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東方転犬録  作者: レティウス
放浪篇
31/115

番外編 ・・・拾った

本編と関係が有りませんが内容的にはありと思ったものです


前提条件として、前話での玲央・麻耶戦で真理が負けたものとして始まります

「ちくしょう、つまらない・・・」


 妖怪の山の麓でぶらぶらと歩いているのだが、つまらん・・・


 玲央と麻耶のタッグに負けて早500年は経過したのだが、そこで変わったとなれば退魔師の連中が退き、その場所に村ができたこと位か


 まぁ、5年位前にその村に妹紅と慧音がやってきたのは驚いたが


 なんでも、旅を続けるのが限界に近づいてきたらしくウワサで妖怪の山が近くにあるにも関わらず人里があると聞いてやってきたそうだ


 再開したときに妹紅が大号泣したのはいい思い出だ、当分からかってやろう


「それにしても暇だ・・・カッパに会いに行くか」


 ここが妖怪の山と呼ばれるようになったときには既にいた河童。初めてきた時に会えなかったのはどうやら、鬼とかの妖力に当てられてしまって、隠れていたようだ


 カッパと言うからには頭に皿、背中に甲羅を期待したのだが、会ったときの奴は雨合羽を着て背中にリュックを背負った奴だった・・・カッパ違いだろうと突っ込んだ俺は悪くない


「オギャー!オギャー」


「なんだ、子泣き爺か?」


 色々な妖怪がすんでいるのは知っているが、子泣き爺が住んでいるのは知らない・・・新しくきた奴か?どうせ暇だし会いに行くか







「オギャー!オギャー」


「・・・赤子?」


 泣き声が聞こえた場所に来てみるとそこには泣き叫ぶ赤子がいた


「見た目からすると、白狼天狗か」


 白い髪や耳を見るからに明らかに白狼天狗としか断定できないが・・・あいつ等って生まれてくる子供って普通の赤子だったのか


 どこか、ずれた考えをしながら赤子を抱いてみると一枚の紙がある事に気がついた


「何々?『私では、この子をどうしても愛してあげることと養うことが出来ません。もし、この子を見つけた方がいらっしゃったらこの子を愛してあげてください』・・・なんだと?」


 まさか、この時代で既に養うことができずに子を捨てるやつがいるとは・・・


「あー!あー!」


 手紙を読んでいたら、赤子が泣き止み俺の耳に興味を持ったのか一生懸命に手を伸ばしていた


「ふむ」


「キャッキャッ!」


 試しに指を差し出してみると嬉しそうに指を握り笑う子供


「どうせ、この場所から離れることも出来ないし、育ててみるか」


 赤子を抱きながらもと来た道を戻りながら手紙を見てみると


「名前が書いてないな・・・俺につけろと言うことか」


 そこでふと上を見てみると、秋の紅葉が美しく栄えている木々が目に映った


「紅葉・・・いや、それだとつまらないからな・・・少しもじって椛とするか」


 名前を決めて、再び赤子改め椛を目線の高さまで上げて目を見る


「お前の名前は椛だ、よろしくな」


「あー!」


 俺が言っていることが分かったのか椛は嬉しそうに両手を挙げた






「おとーさん。おなか減った」


「もうちょい待て」


「さっきも、そーいったよ?」


 椛を拾って早5年。拾った後に気がついたが、どうやら拾った子は女の子だったみたいで、フロに入れたときに気がついた


 てか、これが息子だったらトラウマものの名前だったな・・・・


「よし、出来た。ちゃぶ台は綺麗にしたか?」


「うん!」


「よし、行くぞ」


「は~い」


 椛と共に台所から居間へと向かう


 椛もしっかり育ってくれていて何よりだ。妖怪でも成長の過程はどうやら人間に近いらしく5歳の椛の精神年齢は5歳のようだ


 まぁ、俺の場合は死んで気がつけばこの世界にいたってことで精神が熟達してたってのもあるが


 ・・・あれ?俺5歳で放り出されたなそういえば。まぁ、娘にそんなことは出来ないがな!


「おとーさん?」


「っと、すまんすまん」


 椛に施されて急いでちゃぶ台におかずを置いて座る


「では」


「「頂きます」」


 行儀よく二人で挨拶をして、ご飯を食べだす


 俺一人だったら確実にどこかの獣を狩ってそのまま食うのだが、娘をそんな野生児にしたくないからがんばって料理を覚えたよ


「おとーさん?」


「どうした?」


「今日はおかーさん達来ないの?」


「・・・椛?いつも言っているだろう?あいつ等は母親じゃないと」


「でも、そう呼ばないとすっごい怖い顔で近づいて来るんだもん」


「よし、ちょっと待ってろ」


 あの、馬鹿共まさか子供にまで脅迫まがいをしたというのか・・・これはきっちり殺っとかないとな


「おとーさん、こわいよぉ・・・」


「おお、すまんすまん」


 娘が怯えてしまったので慌てて妖力を隠すといつもの娘の笑顔に戻った


「まさか、真理さんがこんな親馬鹿になるとは思いませんでした」


「ほんまやね~」


「あ!おかーさん達!!」


「何故いる貴様等。そして、娘の教育に悪いから出て行け」


 椛に集中していて気づかなかったがいつの間にか両隣には玲央と麻耶が座っていた


「真理さんがいるところに私ありです」


「右に同じや~」


「よし、表に出。ぶっ飛ばす」


「ひどいですよ。ねー?椛ちゃん」


「そうや~。な~?椛」


「えーと、うーんと・・・」


「くっ、娘を使うとは・・・」


 まさかの椛に振るとは・・・ここで強く出て嫌われたら俺は生きていけん・・・


「私はおとーさんの味方ー!!」


「椛ぃぃぃぃぃっ!!」


 椛の言葉が嬉しすぎてつい抱きしめてしまう。この子は絶対に嫁にはやらん!!もし、くださいとかいう駄犬がいるのならば消し炭にしてやる!!


「ほんっと、真理さんがここまで子煩悩だったとは」


「これじゃタダの親馬鹿や~」


 後ろで何か言っている二人など知るか。椛も俺に抱きしめられて嬉しいのかすっごい笑顔を向けてくれる


 てか、後ろの二人はいまだ許した覚えは無いからな?俺が椛を拾った時のことを思い出してみろ!!







 椛を拾ってそのまま帰路についてたときだ


「あやややや?真理さんどうしたんですか?」


 聞き覚えがある声が聞こえたので上を向いてみるとそこには白いシャツにプリーツスカートをはいた天狗がいた


 こんな奇抜な格好をしている天狗なぞ一人しかいない


「文か、何ちょっとな」


「おや、その抱いている子は・・・まさか、隠し子!?」


「いや、ちげえ」


「その毛並みからすると・・・白狼天狗に愛人が!?」


「ちげえと言ってるだろう」


「こうしちゃ、いられない!早速帰って執筆だぁぁぁぁぁっ!!」


 光速とはこのことか、文は一瞬で姿を消した


 てか、瓦版をやりだしてからあいつはマジで変わったなぁ・・・今じゃ上司の言うことすら聞き流すとか


「てか、あいつもしそんなことを書いたらどうなるか分かってやってんのか?」


 ただじゃすまさんぞ





「「真理さん!!」」


 家に帰って、椛をあやしていたら突如として家の半分が吹き飛んだ・・・結界を張ってなかったら巻き添えだったぞ


「なんだよ」


「隠し事は本当ですか!!!」


「しかも、それがあの駄犬の白狼天狗やって?」


 玲央も麻耶も血走った目で俺を睨んでいるが、とりあえず麻耶よあのノンビリ口調がなくなってるぞ


「だー!だー!」


 そして、空気を読まない椛。俺の腕の中で渡していたキセルをおもちゃに声をあげると玲央と麻耶がグリンと椛をロックオンしていた


「なぁっ!?ま、まさか・・・あの、あっぱー記者の言うことが本当だったなんて・・・」


「フ、フフフ・・・文ちゃんが言うてたから冗談やと思ったのに残念や・・・」


 なんか、玲央と麻耶の瞳の光がなくなっているような?てか、黒い妖力が漏れているな


「「覚悟しろ、駄犬が!!」」


 それだけ叫ぶと二人はありえない速さでその場を後にしたかと思った次の瞬間には凄まじい衝撃波が妖怪の山全体を襲った


 なんでも、ブチ切れた二人が白狼天狗の住処を攻撃したのだが、理性が吹っ飛んでいるあの二人の攻撃は周りの被害もお構い無しにやったせいで山全体に被害が起きたようだ


 そして、山の麓とはいえ俺の家も例外に漏れずに吹き飛んだ


 ちなみに、ろくに調べもしないであんな記事を書いた文は二人に大層大事にされたようだ








「キャッキャッ!」


「こ、こら!む、胸を揉むな!!」


 家が吹き飛んでしまったので仕方なしに人里の慧音の家に非難をさせて貰うことにした


 あのあと、理性が戻った二人に説明をした後、責任を持って元に戻さんと出て行くといったら直ちにやりだしたのでそのうち戻るだろう


「真理が子供を拾うなんてなぁ・・・昔だったら放置しない?」


「まぁ、間違っては無いな」


 たまたま、遊びに来ていた妹紅が椛を見ながら言う。100年近くも一緒にいたから俺の性格を良く知ってることで


「いいではないか、妹紅。人は変わる。それは、妖怪だって一緒さ。なあ?」


 椛を抱きながら慧音が俺に微笑みながらそういうが俺は頭を掻いた


「いやぁ、実は・・・暇つぶし?あの、二人に負けて出て行けなくなってなぁ・・・それで、ぶらついたら泣き声がして拾っただけだし」


「真理殿」


「どうした、慧音?」


 慧音が椛を妹紅に渡し、俺にずいっと近づいてきた


「天誅!」


「ゲペッ!?」






 あの時の頭突きは痛かった・・・あれ?あの時で一番被害を食らったのはもしかしなくても慧音か?


「おら、お前等とっとと帰れ。飯を食い終わったら椛と風呂に入るんだから」


「そ、そんな!真理さんとお風呂ですか!?許しませんよ!!」


「そうや~!幾ら、子供と言えど女と風呂に入るのは許さないで~」


「ガキ相手にムキになるな、馬鹿共」


「おかーさん達、またねー」


 椛の分かれの言葉が効いたのか、二人はスゴスゴと帰っていった











「ただいま帰りました、お父様」


「お帰り~」


 縁側でノンビリと寛いでいると愛娘の帰りの言葉が聞こえたので返事を返しながら居間へと向かう


 椛も既に年齢が300を超えて、いい女へと成長した。身長も俺と同じくらいになり、女性らしさが出てきただろう


 ・・・呼び名がお父さんからお父様に変わったのが寂しいと言えば寂しいが


「疲れたろう?」


「大丈夫ですよ、お父様は心配性ですね」


「とは言っても、お前って文つきだろう?あいつと一緒にいたら、疲れないほうが可笑しいが」


「これでも、お父様の娘です。体力は他の方よりありますよ」


 おおう、娘も強くなって嬉しいぞ。まぁ、昔から色々な所に椛を連れ出していたからなぁ、体力もつくか


「それでお父様」


「どうしたんだ?」


「じ、実は・・・」


 なんか椛がこちらを伺うような顔をしているが本当にどうしたんだ?


「気にせず言ってごらん?」


「は、はい。実はですね、付き合っては無いんですが、職場の方がお父様に挨拶をしたいと」


「ん?挨拶なんて別にすることあるか?天魔というか麻耶とは親しい友人だが」


「そうではなくて、そのう・・・私とお付き合いしたいという方がいらっしゃりまして・・・それで」


「ほう・・・」


 まさか、そんな命知らずの馬鹿がいるとはなぁ・・・クックック、久々に暴れられるか


「お、お父様!!よ、妖力が漏れてます!!シッポが9尾まで開放されています!!」


 どこぞの馬の骨だぁ?まぁ、俺を倒せるくらいの奴ならばやってもいいと考えてやるだけはしてもいいが・・・フッフッフ、血が滾るぞぉ


「椛?」


「は、はぃぃぃぃっ!!?」


「何を怯えているんだい?俺はいつもとかわらんだろう?」


「は、ははははははい!!」


「そいつを、明日にでも招待しなさい。ああ、書くものを書いたら来るように伝えておいてね」


「わ、わわわわわ分かりました」


「さ、夕飯にしようか」


「はい・・・(申し訳ありません。私もお付き合いするつもりはありませんので・・・安らかに眠ってください)」







「初めまして、お義父さん」


「貴様にお義父さんと呼ばれる筋合いはねぇぇぇぇぇっ!!一尾展開!!くたばれぇぇぇぇぇっ!!」


「ちょっ!まっ!?たすっ・・・アーッ!」


 次の日妖怪の山にはくっきりと穴が開いたようである。この日以来、椛に言い寄ってくる男はいなくなったとか


「・・・お父様の馬鹿」


「すまん、椛!やりすぎたのは自覚してるから許してくれーーーっ!」


 いつの世も、娘に弱い父親であった

はい、ずっとやりたかった一つです


椛の親になるという設定は実は最初のほうから考えておりどうしようとずっと悩んでいました


もともと、真理のベースは犬かつボルゾイなので見た目が非常に似ていることからどうしようと最後まで考えてやめました


また、もし椛の親の設定ならば苗字のくだりは犬走にする予定でもありました


では、最後のあがきにお付き合いしてくださってありがとうございました


すぴぱる小説部、アットノベルでお次はお会いしましょう

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