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東方転犬録  作者: レティウス
幻想郷生活篇
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あいさつ回り―妖怪の山

「そういや、この山って妖怪の山って呼ばれているんだな」


「そうですよ。かれこれ5000年くらいは言われ続けていますけど知らなかったんですか?」


 自宅にて久々に玲央がやってきて昔話に花を咲かせていてふと思ったことを尋ねると玲央はコテンと首を傾げながら告げてくる。


「そういや、全国を旅しているときに聞いたことあるな」


 清明と一緒のときには大荒れしていたとか聞いていたけど、あの時はあの時で忙しくて場所の確認を怠ったから知らなかったなぁ。


「てか、鬼の総本山によく他の妖怪が住み着こうと考えたな」


 鬼なんて妖怪にとっても恐怖の対象だぞ?


「それ以上にこの山は資源が豊富ですからね。それに私自身は迷惑をかけない約束だけできればよかったので。

 まぁ、天狗たちはよく渋っていましたが当時は私が主だったから文句は言ってきませんでしたよ」


 だろうなぁ、天狗って縄張り意識強いし…麻耶は別だ。あいつはある意味で放置タイプだ。


「妖怪の山ってことはそこそこの種類の妖怪がいるんだろ?」


「……回っていないんですか?」


「必要なかったからなぁ…麻耶のところは飛んで一直線だし」


 そのつどに天狗たちが絡んでくるけど、すでに俺の中では名物とかして微笑ましく思う。


「それじゃ、案内しましょうか?」


「いや、椛でもつれて散歩がてら見て回るさ。てか、お前がいたら大体が隠れるだろ?」


「う~ん、どうでしょう?一昔前なら確かにそうですが、新しく入ってきている子もそこそこに多いですから、案外私を知らない子もいるかも知れませんね」


 そういや、鬼が地底に篭って既に100年以上だったか?それなら確かに代替わりなどもしているかもしれないが…


「まぁ、今回はいいや。地底に行った時に案内してくれ」


「はい」


 玲央のいいところは戦いさえ絡まなければそこそこに聞き分けがいいことだ…俺が絡む部分と戦いはしつこいが。







「お山の散歩?いく!」


「んじゃ、行ってくる」


「…いってらっしゃい」


 あとりに家のことを任せて椛を連れたって山の散策に向かう。俺の家は麓にあるから散歩と言うより登山になりそうだが、妖怪の体力で考えると散歩なんだよな。


「う~む、確かに見覚えがあるような無いような…」


「おとーさん、知っているの?」


「最初にここ見つけたの俺だからな」


 玲央との出会いで見つけた山でその後に玲央が住み着いたようだけど。


「お、川がきれいだな」


「うん、暑い日なんか良く来るよ」


「ほぉ~」


 そういや椛自身はこの山出身だったか


「ん?なんじゃこれ」


 なんか紐みたいのがあったので引っ張ると。


「すごーい!」


 突如どこから表れた網が川の魚を取り出した。しかもだ、川の流れを利用した水車なんかも使って半自動だ。


「ちょっと!勝手に人のもの触らないでよ」


 水車の後ろから雨合羽を着込んだ少女が出てきて文句を言ってくる。


「すまんな」


「ごめんなさい…」


「いや、別にいいけど…あなたは誰?」


 それほど怒っていないのか怒りを直ぐに引っ込めて俺達のことを尋ねてきた。


「俺は風由真理。しがない犬の妖怪さ」


「いぬばしりもみじだよ」


「あたしは、河城にとり。カッパだよ」


 カッパ違いだろ!?頭に皿がついていないから河童という考えがなかったわ!


「どうしたの?」


 俺が内心でツッコミを入れていたらなにやら勘が働いたのか此方を窺ってくるにとり


「いや、なんでもないさ。それよりコレは?」


「あたしが作ったものだよ」


「すごいな」


「でしょでしょ!」


 目を輝かせて自慢げに胸を張るにとりだったが…


「あら」


 ベキンと音を立てて水車の支えている柱が折れて倒壊してしまった


「うぅ…」


 自分が作ったものが壊れたのがショックなのか目に見えて落ち込む。目の端には涙が浮かんでいる。


「まぁ、失敗は成功の母と言うんだ、次に繋げな」


「ありがとう…」


 まぁ、見た感じ椛と同年代くらいの少女がこれを作り上げたってほうがむしろ凄いが。


「えっと、元気出して」


「ありがとう…えっと、椛だっけ?」


「うん、にとりちゃん」


 どうやら同年代同士何かを言わずとも意気投合してくれたようでキャッキャと話し始める。俺はそんな二人と少しはなれた場所の石の上に座り眺める…うん、なんかいいな。


「えっと、それでどうしてこんな場所にきたの?」


「ん?妖怪の山といわれているこの山をきちんと見ていないなーと思ってね」


「でも、天狗様が見回りとかしているからやめたほうが…それに噂だと鬼がいるそうだし」


 なにやら青い顔をして喋るにとり。どうやらこの山のトップは天狗のようでそれ以外は地位が低いようだ。


「まぁ、どちらのトップとも友人だからなんともならんよ。てか、喧嘩売ってくる馬鹿は基本的に末端だけだし」


 大天狗とかは俺の顔を知っているからか絡んでこないし。まぁ、面子がどうのこうの言ってたまに襲ってくるが麻耶曰く『なんか、真理さんはつよーから鍛錬になるらしいでー』とかのたまっていたな。


 喧嘩は買うものという認識改めるか?でも、適度に体は動かしたいしなぁ…


「て、天魔様や鬼神様と友人!?し、失礼しましたー!」


 どうやらにとりは俺が相当な奴と勘違いしたらしく体を直立にした後直角に体を折って謝ってきた。


「ああ、俺は別に偉くともなんとも無いから気にすんな。それよりも、お願いがあるんだが?」


「なんですか?」


 まだ若干硬いがその内なれるだろから今はこのくらいでいいか


「週に1回程度でいいから魚をうちに届けてくれないか?」


 肉や野菜は好きだが魚も捨て難い。現在だとあまり入手手段がないんだよなぁ…人里の場合は結構紫経由で入荷して売っているそうだけど。


「えっと…」


「ほれ、その装置のためしと言う感じでいいから」


「なるほど!お任せください!」


「それに、報酬として取れる時期は胡瓜をやろう」


「胡瓜!?」


 目を輝かせるにとり。やっぱりカッパは胡瓜がすきなのか。


「あとは、椛と仲良くしてくれ」


「よろしくねにとりちゃん!」


「こちらこそ!」


 にとりと分かれて再び山を歩き出す。もう少し別の場所にいってみるかな?

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