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東方転犬録  作者: レティウス
放浪篇
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戦いのち別れ

いいタイトルが思い浮かばない・・・


いつもタイトルに苦戦します

「ほれほれ、そんなもんか妖怪共!」


 俺が卑弥呼の下に厄介になってから5年ほど経った。その間に卑弥呼が行っていたこの国を狙う妖怪というのも分かった


 どうやら、この国には他よりも人口が多いから妖怪から見ても格好の餌場なのである


 なので、ここらに住み着き此方を捕食しようとした集団が大体月に2~3のペースでここを襲ってくる


 まぁ、頻度が低くね?ってのと何でいつも小出しで来るのかはまったくと言っていいほどわかんないけど、それでも言いたいのは・・・


「妾の前に敵は無いな、ふはははははははっ!」


 目の前で大笑いしているこの女である。正直こいつはもう種族:人外でいいと思う。てか、これがただの人間ならば他の人に謝れといいたいほど人の器を脱した力を持ちすぎだ


 さきほど、こいつが倒した妖怪の中には中級妖怪もいたのだがそれすら一蹴したぞこいつは


 俺?俺はただついてきてその光景を見ているだけだ。正直同属がどうのこうのという感情は浮いてこない。まぁ、種族が違うってのもあるが死ぬときは死ぬといった思いがあるためだと思う


 まぁ、そんなことはどうでもいいんだが


「真理!ほら歩けよ~」


「ダメだよ~。卑弥呼様も言っていたでしょ?優しくしないと噛み付くって」


 俺の背に乗っている子供のうち一人が俺を歩かせようと毛を引っ張る。痛いから止めれ。そしてもう一人の子供がやめさせようとしている


「つっても、こいつって幾ら引っ張っても村の犬見たく唸りすらしねえじゃん!」


「だからって、ほら真理も嫌そうな顔しているよ?」


「お前ってこいつの事分かるのか?スッゲーーーッ!」


 子供がはしゃいで俺の上で暴れる。まぁ、俺が卑弥呼の下に居つきだしてから住人の態度が和らいだのである


 簡単に言えば、本来ならば動物すら恐れる卑弥呼の力に全くと言っていいほど恐れずかつ悠然とついて歩いている俺を卑弥呼が和らいだ笑みで撫でていれば、住人の認識も多少は変わるだろう


「ったく、危ないからついてくるなと言っておるであろう?」


「だって、卑弥呼様の雄姿を見たいんだもん!」


「そ、それに、卑弥呼様は私達を守ってくださるので、少しでもお役に立てるようなことがあるならば・・・って思って」


 少年は純粋に戦い見たさで、少女は何とか卑弥呼の役に立ちたい故か・・・少女よとり合えず危ないから村から出ないという選択肢はないのかね?むしろ戦場に出てくることが負担だぞ?まぁ、卑弥呼に頼まれているので危なくなる前にそこから去るようにはするがね


「そ、そうか」


 卑弥呼はそんな無垢な少年少女の答えにうろたえて顔を赤らめている。今までが対人自体が王と家臣の関係しかなかったためにこういう風に慕われるのは未だ慣れないらしい


「さて、戻るとするか」


「「うん!/はい!」」


卑弥呼が促し少年少女が返事をしたときに不穏な気配がした


「ウゥゥゥゥゥゥ!」


「む、真理どうした?」


 俺がある方向を向きながら唸ると卑弥呼も同じようにそちらを向くと同時に現れる威圧感。初年少女は酷く怯えた表情をしだす


「くっ、まさか片付けてから現れるとは」


今まで隠れていた気配が突如として目の前に現れる


「今まで、よくやったと褒めてやろう。しかしここまでだ」


突如として目の前に現れた奴が急に卑弥呼に対して賛辞を送る


「誰だ貴様!」


「ふん、もう分かっているんだろう?」


鼻で笑い卑弥呼に答えを出させようとする目の前の奴


「そうか、貴様が今まで攻めてきていた妖怪共の頭か」


「そうだ、よくも我が配下を殺してくれたな?」


何言ってるんだか、部下を殺されたくなければ最初から出て来れば良かったものを


「む、そちらにいる子供も旨そうだな」


「「ひっ!?」」


 俺の上に乗っている子供達に妖怪が目を向ければ子供たちは竦みあがりガタガタと震えだす・・・痛っ!?頼むから毛を引っ張らないでくれ


「やらせると思っておるのか?」


 卑弥呼から莫大の霊力が吹き上がる・・・あ、完全に妖怪を上回った。妖怪はどう見ても大妖怪クラスなんだが、それを上回る卑弥呼・・・やっぱ人外だな


「なにやら、不快なこと考えなかったか真理?」


「・・・」ふるふる


 首を振り否定する。てか、お前の勘のよさはやっぱ異常だわ。だから種族:人外なんだよ


「まぁ、よい。妾も余裕があるわけでは無いしな」


「ふん、人間にしては破格だがそれでも俺の方が強い!」


 すると、妖怪も全開なのか妖力を噴出し卑弥呼と拮抗する。・・・4:6で卑弥呼の方が若干不利って所か?しかし、妖怪ってのは力押しが基本だから卑弥呼に勝機が無いわけじゃないな。だったら俺は子供達が安全なように国に戻るか


「頼むぞ真理?子供たちは未来への宝だ」


「ワウ」


一鳴きしてその場を離れると上に乗っている子供たちは


「そんな奴なんてやっつけちゃえ卑弥呼様!」


「がんばって卑弥呼様!」


「うむ、任せよ。だから妾が帰るまで大人しくしておってくれ」


 子供達の応援に卑弥呼のやる気が上がったのか妖怪に攻撃をしだしたので俺は走りそのまま国へと帰っていった


Side End





卑弥呼 Side


 ふふふ、子供に応援されるとここまで力が漲るものか。一昔前では考えられんかったな


 それもこれも真理のおかげか。最初は妖怪ということで懲りずに妾の国へと向かってきたと思ったら、ただ単に立ち寄っただけだと言い出した


 そこでウソかと思ったが別にウソをついているわけでもなくただ単に本当に立ち寄っただけらしい


 また、妾の攻撃がやみ話をしたらあろう事か村に住まわせろと言い放ちおった。最初は戸惑ったのだが、奴が犬に変わったとたんに妾にあった妖怪に対する殺気と言うか殺意と言うか、そういったものが綺麗さっぱり失せおった


 それを奴に聞いてみれば能力だという。確かに犬に変わってからわ奴に対しては負の感情が浮かんでこないので納得した


 そして、奴を村に住まわすことを決めたがやはり妖怪。当然最初は警戒していたが奴は何をするわけでもなくただそこにいただけであった


 そして、妾と共に行動していると周りの民たちの反応が変わりだした


 妾に対して民たちはなにやら恐れて妾から常に一歩引いた態度でしか接しなかったのだが、いつからか妾に対しても敬う態度はそのままだが恐れている気配が消えたのである


 分からずに真理聞いてみれば、自分のおかげだと言う。なにやら本来ならば動物ですら恐れる妾に恐れない獣と妾の態度がそれを変えたのだという


 確かに真理の毛はさらさらで気持ちよく流石の妾も顔が綻ぶのは無理も無いがそれで簡単に変わるものだろうか?


 真理に言わせれば近寄りがたい人間がそんなふとした瞬間が変わるんだという


 真理は長い時を生き、人とは何かを分かるなど言っているが本当かウソかは妾にはわからんが・・・真理は確かに妾の心を変えてくれた


 ただの王から、民のため、自分のために生きる王として・・・ならばこの勝負


「負けるわけにはいかんな」


「ごちゃごちゃと言っているが、お前が死ぬのは変わらん」


 目の前の妖怪は確かに妖力の量ならば妾に勝っているが、如何せん妾も負ける気などない


「行くぞ、妖怪」


「最初の獲物は貴様だ!!」








「「はぁ・・・はぁ・・・」」


「しぶといな」


「く、たかが人間ごとき未だに決着がつかないなんてな」


 お互い肩で息をしながら相手を睨む。くっ、流石に今までの奴等と同じようにならんか。今までならば妾の霊弾で簡単に一掃出来たのだが、こやつは時には避け時には相殺し時には分からん術で攻撃がそれて当たらない


 そう考えると能力持ちかと思うが如何せんよく分からん


「しゃあねえ、これでどうだ!」


 すると、攻め気が勝ちすぎたのか手に妖力を集中しだす・・・なるほど、量ではなく質を取ったか、だが


「そんな、見え透いた溜めを妾が許すとでも?」


 妾が大量に放つ霊弾に奴はまったくと言うほど避けるそぶりを見せずそのまま当たるかと思ったが・・・


「なっ!?」


「へっ、驚いたか!これが俺の能力の【当たりを外す程度の能力】だ!」


 くっ、これはマズイ。つまりは、この攻撃に対して奴に当たる攻撃は全て外されてしまうということか


「しかし、そんな大振りの攻撃も当たる妾ではないわ!」


「いいのか避けて?お前の後ろには何がある?」


「・・・まさか!?」


「そう、そのまさかさ」


 言われて気づかされた。妾の後ろには妾の大切な国がある。奴めあろうことか妾の国を狙うというのか!?


「まぁ、食料が減っちまうのは痛いが、貴様を食えるならばおつりがくらぁ!」


くっ、避けるに避けれん!こうなれば妾の術で防ぐしかないか


「食らえぇぇぇっ!」


奴の腕から極太の妖力が放たれる


「くっ、結界最大出力!」


妾は結界を張り奴の妖力砲を耐えるが、次第に推されだす


「くっ・・・」


「さぁ、いつまで持つかな?」


奴が実にいやらしい笑みで此方を推す


「く・・・か・・・」


「さぁ、お前を食うまで後何秒かな?ただの人間ならば消えてなくなるだろうが、貴様ならば消えることはねぇだろうからな」


ここまでか・・・妾が守らなければいけないものを守れずここで終わってしまうのか


「たく、な~に弱気になってるんだか」


「「なっ!?」」


 突如の乱入者により奴の妖力砲はあらぬ方向へと飛んでいった。その場で無様にも手と膝を突いて倒れてしまう妾の前に立つ姿は、灰の髪とその色と同じいろを持つ耳とシッポを持つ奴の姿であった


「誰だてめえ!」


「俺か?俺はまぁお前と同じ妖怪だよ」


「妖怪が俺の邪魔をするっていうのか!」


「ん~、正直助けるつもりは無かったんだが・・・お前さんがつまらないことをやったんでね」


「・・・しん・・・り・・・」


「お疲れさん。国は俺の能力で安全だからちょっち休んでな」


「しかし・・・」


「な~に大丈夫だって。こんな奴には負けないくらいは強いつもりだよ」


奴の言葉が何故かとても安心でき妾はそのまま真理に任せて下がってしまった


Side End








 さてと、戻ってきて戦いを見ていたら妖怪が詰まんないことをしでかしてしまったのでついつい横槍を入れてしまった


「ふん、その程度の妖力で俺に負けないだと?」


目の前のやっこさんは俺の一言が気に入らなかったのかとてもご機嫌斜めなようだ


「それに、俺がつまらないことしただと?」


「そうそう、卑弥呼と1対1をやっていてそれで卑弥呼が負けるならば別に手をださなかったんだけどねぇ・・・

 だけど、幾ら倒すためとはいえつまらんことして動けなくして攻撃するってのはねぇ」


 別に卑弥呼が負けるだけなら俺も別に手を出す気は本当になかったんだよ。まぁ、友人だろ?って言われたら辛いがそれでもね


 俺は俺の目的のために卑弥呼と共にいただけだし


「ふん、効率を考えただけだ。更に言えば戦いに卑怯もクソもあるか」


「正論だな。だから、卑怯もクソも無くて卑弥呼にかわって俺が出てきたんだよ」


さてと、ここからは戦いではなくて・・・蹂躪・・


「さてと、やりますか。3尾・・解放」


「「なっ!?」」


驚く声が二つ上がる。ここにいるのは3人なので声を上げたのは俺以外の2人だ


「てめえ何もんだ」


「俺か?ただの犬さ・・・ちと、長生きしているがな」


「きいたことねぇぞ、尾が3本・・ある犬なんて」


「ああ、勘違いしなさんな。尾は別に1本と思ってくれて構わんよ」


俺の3尾状態に驚いているが別にこれは尾が増えたんじゃないからな


「行くぞ」


そう言って俺は妖力弾を発射するがそれが悉く外れる


「へ、俺の能力の前にはそんなちゃっちい攻撃聞くわけねえだろうが!」


「ふ~ん。んじゃ4尾・・解放」


 もう一本尾を増やして攻撃をしていく・・・あいつには当てずに回りの場所を狙いながら


「はっ!やけくそで当たると思ったのか!」


「うんにゃ・・・弾けろ」


「なっ!?がはっ・・・!」


 思ったとおりか、確かに奴に当たりそうな攻撃は外れるが爆風や余波などは外れないようだ。これは単純にやつの能力が<何かしら>当たることが無ければ発動しないのか、はたまた能力を使い込んでないのかは分からないがな


「ほれほれ、ドンドン行くぞ」


次第に濃くなる俺の弾幕に奴は青い顔をしだす


「くっ」


 不利と思ったのか思いっきり飛びずさり攻撃を回避していく。ふむ、どうやらある程度は戦いなれているらしいな


「まぁ、俺には距離は関係ないがな」


「はっ?・・・がはっ!」


 俺が奴の後ろに回ったのを理解できなかったのか突如として現れた俺に対し間抜けな声を出したその顔へ思いっきりけりを打ち込む・・・どうやら、近接攻撃に対しては効果を発揮しないようだな


「げほっ・・・」


「さてと、何か言い残すことは?」


「ま、待て!てめえも妖怪だろ?ここは俺と一緒にあいつを倒して他の人間を山分けしようぜ?」


へへへと三下宜しくな笑みを浮かべながら俺に提案してくる妖怪だが・・・


「残念だな、俺は別に人食いではないんで興味が無い。つまんない辞世の句だったな」


「ま、まt・・・が・・・」


 何かを言おうとしたが俺の妖力のこもった蹴りが頭を粉砕しそのまま力尽きた


「お~わり。大丈夫か卑弥呼?」


「ひっ・・・」


ありゃ、怖がられちった


「安心しろよ。別にとって食おうとも思ってないんだから」


「す、すまん」


それでも顔を青くする卑弥呼


「とりあえず、封印っと」


今まで出していた尾を消してそのまま卑弥呼に近づいていく


「さて、卑弥呼」


「な、なんじゃ?」


 顔の青さなどは消えたがそれでもまだ若干怯えている様子の卑弥呼に対し俺が取った行動は


「お別れだ、いい国を育てろ?」


頭に手を置いて別れを告げる。もう十分見せてもらったから満足だ


「ま、まて!別に妾は出て行けなどと」


「ああ、勘違いすんなよ?別にお前が怯えたから去ろうとするんじゃなくて、十分楽しませて貰ったし何よりこのまま見た目が変化しない犬がいても可笑しいと思う人間がそろそろ出てくるだろうし丁度出ようか考えていたところだ」


いかんせん、村にいた犬などは見た目変わっている癖に俺は変わってないからな


「しかし」


「いいんだよ。俺は十分見せてもらったからな」


「見せてもらった?」


そういや、俺が何であそこにいた理由を言ってなかったな


「ん~、如何せん長生きしすぎてこれといって楽しみがなくなってきてな、そこで見つけたのが」


「見つけたのが?」


わざとタメを作ってじらす。こういうのは誰も弱いからな


「人間を見ることなんだよ。妖怪と違って短い生をどうやって生きるかを見るのが楽しいんだ俺は」


これが、俺が見つけた趣味らしい趣味


「し、しかし」


「いいんだよ。じゃあな、二度と会うことは無いが楽しかったよ卑弥呼」


「・・・さらばだ真理」


 卑弥呼と挨拶し俺はそのままその場を去った・・・さて、次に会う奴はどんな奴かね、楽しい奴がいいんだが

さて、卑弥呼辺はここで終了です!


真理のシッポに関してはその内きちんとした説明をするので当分はシッポが何本かあるという認識で居てください


犬なのに尻尾が増えるのは可笑しいというかたも、その内きちんと説明しますのでお楽しみに


次は漸く原作キャラを出す予定。ただ、時系列が崩れそうでどっちを先か悩み中・・・


因みに今週はちょっと忙しくなるので、次の更新は土曜かそこらへんです


では、次回も宜しく

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