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東方転犬録  作者: レティウス
放浪篇
30/115

家を建てよう

以降作業が結構めんどくさくて息抜きに執筆

「さ、真理さんが住む家なので立派なものを建てましょう!!」


「いや、イランから」


 玲央の気合入った宣言を横からツッコミを入れて制する。てか、言わなければどんな家が建ったかを聞いてみるか


「ちなみに、どんな家を建てる予定だったんだ?」


「とりあえず、ここからあそこにある木までを切り倒したあと平地にして、ってあたっ!?」


「馬鹿なこと言ってるんじゃねえよ」


 あほなことを言った玲央の頭を叩いて暴走を止めた


 こいつ、マジで俺が言わなきゃありえんくらいの大きさの家を作る気だったな?


 こいつが指した木ってのが大体1里先の場所だった…そんな馬鹿でかい家に一人で住めと?


「私がいるじゃないですか」


 いやんいやんとクネクネと照れている玲央を無視しつつ麻耶の所に向かう


「とりあえず、部屋の数は3つあれば十分だ」


「随分と謙虚やね~」


「無視しないでくださいよーーっ!」


 麻耶と話していると玲央が此方に文句を言いながら近寄ってくる


「だったら、アホなこと言ってるな」


「そうや~、真理さんの嫁はうちや~、って痛いわ~」


 今度は麻耶がアホなことを言い出したので再び叩く


「ふん・・・いい身分だな…グスッ」


「ほらほら、泣かないの」


「…泣いてない」


 俺と玲央、麻耶のコントじみた光景を見た泣きべそをかいている玉藻からツッコミが入る。紫は、泣きべその玉藻をあやしている


 いや、流石に玉藻がかわいそうだから俺も参加するか?でも、放置するとこいつ等がありえないくらいの豪邸作りそうで怖いから動けないんだよな


 それにしても…放置は堪えたか?あの宴会の後の朝、すっかり忘れていた玉藻を迎えにいって事情を説明したら泣き出してしまったのだ


 まさか、仲間外れにしてかつ忘れていたと言ったら泣くとは…いや、こいつの場合は一人ぼっちが嫌いだったな


「ああ、もうすまんかったって」


「ふん、貴様はどうせその二人がいるんだろう。私はついでの存在さ」


 なんだろう、こう言っていることが微妙に支離滅裂で訳がわからん


 玉藻は別に俺に好意を持ってない感じなのだが…まぁ、放置した友人よりも別の女に現をぬかしていると思われても仕方ない状況だが


「ほれ、シッポでも触って心を癒せ」


「フン、私はそんな安っぽい女じゃない」


 そう言って触って口元をほころばせる玉藻。とりあえず、ご機嫌取りはこんなもんでいいな


「てか、お前等!そんな広くなくて十分だと言ってるだろう!!」


「「え?」」


 ちょっと目を離した隙にやたらと敷地を広げようとする馬鹿二人(玲央・麻耶)


「なんでですか!!」


「そうや~、真理さんがゆうておる範囲やと狭いで~?」


「お前等の住んでいるところと一緒にするな。俺が一人で住む家にそんなにいらん」


 てか、四畳半ですら構わん


「そ、そんな!?」


「う、うそや!?」


 なんか、二人が驚いているが禄でもないことを言い出しそうだから釘を刺しておこう


「言っておくが、誰かを止めるこそすれ誰かを住まわす気は更々ないからな」


「「な、なんだってーーーっ!?」」


 やはりか、こいつ等のことだできたら一緒に住むとか言い出しそうだったからな


「おら、とっととやって来い」


「「はぁ~い…」」


 トボトボと歩いていく二人を見送りつつ出来上がりを楽しみにしてよう


「…作って貰うのをお願いしてる立場なのに、なんで偉そうなのかしら?」


 …あ、そういやそうだった。あいつらが異様にやる気だったから忘れてた







「さてと、だんだん出来てきたな~っと」


 玉藻も慰め終わり、機嫌が戻ってきたところで紫が話があるとのことで再びふらりと家を見にきたんだが


「何で私が…(ぶつぶつ)」


 鴉天狗の少女が文句ダラダラでやる気なく作業をしていた


「お疲れさん」


「はっ!…って、あんたは」


 上司に話しかけられたと思ったのか姿勢を正して振り返ったが全然違う人物だったためかすぐさま先ほどのけだるそうな顔で此方を見てくる


「なんの用よ」


「いや、めんどくさそうにしてたんでね声をかけただけさ」


「嫌味?」


「うんにゃ、嫌ならやめればって言おうとしただけ」


「・・・嫌味よね?」


「本心だが?」


「出来るわけないでしょ!!」


 突如怒り出す少女…はて、俺何かした?これでも人の機微には敏感なはずだが


「大天狗様から命令されてるのに、ぽっとでのあんたに言われたからってやめられるわけ無いでしょ」


「いやいや、大天狗が命令してても家主となる人物が別にいいって言ってるんだからやめていいんじゃないか?」


「天魔様すらやる気だしてるのに、私がやめたら後でなんていわれるか分かったもんじゃないでしょ」


「そうか?麻耶だったら俺が言ったって言えば納得すると思うが」


「…それでも、大天狗様からしかられるじゃない」


「そうかい?そんなの気にしなきゃいいじゃん」


「気にするに決まってるでしょ」


 はぁ~…天狗ってのは何でこう面子ってのをきにするのかねぇ?


「あんた、見たく気楽に生きられるのなんて数が少ないわよ」


「ほ~、あって少ししか経ってないのによく分かってるじゃないか」


「嫌味も通用しないのね」


「間違ってないからな。てか、人が何言ったって気にしなきゃいい。心の赴くまま、風が吹くまま自由にってのが妖怪さ」


「心の赴くまま…」


 はて、何かを考え出してしまったぞ?


「そういや、お前さん名前は?」


「私?私は文よ射命丸文」


「ほ、綺麗な名前じゃないか。俺の名前は知ってるかも知れんが真理だ。あいにくと苗字が無いがな」


「あんた、何か天魔様に似てるわね」


「あいつに?よしてくれ、俺はあそこまで黒くない」


「黒くって…」


「あいつって結構腹黒いぞ?賭けてもいい」


「賭けるって何を賭けるのよ」


「ん~、俺秘蔵のお神酒ってのはどうだ?」


「あんた、まさか盗んだの?」


「うんにゃ、貰った」


「貰ったぁ!?」


 おおう、突如として大声出したがどうしたんだ?って、妖怪がお神酒を貰ったと言ったら驚かれるか


「まぁ、あの神様達ってどこかずれてるからなぁ」


「はぁ…」


 しみじみと思い出していたらなんか溜め息吐かれた


「んじゃ、俺はいくが自分がやりたくないなら無理しなくていいぞ?少なくとも俺はやらん」


 それだけ言うと、その場を後にする。俺の言葉をどう受け止めるかはあいつ次第だ






「それで、お前は覗き見か?趣味の悪い」


「堪忍してーや~。あの文ちゃんと仲良くおしゃべりしてたのが気になったんや~」


「そういう所が腹黒いってんだ」


「酷いわ~」


 着物の袖で涙を拭くような動作をした後に少しマジメな顔をした麻耶が語りだした


「妖怪は心の赴くままな~、確かにそうやね~…けど、いつの間にか妖怪の間でも社会が作られ上下関係が生まれたんやね。そして、いつしかそれが当たり前のようになって今に至る」


「まぁ、人間がドンドン力をつけていってかつては妖怪一人に人間一人ということは無かったがいつしか人間は一人でも妖怪を倒せるようになったしな」


「まぁ、そうやね~、そんでもって出来た妖怪社会に順応するものもいれば出来ないものも居るしな~」


「ああ~、あいつ…文だったか?あいつもそんな感じがしたな。若いから生まれたばかりだろうがそんな自分の違和感がまだ自覚できてなかったって感じだしな」


「そうやね~、本音と建前・・・これが、上手く現れてないあの子は苦労すると思ったんやけど真理さんのおかげで抜けられるかな?」


「さあね、俺はただ心の赴くまま自由に風に乗るってね」


「ホンマ、真理さんは風みたいやし自由やな~」


「ははっ、そうだな」


 麻耶と喋りながら玲央の所に向かうと棟梁よろしくみたいな感じで指示を出し自分でも動いている姿はカッコよかった









「完成しましたよ真理さん!!」


 玲央の報告を聞き、向かってみるとそこには立派な日本家屋が建っていた


「おお、すごいな。まさか3日で出来るとは」


 趣がある庭に池など指示した大きさよりも広くなっているが、ここら辺はまだ許容範囲以内だったのでよしとしよう


「どうですか、真理さん?」


 褒めて褒めてとじゃれ付いてくる犬よろしくに玲央がこちらに来たので頭を撫でつつ褒めてやる


「ああ、流石だありがとう」


「はい!」


 眩い笑顔で嬉しそうにする玲央を横目に見つつ俺は懐からあるものを出した


「ん?真理さんそれは何や~?」


 目ざとい麻耶が俺が出したものにいち早く気づき聞いてきたので見せてやる


「家に必要なものさ」


「んん?風という字に由という字…もしかして、これって表札か~?」


「そうだ、家とは誰かが住んで家となるし、誰が住んでるかを見せてこそ意味がある」


「でも真理さん?この字は一体?」


 二人とも分からないのか首を捻るので答えあわせといこうか


「なに、今まで俺は苗字は無かったんだがな家を建てたのを機に苗字を作ろうと思ってな」


「なるほどな~」


「それで、一体どうやって読むんですか?それに由来は?」


「由来は自分でも言ったし麻耶にも言われたが、俺は自由で風のようだと」


「確かにそうですね、真理さんは何者にも縛られない感じがします」


「んで、この字だ。風に自由の由で【風由ふゆう】と読む」


「わぁ、綺麗な響きですね」


「うん、真理さんに似合うわ~」


「さて、これで俺の家が完成したな」


 表札を玄関に架けて完成した我が家を見上げ一息入れたあと


「んじゃ、またな」


 家に背を向けて歩き出した


「「ちょっと待ったーーーっ!」」


「ん?」


「なんで、家に入らないでどこか行こうとしてるんですか!!」


「うちらが作った意味がないやろ~」


「おお、忘れていた」


 俺としたことがすっかり失念していた


「まさか、このまま放置してしまうとは…ほいっとな」


 能力を発動し結界で家を被った


「って、またですか!」


「なんで、家でくつろごうとしないんや~」


「いや、家が出来たら出て行こうと思っていてな。あくまで作ったのは拠点としてと帰ってくる場所としてだし」


「くぅ~…こうなったら、麻耶さん協力してください。力ずくでも真理さんを止めます」


「こうなったら、しょうがないわ~」


「どこかが!!兎に角俺を止められると思うなよ!!」


 こうして、俺は1対2という状況に勝利を収めて再びあっちこっちを歩き出した









「ま、まさか、出て行きたいためだけにあんな力をだすなんて…」


「う、うちも予想外や~…」


 実力が拮抗しているはずの3者だったのだが、何故か不思議な力が働いたのか真理に軍配が上がったのであった






「また、忘れられた!?」


「安心して、今度は私もよ…」


 そして、再び忘れられた玉藻と玉藻と同様に忘れられた紫がいた


「「こんど会ったらぶっ飛ばす!!」」


 真理の明日はどうなるか?

というわけで、真理の苗字がようやく決まりました


最初考えた時から全くと言っていいほど苗字は考えておらずどうしようと悩んだ結果が風由という名前になりました


とりあえず、以降作業は始めていますので終わり次第連絡します

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