禅問答
ストックなくなったので更新遅くなります
「喝っ!」
「きゃんっ!?」
華扇の悲鳴がお堂に木霊する
華扇と出会い禅寺を探したはいいんだが、コレが中々見つからなかった。
理由はまだ入ってきて間もないってのと場所が無かったようだ
漸く見つけた禅寺は山の奥深くにあった
「まだまだ、雑念が多いですぞ」
「うぅ・・・なぜ、私がこんな事を・・・」
「お前が悟りを開きたい言ったんだろう?」
「あ・な・た・が!連れてきたんでしょう!」
そんなの忘れたわ
それにしても華扇も鬼なのかこの座禅でかなり苦戦しているようだ
元々鬼ってのはその豪快な性格ゆえに細かいことが苦手だったりするのだが、華扇も類に漏れずに大雑把な部分があるようだ
華扇は他の鬼に比べれば細かいことへの気配り等が出来るが根っこが鬼なのか細かい部分は気にするくせに稀に大雑把になったりする
まさか、座禅を組んだ瞬間に喝をいれらるとは思わなかったよ
「やれやれ、悟りを開くにはまだまだですな」
「どうも、お疲れ様」
「これは、真理殿」
ちなみに俺も華扇も妖怪としてこの寺へとやってきた
いや、ごめん。諏訪子様の元を離れたばっかで隠すのをすっかり忘れていたのよ
まぁ、着いた当初はそりゃ混乱の荒らしだったのだが、今話しかけた坊主だけが肝が据わっていたのか何をしにきたかを問いただされたので素直に
「悟りを開きに来たんだが」
といったら、大笑いし始めていまいにゃ招き入れると言う豪胆なまねをしでかした
「しっかし、お前さんも面白いねぇ」
「そうでしょうか?拙僧はつまらん坊主と自覚しているのですが」
「つまらん坊主だったら妖怪を招きいれるまねするかよ」
「なに、悟りを開きいれたいというものがいるのならば、全てのものを招き入れる。それもまた仏門の広さです」
こういう奴なのだ。神道もまた信仰するならば~とか言うが実際やるところなんてねえし
・・・諏訪子様のところは特殊だろ。出会いが出会いだったし、天照様とかいうカウンターがあったから仲良くなれたと思うんだ
「喝っ!また、雑念が生じましたぞ!」
「うぅ・・・だったら、近くで喋らないでくださいよ」
「その程度で意識が持ってかれるって事はまだまだ、未熟ってことだな」
後で復讐を・・・とか抜かしてまた喝を入れられる華扇・・・哀れだな
「しかし、真理殿は欲があるようでない、あるようでないですな」
「なんじゃそりゃ?」
「なに、一度真理殿もやりましたが、そのとき一切邪念が生じませんでしたし」
「まぁ、何千年も生きていれば座禅組んだ時くらいは無我にはなれるさ。まぁ、普段は邪念まみれだがな」
「そうでもないのが真理殿ですな」
はて?
「確かに真理殿はそういった欲があるのでしょうが、それが表立っておりませぬ」
「当然だな、生き様に近いからな」
「ゆえに自然体なのですよ」
うん、分からん
「さて、そろそろ昼餉の時間ですな」
「うぅ・・・やっと終わりました」
足が痺れているのか華扇の動きがぎこちない
「情けないな」
「反論したいですが、今はそんなことよりもお昼を・・・」
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「うむ、薄味だが上手いな」
「ありがとうございます」
「・・・」
禅寺だから精進料理に近いものだが元々味覚自体はいいほうだから薄味でも十分うまみがある
「・・・」
「どうした華扇?」
ジトーっとした視線を無視し続けたがいい加減ウザくなってきたので聞いてみた
「なぜ貴方はお酒を呑んでいるのですか!」
俺の隣においてある酒瓶をさして華扇が起き上がる
「何を言う。コレは般若湯といって酒ではない」
「だったら、私にも」
「悟りきってないものにやるつもりは無いよ・・・うん、萃香に感謝だな。水を入れただけで酒になる」
「酒って言っているじゃないですか!!」
「ハッハッハッ!」
華扇をからかいながら楽しく食事をする。料理とは無縁だったがこうやった薄味の料理にきつい酒に合うこと合うこと
てか、坊さんよ豪快に笑って流すなよ
「と言いますか、貴方のそれは萃香からですか・・・」
「前に喧嘩した時の勝利報酬だな」
「ほう、鬼と戦うとは」
「萃香を倒す・・・お母様の言っていたことは本当だったのですね」
こうして、一人若干イライラしながらも楽しい食事は終わった
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「彼女も大分悟りが開けてきましたな」
「そうだな」
アレから5年が経ち流石の華扇も前ほど邪念を持たなくなったようだ・・・酒への執着心は捨てきれないようだが
「てか、お前さんも変わらんね・・・妖怪か?」
「何を馬鹿な、拙僧は人間ですぞ」
まぁ、古来は悟りを開き霜を食うものがいるとか何とか言っていたからな・・・古来ってか今か
「コレならば拙僧たちが教えることは無いでしょう」
「そうさな、世話になったな」
「なんの、妖怪が現れても追い返してくれるだけでなく結界を張ってくれた貴方をないがしろにできますか」
「一宿一飯の恩というわけではないが、借りた恩は何かしらで返したいのでね」
そういうと、キョトンとした顔になる
「妖怪にもそんな考え方を持つものがいますか」
「俺が特殊なのは分かっているつもりさ。人間とはドンドンと変わっていくだからこそ面白い。特にお前さんは色々と楽しめた」
「ただの坊主には過ぎた言葉ですな」
そう言って一礼する坊主・・・見た目は変わってないが歳を感じるな
「ではな」
「お世話になりました」
「仏門はいつでも開かれております。またいらっしゃってください」
そんな奴はお前だけだろう
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「さて、お前はどうするんだ?」
ある程度山を降りている時に華扇に聞いてみた
「一度あの山に戻ろうと思います・・・ただ、鬼としてではなく行者として」
「行者か・・・いいんじゃないか?鬼の闘争とは離れることになるだろうからな」
「貴方はどうするのですか?」
「俺か?またふらふらと各地を渡り歩こうと思うよ・・・まだ見ぬ何かを求めて、な」
「そうですか・・・お母様に何かしら伝言があれば」
「ない」
「すっぱりと言い切りますね」
「余計なことを言うと探しに来そうだからな」
「・・・そんなことは無いのでは?お母様はあれでも鬼の総大将としての責務は果たしています」
そうか、俺が帰ったときにこいついなかったから玲央の暴走は見てなかったんだよな
「まぁ、その内帰るから本当になにも無いさ」
「分かりました・・・お世話になりました」
「気になさんな、俺は俺のやりたいようにやっただけさ・・・おかげでいいものも沢山見れたしな」
それだけ言うと俺は華扇とは別の方向へと歩き出した
ぶっちゃけタイトルは飾りです




