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東方転犬録  作者: レティウス
放浪篇
29/115

犬と鬼と天狗の長

「さ、沢山飲んでええで~」


 麻耶と言ったか?の音頭により、始まった宴会再びにより騒ぎ出す鬼達とそれを嫌な目で見ている天狗たち…うむ、シュールだ


「は~、真理さんは前に飲んでいたはずなのに全然よっぱらわへんのやなぁ~」


 麻耶が関心したように言いながらも俺に酌をしてくれるので、それを受けひと飲みしてから答えた


「俺の血は酒で出来てるんだろうさ」


「なるほどな~」


「そんなわけ、ないでしょうが…」


 ツッコミを入れてくる紫だがなんだか納得いかないと言った顔だが


「あのねぇ…あんたの、あの妖力は一体なんなのよ…9尾が終わりじゃなかったの」


「言ったはずだぞ?俺は一尾だと。9尾なのは力の封印しているに過ぎないんだよ。あの姿が本来の姿だな…ただまぁ、あの状態だと力を出さないようにしても大妖怪と同等の力になりかけるから嫌なんだよ」


「はぁ…」


 溜め息ばかりついている老けるぞ


「老けないわよ」


 心を読むな


「はぁ~そんなにスゴイ妖怪なんやね~、まぁあの玲央はんがこんな風になってるから分からんでもないけど」


 麻耶は俺の後ろを見ながら言うが…いや、それとコレとは関係ないから


「フフフ…気持ちいです~」


 すっかりフヤケタ玲央がそんなことを言いながら俺のシッポを抱いて転がっている。あの後、未だ機嫌が直らなかった玲央にとりあえずシッポを抱かせてみたらご覧の有様である


 昔から俺のシッポを触らせると皆こんな風になるのだが、俺のシッポは催眠作用かなんかあるのか?


 いやまあ、自慢のシッポだしさらさらで気持ちいこ自負しているが


「ん~、玲央はんがこんな風になるなんて、うちも触ってみたいわ~…玲央はん交換してーな~」


「フフフ…」


 ダメだ、聞いてない


「あ~ん…玲央はんのいけず~」


 いけずか?まぁ、そんなことより


「あまり、手を出すなよ?こいつの場合は気に入っているのを手を出されると果てしなくキレるから」


「知っとるわ~、こう見えて付き合い長いんやで~?」


「そうなのか?」


「そうや、なんでも玲央はん曰く真理さんと別れて100年経っても来なくなった辺りから~ってゆうておったからな」


「そうすると、2000年くらいか?」


「そうや。あと、うちと玲央はんの年齢が近いってのもあるけどな」


「ほ~、そりゃスゴイ」


「なんか、ムカつくわ~」


 いやだって、俺と玲央の年齢って1万近いんだろ?だったら麻耶もそうだろうし、そうすると強いってことだろ?


「まぁ、うちと玲央はんは力が互角でもうちの子達だと鬼相手やと無理やな~」


「まぁ、元々鬼ってのは最強種だからな~」


 人間でもまともに一対一をできたのって清明くらいか?…卑弥呼も出来るだろうか?


「そういや、そんな大妖怪の天魔は何でこいつの住処に来たんだ?お前くらいだと移動する必要ないだろう?」


「ああん、いけず~、うちのことは麻耶ってよんで~な~」


「はいはい。そんで?」


「もう、そっけない男は嫌われるで~?まぁ、きた理由は…確か、神様だったはずや~」


「神様?すまん、今一理解できないんだが?」


「ふにゃ~」


 てか、玲央それだと猫だぞ。お前は鬼の大将だろうが。見ろ、お前の姿を見て驚愕の表情で固まっている奴等が多いじゃないか


「ふふ…玲央はんはかわいい~な~」


「まぁ、普段は威厳あるが俺の前じゃこんなもんだ」


 まぁ、俺も玲央も長生きした弊害で頼る相手ってのがいないからなぁ…年上は特に


「そんで、神様ってのは?」


「そうそう、神様ってーのは、なんかうちらが住んでいたところに突如として神様がきたんよ~…なにやら霊地だから欲しいって」


「ああ、退治されそうになって逃げたのか」


「違うよ?出てくなら被害出さないって言うたから出ただけや~」


「マジか」


 驚きだ、確か天狗っていようにプライドが高くないっけ?


「まぁ、うちがあっさり了承したのを理解できないって幹部の連中にいわれたんやけど、うちとして命あってのものだまゆうて黙って貰ったわ~」


「誇り高い天狗にも代わったやつがいるんだな」


「誇りなんて、そこいらの犬にでも食わせたらいいんちゃうか?」


「同感だ」


 まさか、俺と同じような考えを持っている奴と出会えるとは


「まぁ、うちとしてもどうしても譲れないものはあるけどそれ以外はどうでもいいわ~」


「またまた同感だ」


 俺にもどうしても譲れないものってのはあるが、それ以外なら基本的に流すしどうでもいいと思っている


「フフフ…うちと真理さんは相性が良いみたいやな~」


「どうだかな、それ以外じゃ合わんかもな」


「ぶ~、本当にいけずやな真理さんは」


「ハハハ、コレでも年長なんだそれらしくな」


 因みに俺が譲れないというのは歳と性別とかだな。特に性別は絶対だ


「はぁ、秀ちゃんが掴みにくい奴って言っていたのが分かったわ~」


「おお、秀一ちゃんいるのか」


「居らんよ?なんか、牛若との思い出が詰まった場所でワシは死ぬ~ゆうとったけど」


 …あれが、いつまで続いたか知らんが相当気に入っていたのか


「それじゃ、どうやって知ったんだ?」


「ああ、うちって頭領って言われてるけど暇やからよく地方にいる子の面倒を見に行ってるんよ~」


『嘘をつくな!!!』


「お?」


「いやん」


「きゃっ」


「にゃ~」


 突如として上げられた天狗と鬼達の全員ツッコミに思わず声を上げてしまった…玲央はいつまでふやけてるつもりだ?


「天魔様!あなた、こないだ渡した書類見たのですか!」


「てか、あんた仕事をしてる姿を見た事無いぞ!!」


「つーよりも、俺達に仕事をおしつけてるじゃねえか!」


「それに、鬼の俺らにしか頼めないとか良いながら簡単なことすら回してくるじゃねえか!!」


 最初の二つが天狗の意見で後の二つが鬼の意見なんだが…上から2番目、上司をあんた呼ばわりかい


 てか、こいつ…


「てへ?☆」


 可愛らしく首をかしげて舌を出す天魔だが回りの怒りは収まらんかった


「ああん、真理さん。みんなが虐める~」


「働けばか者」


「酷いわ~」


 よよよ、と嘘泣きをする麻耶を放置しつつ未だふやけている玲央に用件を言っておこう


「お~い、玲央?」


「なんですか真理さん?」


「お前、いままでふやけて他の奴等が何か言っていても聞き逃していたのに」


「真理さんは別です」


「愛されているわね」


「いやん、照れます」


「嫉妬してしまうわ~」


 なんか、麻耶の言葉に玲央が反応した…おい、殺気を撒き散らすな。紫が至近距離で受けて息を詰まらせてるし周りの奴等も青い顔をしてるぞ


 そして、麻耶も何故張り合っている?お前も撒き散らしたおかげで紫は青を通り越して白くなってるし他の奴等は逃げ出したぞ


「クスクス…麻耶さんは何を言ってるんですか?の真理さんに手を出すなんて」


「フフ…何を言いてはるのかな玲央はん?いつ、真理さんが玲央はんのものになったんや?」


 お互い火花を散らしている…紫をなんとか俺の元に手繰り寄せて能力を発動。これにより、殺気を感じなくなった紫は元の顔色を取り戻しつつあるが、気絶してしまったようでうんうん唸っているのでしょうがないのでシッポに乗せてそのまま寝かせておく


「クスクスクス…」


「ウフフ…」


 お互い笑っているが目が本気である


「お前等、喧嘩するなら…出てくぞ俺は」


 原因がいなくなれば、収まるというのは常識である。まぁ、これほど好意を抱いてくれているのは男として嬉しいが…悪いな、何となく女と一緒になるというのが未だ自分の中で無いものでな


「「ごめんなさい、お願いだから出て行かないで」」


 一言一句違わず、同じ言葉を出しながら二人は頭を下げたので俺もそれを受けた


「それで、真理さんはなんのようですか?」


「そうそう、この山の麓に家を建てるんだが協力してくれないか?」


「いいですよ、お安い御用です」


「たのむな」


「だったら、うちも手伝うわ~」


『あんたは、仕事をしろ!』


 戻ってきた部下と鬼に一斉に突っ込まれた麻耶を無視しつつ


「おい、萃香。早く酒瓢箪よこせ」


「え~、明日でいいじゃん。こんなに酒があるんだからさ~」


 酒が入っている樽を抱えながら言う萃香…色気の欠片もねえ飲み方すんな。そして、星熊も負けじと一緒の飲み方してんじゃねえ


「はぁ、こんな宴会があるなら華扇ちゃんもいればよかったのに」


「華扇?知り合いか?」


「娘ですよ。茨木華扇といいまして、私と同じ色の髪をもった可愛い子です。まぁ、少し頭が固いのが欠点ですが」


「まぁ、あんなことがあったらなぁ」


「何があったんだ?」


「実はですね…


 ・

 ・

 ・

 ・


 ということが、ありまして」


「なるほどなぁ」


 人間が罠と言うか卑怯な手というかを使って一度攻め入られたらしく、そのときに片腕を切り落とされたそうだ


 妖怪ならば、長い間をかければ直らないこともないが、切ったのが凄腕だったらしくしかも、霊刀で切られ直らないそうだ


 そんなことがあって、今一度人間とはとかを色々考えすぎて行きつまり、一度頭を切り替える意味で旅にでたそうだ


 …鬼が旅ねえ…迷惑極まりないな


「それじゃあ、明日は一世一代の仕事ですね」


「いや、そんな大屋敷を作るつもり無いからな?」


 基本住むのは俺だけだろうし


「分かりましたが、だけど私達が作るんです。しっかりとしたものを作りますよ」


「ん。楽しみにしているよ」


「はい、まかせてください!」


 胸を叩く玲央は男らしいと思ってしまった






「宴もたけなわだし…そろそろ寝るか」


「どこで、寝るんや?」


「ん?俺は獣化してそこら辺で寝るぞ?」


 基本俺は何処でも寝れるし


「ん~、だったら客間に案内するわ~」


「悪いな」


「かまへんよ~。こんな状態やしな~」


 当たりを見渡す麻耶に俺も釣られてみればそこには死屍累々であった


 鬼も天狗も関係なく全員ぶっ倒れている


「てか、麻耶も酒強いな」


「ウフフ、玲央はんにつきおうていたらしだいにな~」


「ああ、納得」


「酷いですよ、二人とも」




 案内されたのはいいんだが


「なぜ、未だいる?」


「「「一緒に寝ようかと」」」


 三人揃って全く同じことをいうのだが…てか、紫お前もか


「あんな、狂乱のなかで一人にしないで!!」


 ああ、鬼の中で一人でほおられるのは怖いわな


「しゃーない、別にいいか」


 獣化してシッポをだして、うつぶせの状態で布団に入ると案の定三人がシッポを抱いてきたが別にかまわないからそのまま俺は深い眠りについた


 …久々の全力につかれた










「…ここは、どこだ?」


 真っ暗な闇の中、玉藻は布団から起きたが見覚えの無い場所、気配が全く近くに無いという状況に首を傾げていた

私の小説の中では鬼と天狗はそこそこ仲がいいです


理由は玲央と麻耶が親友ということで

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