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東方転犬録  作者: レティウス
幻想郷生活篇
48/115

特別番外編

みなさん、あけましておめでとうございます

「そういえば、今日は大晦日か?」


「今更?」


 あとりのいつもどおりの厳しいツッコミをスルーしつつどう過ごすかを考える


 いつも一人だったから別段きにもしていなかったが、だが生憎と家族が出来適当に過ごすのもなぁって思う。しかも、椛いるからなぁ


「とりあえず、願掛けとして神社にでも行くか」


「あそこ?」


 あとりの言うあそことは恐らく博麗神社だろうが


「神も祭っているかどうか怪しい場所にいって御利益あるわけないだろ?」


「そうだった」


 酷い言い草であるが事実だから仕方ない


「さて、どこに行くか」


「外?」


「そ、いくつか候補はあるんだがどこがいいか迷い中だ」


 一番楽なのは神奈子様たちの神社だが…あ、神奈子様で思い出した。日ノ本の中でも最上位の神社があるじゃん。

 ばれなきゃまぁ、大丈夫だろ。それにあそこに祭られている神様とは少なからず顔見知りのはずだし…忘れてなければ大丈夫だ、うん


「さ、出かける準備だ。あとりも厄払いの意味を込めて今回は出かけるぞ」


「えー…」


 すっごく嫌そうな顔で不満を口にするあとり。まぁ、出不精だからなぁこいつ


「妖怪に厄払い?」


「そっちか?いや、ものの例えだから。新年を新しく迎える意味も込めて今年の厄を落とそう、な?」


「分かった」


 渋々ではあるが、了承して自分の部屋へと向かって行くあとりを見送りつつ椛の帰りを待つ


「ただいまー」


 っと、計ったようなタイミングで帰ってきた娘に出かけさせる準備をさせてから


「では、行くぞー」


「はーい」


「おー…」


 あとりは気合いれろよ







「やってきました伊勢神宮」


「…」


「おっきいね!」


 ん?あとりがガタガタ震えているがどうしたんだ?あまりの神々しさに流石に萎縮したか?


「ね、ねえ真理」


「どした?」


「あちこちに神様がいる」


「いるだろうな」


「滅せられない?」


「大丈夫だろ」


 人もかなりいるから行き成り攻撃なんてしてこないだろうし、なにより能力使って妖力と見た目をきちんと認識できない阻害結界をつかっているんだから


 一人では絶対つかわないけど、流石に椛がいるからそうも言っていられないしな


「まぁ、ダメだった場合はお前等だけでもなんとしても帰すから安心しろ」


「ん」


 俺の言葉に頷いたあとりをみてからあちこちを歩き回る


 参拝客も多く、出店も出ていて中々豪華だ


「お、酒を配っているな貰ってくる」


「あ…」


 あとりに椛を任せて配っている酒を貰いに行く


「え?タルごと貰えないの?」


「自重してください!!」


 怒られてしまったので仕方なしに一杯だけもらい、寒いからあとりたちには甘酒をついでに貰いさきほどの場所まで戻ると


「なぜ、こんな所に妖がいる?」


「さぁ?大方人間が多くいるから紛れ込んだんだろう」


 戻ってみると何故か神に絡まれているあとりと椛がいた


 てか、何故に認識阻害がとけているんだ?あとりと分かれるまではきちんと出来ていたし、距離が離れようがなにしようが基本的に術者の俺が解かない限りは大丈夫なのだが


「まぁまぁ、そんなにつんけんしなさんな。大晦日に暴れても特にはならんぞ?」


「ああん?まだ一匹まぎれこんでいたのか?」


 ううむ、認識阻害の効果が薄かったのか?だったら能力で作ればよかったなぁ


「いやだから、暴れてもいないのに駆逐しようとしなさんなよ」


「黙れ、ここに祭られている御方がどなたか分かっているのか?」


「妖怪にそんなこと言っても分かるわけないだろ?とっとと片付けるぞ」


 そういって、椛に手を伸ばそうとする一柱


「ひっ」


 瞳に涙を浮かべて怯える椛を傍目に見ながらその神の腕を掴む


「やる気か妖」


「ほら、あとり。甘酒だ。椛の分もな」


 器用に持っていた甘酒をあとりに渡して神に向き合う


「娘に手を出されてしまっては黙っていられないからな」


「ほざけ、妖の分際でこんな所に来たの恨むがいい」









「が、がふっ」


「ぐがっ」


「だらしないなぁ」


 俺に頭を掴まれぶら下がっている神をみて思わず呟いてしまう。あれだけ粋がっていたのにてんで大したことなかった…もしかして生まれたてか?


「なにやら騒がしいと思ってきてみれば…」


 後ろから声が聞こえたので振り返ってみると豪華な着物に身を包んだこいつ等とは話にもならない位の神々しさを持つ神が表れた


「あ、天照様…」


「も、申し訳ありません、直ぐに…」


 頭から手を離して地に放ると直ぐにそんなこと言う。うむ、見上げた根性だ


「やめておきなさい。少なくとも貴方達が勝てる相手じゃないわよ」


 そういって、彼らの前に出てくる天照様


「久しぶりねぇ。元気だったかしら?」


「おや、覚えていたのですか?」


「ええ、忘れるわけないじゃない。そんな綺麗な顔を。それに諏訪子ちゃん達からも聞いているしね」


「やれやれ。あいも変わらずですね」


 そう言って肩を竦める俺とあいも変わらずに微笑んでいる天照様を奇異の眼で見つめる4人


「あ、あの天照様?」


「そいつは妖ですよ?」


「知っているわよ?もしかして、ボケたと思っているのかしら?」


 天照様が多少すごんでみると冷や汗を流して平謝りする二柱と


「し、真理?」


「おとーさんのお友達?」


信じられないといった表情で俺を呼びかけるあとりと相変わらずのマイペースな椛


「古い知り合いでいいんですかねぇ?」


「そうねぇ、貴方との関係というと…飲み仲間ってのが正しいかも知れなわねぇ」


 確かに、出会って直ぐに一緒に酒盛りしたからなぁ


「ここじゃなんだし、中に来なさいな」


「いいんですか?ここにはお参りに来ただけですよ?」


「いいわよぉ。貴方を覚えている子も何人かいるから」


 何故に一回あっただけで俺を覚えている連中がいるんだろうか?








「みんな~、追加の人員よ~」


「うぉっ!?懐かしい奴が来た!」


「くっ、女の敵め!また来たの!?」


「花が来た!これでかつる」


「男の娘ひゃっふーっ!」


 数人可笑しいのがいるというか、ほとんど可笑しい発言している奴等しかいないな


 てか、マジで俺を覚えているやついたし


 んで、俺を知らない奴は天照様が妖怪を連れてきた理由が分からなくて困惑しているし


「はいはい、座って座って」


 天照様に施されて席に着くと何人かの神が徳利片手にやってきた


「久々だなぁおい。お前あれなんだろ?神奈子に勝ったって?」


「ああ、あん時はどうやって紛れ込んだんだって思ったが、神奈子に勝てるっていうなら話は変わるな」


「そうよねぇ、神奈子って見た目まんま強いし」


 そういって俺の杯に酒を注ぐ神たち。横目であとりたちはと思ったら主に女性の神におもちゃにされていた


「かわいいわねぇ、お人形さんみたい」


「うわぁ、ふかふかの耳にしっぽだ」


 どうやら危害は加えないようなのでほっておこう。これであとりのコミュ障が直れば嬉しいんだが


「とと、そんなに注ぐなよ」


「な~に言ってやがる。そんなこと言いながら凄い勢いで飲んでいるじゃねえか」


 当然だ。俺の酒好きは直らんだろうしな


「それにしても、お前も娘がいたんだぁ。かわいいだろう?」


「つっても、養子だけどな」


「そうなの?そっくりだからてっきり奥さんがあの子だと思ったわ」


 そういってあとりを指差す一柱


「さすがにガキ相手に手はださないよ」


「あの子達ってなんの妖怪なの?」


「あとり…黒髪のほうは座敷童子で椛…似ているほうは白狼天狗だよ」


「あら、座敷童子ってあなたの家は羨ましいわね」


「やっぱり神にも座敷童子っていいんですか?」


「当然よ。悪戯が好きなだけで人間にも誰にも害はないんだし」


 まぁ、その悪戯をいやがる人間いるがあとりは大人しいもんでそんなことはしないけど


「白狼天狗といえば、天魔ちゃんはまた会合こなかったわねぇ」


「鬼神母神もきてませんよ」


「会合?」


「ほら、神無月は神様お休みでしょ?だから現状報告を兼ねた会合と言う名の宴会しているのよぉ」


 ああ、そういや神無月なんかは神様がいないってのはあったなぁ。どうでもよかったから忘れていたけど


「てか、あいつらも呼ばれるのか」


「あら?知っているの?」


「鬼神のほうはかなり昔からの知り合いですよ。天魔のほうはここ数百年来の付き合いですがね」


 付き合いというより付きまとわれているといったほうが正しいか?


「だったら、出るようにお願いできないかしら?どこにいるか分からないのよぉ」


「無駄だと思いますよ?あいつ等何だかんだいって神様好きじゃないし」


 てか、俺もあんま好きじゃないけど。上から目線がうざい


「そっかぁ」


「そういえば、最近の人間ってどうです?」


「そうねぇ」


 俺の質問に天照様は真の意味を理解して考え込む


「皆、神様なんて存在しないって思い出したりしているわね」


「やっぱり」


「もちろん、地元民とかは別よ?それに、伝統だから大晦日とか年明けなんかは来るし」


 人間はやはり段々と神から放れていっているか


「仏教が入ってから私達も段々と肩身が狭くなってきているのは事実ね」


「不殺などの考え方は人間としてはありがたいですからね」


 仏教はなぁ、その教えなどもあってドンドンと勢力を伸ばしており、神導は逆に衰えて行ってしまっている


 まぁ、それはある意味で仕方ないかもしれないが、それでも寂しくはあるな


 かつては自分達ではどうしようもできないとなって、神にすがるしかなかったのに少し生活が便利になってくるととたんに信じなくなってしまう


「まぁ、妖怪も似たようなものですがね。昔と違って妖怪が人間に駆逐されるのが増えましたし」


 鉄砲が伝来して以降は妖怪が数を減らして行ってしまっている。また、妖怪の存在を知らないのが増えて言っている


「若い妖怪なんかは別にこれといって人の恐怖が無くても生きていけたりするんですが、俺みたいな古い妖怪となると話は別になりますし」


 いやマジでわりと深刻な悩みなんだよなぁ


「そうねぇ。そういえば相変わらず人は食べてないのよね?」


 威圧感を出して尋ねてくる天照様


「当然。人食いでもなければ人を食いたいとも思いませんよ」


 人を食ったような奴とは言われたことあるが


「それならいいわ。んじゃ、嫌なことは忘れて大いに飲みましょ」


「お供しましょう」


 そうして美味い酒に舌鼓を打ちつつ宴会は大いに盛り上がった







「ほら、椛にあとりも起きろ」


「うにゅぅ…」


「朝?」


「もう直ぐ夜明けだから初日の出みて帰るぞ。帰ったら今日は一日寝てていいから」


 椛達を起こして近くにある海まで飛んでいくとそこにはぱらぱらと人がいるが気にせずに見晴らしがいい場所までいく


「うわぁ」


「綺麗」


 海から上がる太陽の幻想的な美しさに二人も感動している


「二人共」


「ん?」


「なーに?」


「今年もよろしくな」


「うん!」


「よろしく」


 挨拶をすませて俺達は家に帰ってその日は珍しく一日中ごろごろと家の中ですごしたのであった

年越しということで大晦日から年明けの話を書いてみました


序とはいってはなんですが懐かしい天照様にも出張いただきました


では、今年も東方転犬録をよろしくお願いします





追記、ついにお気に入りが500件を超えました。今後も精進いたします

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