気が向いたらくるよ。次は花見ができるといいな」


 庭の桜の木をみながら言うとなにやら紫と妖忌は複雑そうな顔をし、幽々子は残念そうな顔をしたが俺になにも言ってこなかったので追求はやめておいた。


「っと、静かだと思ったら寝ていたか」


 椛に近づくと完全に寝入っており藍のシッポを枕にしていた。


「すまんな」


「いいさ」


 短いやり取りをした後に椛を抱っこして玄関から出て一気に自宅まで跳んだ。


 後に聞いた話だが映姫は結局幻術にかかったのに終ぞ気づかなかったそうだ………酒は程ほどに。

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