幻想郷の危機
「お願い真理・・・幻想郷を・・・幻想郷を助けて!」
「落ち着け紫。一体何があったって言うんだ?」
突如あわられて切羽詰った紫の声に流石にボケることが出来なかった
「いいから、来て!」
「おい!」
腕を引っ張られてそのままスキマにin
「なんじゃ、こりゃ」
スキマを抜けて出た場所から目の前に広がる光景を見て思わず出てしまった一言
「外から妖怪達が攻めてきてそれで・・・」
「ちょっと待て。外から妖怪ってどういう事だ?それにここは・・・妖怪の山か。玲央と麻耶はどうした」
眼下に広がる光景に流石に余裕が無くなる
山は削れ、木々はなぎ倒されており天狗たちの住まいからは火の手が上がりあちらこちらから悲鳴が聞こえる
少なくとも山のトップ二人がいればこんな状況になっていなかったはずだ
「天魔は今各地の天狗たちの視察に行っていて、鬼達は地底に」
「おい!鬼達が地底ってどういう事だ!」
麻耶に関しては流石に怒れない。昔に会いに行ったりしているって言っていたし
「細かいことは後で絶対話すから!お願い助けて!」
「・・・分かったよ」
「ありがとう!」
特に酷い場所は妖怪の山と何かだだっ広い場所か
他にも森で暴れている奴や竹林がある場所で暴れている連中がいる
ん?竹林の方はなんか妖力が減ってきているな。あそこは大丈夫か
「てか、紫もスキマでどっかに送っちまえばいいだろ」
何だかんだで弄られるこいつだが実力は他の大妖怪より上の実力だ
「分かっているわよ!」
「めんどくさきゃ、文字通り海の藻屑にしちまえ。深海に放り込んだらさしもの妖怪でも一瞬だろう」
「ええ、やってみるわ」
「んじゃ、一番被害が多い妖怪の山には俺が行く」
「ええ、お願い。藍もがんばっているみたいだけどきつそうだから」
「藍?」
「玉藻の前よ」
「ああ、あいつか。分かった。お前はあのだだっぴろい所で暴れている連中と終わったら森の連中だ」
「分かったわ。気をつけてね真理」
「誰に物を言っている」
「フフ、そうね」
お互いの無事を祈りながら俺は山へと向かう
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「改めてみるとひでぇなコレは」
遠目から酷かったが現場についてみると本当に酷かった
「あ?何だ、また雑魚が一匹現れたか?」
「はっ!いい女じゃねえか。俺らの女にしちまおうぜ!」
降り立った場所で今だ暴れていた連中が俺に気づき近づいてくる。ひのふのみの・・・9体か
「一つ、俺は男だ」
「だったら用はねえ・・・死ねぇ!」
俺が男と分かったのか、はたまたただ暴れたいだけだったのか襲い掛かってくる妖怪共
「陰陽陣・・・水玄」
足元に太極図が現れると同時に水が湧き上がり妖怪共を刺し殺していく
「なっ!?陰陽術だと、お前式神か!?」
「昔させられそうになったが妖怪だよ」
何十年と一緒にいたからな使えるんだよ。まぁ、霊力じゃなくて妖力使っているから厳密にはちょっと違うが
「続いて・・・金虎」
頭上にさっきと同じように太極図が現れそこから雷が落ちて妖怪共を一掃する
・・・弾幕でぶっ飛ばしてもいいが、これ以上やったら山がマジで壊れる
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「真理!」
ある程度駆逐しながら進んでいけば俺の名前を呼ぶ声が聞こえ、声をしたほうを振り向けば中華っぽい服を着た金髪で同様の色のシッポを持った奴が近づいてきた
「よぉ、玉藻。大丈夫だったか?」
「今は八雲藍だ。ああ、私は大丈夫だ・・・しかし、何故お前がここに?」
「名前については後回しだ。紫に呼ばれてな。山は俺が引き受けるからお前は紫の援護に向かえ」
「しかし、ここが一番多いのだぞ」
「逆に聞くが、俺の全力についてこられるのか?」
「・・・分かった紫様の元へと向かおう」
「ああ、そうしてくれ。あいつも大妖怪の一角そうそう遅れをとるとは思わんがそれでも多勢に無勢だ」
あいつの性格と行動を考えると戦いなれているなど到底思えん
「気をつけろよ」
「そっちもな・・・8尾開放」
玉藻と別れを告げてから俺は5尾から8尾にする
「さてと、隠れている奴等・・・出て来い」
「ちっ、気づかれたか」
俺の言葉に素直に出てくる奴等・・・多いな
「何故にここを襲う?」
正直正気の沙汰とは思えん。たとえ情報で玲央がいないと分かっても麻耶がいるはずだ
あいつの実力は確かに玲央と同等・・・俺と互角に戦える一角だ
「そんなことはどうでもいいんだよ。ただ壊すそのためだ」
ダメだ、話が通じんな。それにあいつ等の体の端々にある文様あれは
「それに、こんなにすげぇ力があるならたとえ天魔がいやがろうが関係ぇねえ」
「はぁ、身を滅ぼす力と分かって使っているのかお前は」
「はっ!てめえこそこの力を知らねえくせにでっけえ口をきいてんじゃねえ」
なるほどね。俺の言葉に素直に従って出てきたのは力を過信しているからか
「まあいい陰陽陣――木竜、朱火」
地からか生える木々に貫かれる妖怪とそれをとっさに避けたがもう一つの陣から現れた炎によって俺を囲んでいる奴等は全て倒れた
「ぐが・・・」
「ああ、一つ言っておく。それを考えたのは・・・俺だ」
一人だけ息が残っていた奴にそう言って俺は頭を踏み抜いた
「あ・・・あんたは・・・」
空からボロボロになって降りてくる一人の鴉天狗
「お前は確か・・・射命丸文とかいったか」
「ぐっ・・・天魔様がいないときを見計らって・・・」
「ああ。喋るな喋るな。天魔がいないから俺が呼ばれたんだ。とりあえず山にいる奴等は俺が何とかすっから安全な場所で休んでいろ」
「一体なんで・・・」
「まっ、なんだかんだでこの山には思い出があるし、何より友人が大事にしていた山だ」
古来より生きる俺や玲央、麻耶。俺自身は物に対して思いいれというものは皆無だが、玲央や麻耶は違うからな
だったら、守ってやるのも友人の務めだ
「そう」
それだけ言うと、文はそのまま倒れてしまった・・・って、安全な場所で休めって言ったのにな
「しょうがない。とりあえず、ここで寝てろ」
結界を張って危険が無いようにしてから妖力を垂れ流している馬鹿を殲滅に向かっていく
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「がっ・・・」
「ふぅ、これで終わりか?」
一通り山で垂れ流している奴等を駆逐していったらあたりはもう夜になっていた
「この時間までに倒せたことに御の字か?」
妖怪の本領は夜だからな
「あら、みんなやられちゃったの?」
声がしたのでそちらを見てみると黒い球体が空から降りてきていた
「ふふ、私の姿が恐ろしいかしら?」
「ごめん、姿が見えないんだが?」
「あら、ごめんなさい。うっとおしい光を遮っていてそのままだったわ」
黒い球体が割れて現れたのは金髪で白いシャツに黒いワンピース・・・何より目に引くのは右手にもつ十字架だろうかそれをモチーフにしたような大剣
「仲間がやられたって言うのに随分と余裕だな」
「別に仲間って訳じゃないわよ。私はただ、人間が食べられるというからついてきただけですもの」
ああ、人食い妖怪ね
「人なんていねえだろ」
あるのはせいぜい陰陽師連中が寝泊りしていた里ぐらいだ
「ええ、別に帰ってもよかったんだけど、貴女があまりに強かったから興味をもっちゃったわ」
「美人にそう言ってもらえるのは光栄だな。あと、俺は男だ」
「本当に?綺麗な顔しているじゃない」
「そりゃ、どうも。だが残念かな正真正銘男さ」
「だったら、閨で確認でもさせてもらおうかしら?」
「女から言われたのは初めてだな」
いつもはからかい文句として此方から言っているが
「さてと、世間話はコレくらいとして・・・ここから出て行きな、そうしたら見逃してやる」
「あら、問答無用で消すんじゃないの?」
「無駄な労力は省きたいんでね」
「でもざんねん。私貴方に興味持っちゃったから帰れないわ」
「そうかい・・・後悔しなさんなよ」
「そっちがね」
俺と闇色の妖怪からしだいに妖力が噴出した
というわけで、実は陰陽術を使えた真理
厳密には陰陽術を参考にした妖術ですがね~




