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東方転犬録  作者: レティウス
放浪篇
28/115

頂上決戦

「さ、始めましょう…真理さん♪」


 楽しそうに…本当に楽しそうに玲央がそう言ってくる。約束の1刻も過ぎ俺も回復はしたっちゃしたが


「本当に回復するなんて…どんな、チートよ」


 紫がそんなことを言うが、知らんよ。あれじゃね?長生きしていたら勝手に回復力も上がったとか?


 てか、紫よぉ…前から気になったんだがどうして言い方が若干未来みたいな感じで言うんだ?


「いい女には、秘密があったほうがいいでしょ?」


 そんなことを言っていたのでイラッとして殴りそうになったが、まぁ間違いではないのでほっとこう


「さぁ、行きますよ!」


 どうやら、玲央は待ちきれないようでそのギラついた瞳をそのままに襲い掛かってきた


「危ねぇ!!」


 間一髪よけると、先ほどの星熊とは比べもんにならないくらいのでっかいクレーターが生まれた


「やっぱ、すごいなかあさまは!」


「アタシもまだまだだね」


 鬼達の代表の二人のコメントを聞くとどうやら普通らしい…まぁ、玲央にしちゃ大人しいほうなのは確かだが…


「まだまだ、行きますよ!!」


 どうやら、さっきのは挨拶程度だったようで先ほどよりも鋭く力強い拳を此方に繰り出してきた


「やられっぱなしだと思うなよ!」


 こちらとて、やられっぱでいられるかってんだ。俺が繰り出す足刀を正面から玲央に叩き込んだが


「ああ、これです…これですよ!!」


 若干トリップしている玲央は俺の攻撃を正面から食らったにも関わらずにも嬉しそうな表情だ


「チィッ…」


 舌打ち一つし、空中に駆け上がる俺と玲央。どうも、周りに誰かいると本気を出せん


「クスクス…二人っきりですか?いいですよ、私はいつだって…」


「はぁ…どうして、こうなった」


 本当に、いつから玲央はこんな性格になった?気づいた時にはこんな感じだったけどさぁ


「まぁ、いい…いくぞ」


「はい!此方もいきます!」


 玲央の声と共に再び攻防が開始された








「なん…なのよ、あれは!?」


 地上で真理たちの戦いを見ていた紫がポツリとそう零す。空中の激突の様子を見ているほかの鬼達も全員似たような感想であった


「あいつ…かあさまの全力を正面から受け止めてるよ!?」


「受け止めてると言うか、裁いているな…そりゃ、あたし達もあしらわれるわけだ」


 そんな、鬼達の感想をよそに空中にいる二人の攻防は激しさを増していった


「ハハハハハハッ!」


「チィッ、戦闘狂が!!」


 いつか、言ったような台詞を言いながらも真理は全ての攻撃を裁き続けていた


「かあさまが、あんな乙女のような表情をしているなんて初めて見たよ」


「そうだね、昔から言い寄る男は多かったのに全て『私には心に決めた方がいるんです』って言っていた意味が分かったね…まさか、かあさまと互角に戦えるやつがいるとは」


 萃香と勇儀がそうもらすのも無理は無かった、鬼神玲央はあまりの強さゆえに並び立つものがいないと言われるほどの実力者である


 故に鬼神…されど、その認識も現時点をもって打ち砕かれた、突如として現れた妖獣の真理


 八雲紫と共にやってきたこの妖獣は玲央の知り合いであり、絶賛玲央の片思い中の相手であった


 最初は古い友人故に恋心を持ったのだろうと回りの者は思ったが実際はそうではなかった


 その強さゆえに孤独を持った妖怪の風見幽香と同様に玲央もまた真理に出会わなければ幽香と同様に孤独に苛まれていただろう


 されど、初めての出会いでの戦いによっての敗北、そしてその後の手合わせでも一進一退を繰り返し現在は最初の戦闘によっての勝ち星を持っている真理が勝ち越しているがその実力はまさに互角であった


「ねえねえ、紫。紫はあの…真理だっけ?あいつの力って知っていたのかい?」


 唖然と見上げていた紫に萃香から突如話しかけられ現実に戻ってきた紫はハッ!とした評定したあとに萃香に向き直る…そこには、いつも浮かべている余裕のある(胡散臭い)表情はなかった


「いえ、私も真理は昔から生きている大妖怪で強い力を持っているのは知っていたけど…あそこまでなんて思って無かったわよ」


 かつて、力ずくで式神にしようとしたときに9尾でビビリ腰を抜かした時のことを思い出していた


 あのとき、真理が本気で自分を攻撃したらきっと跡形も無かっただろうと思い思わず身震いがした…よく、生き残れたものだ


「そっか、かあさまの知り合いってことで勝負をしかけたのもあったけど…ここまでだなんて」


 萃香もまたそんなことを思いながら上を見上げると、どうやら仕切りなおしなのか一旦距離をとっている二人が映った







「ゲホッ…たく、息つく暇もねえ」


 軽い堰をしながら、真理は体を見る。体には所々から血が滴り落ちていた


 いくら、力を流し攻撃を裁いてはいても鬼のそれも鬼神と恐れられているほどの人物の攻撃である


 たとえ、当たってなくても空気を裂きよけてもダメージが通っていたのである


「クスクス…真理さんもお変わりはないですね」


 そんな、苦々しい顔をしている真理とは裏腹に玲央の見た目・・・は至って普通である


 あくまで、見た目のため実際は真理の攻撃を防いでいる箇所にはダメージも入っており、アドレナリンが溢れている現在は気にならないが、切れた時にはそれ相応のダメージが入っているだろう


「さてと…どんだけぶりだ?開放するのは」


「そうですね…私も真理さんと別れて以来はやってないですから」


 そんな、二人の会話に疑問をもったのは地上の面々であった


 聞こえたのか?と言う疑問もあったが、そこはそれとして


 そんな二人は関係なくそれぞれ準備を開始した


「9尾収束…展開一尾」


「よい…しょっと」


 真理の言葉と共に今まで展開していた9尾が絡まりだすと少し光ったと思ったらそこには1尾よりも大きく立派なシッポが


 玲央の何かを動かすような掛け声と共に玲央は手についていたわっかを外し、誰もいない場所へと放った


 真理のシッポが展開されるとそこには濃密な妖力が、玲央が放ったわっかは地面に着くと凄まじい轟音と共に地上にクレーターをつけた


「信じらんない…なによ、アレ」


「そんな、かあさまがあれを外すなんて…それに、なんだいあの真理の妖力は」


 一緒に見ていた紫と萃香はそんな言葉を漏らすしかなかった


 先ほどまでのレベルが違うと思った戦いは全力と思ったら全力ではなく、そして今度こそ本当の全力である


 されど、その力の馬鹿さ加減が酷かった


 真理のもつ妖力は他の妖力を圧倒し、玲央がつけていたわっかは単純な錘であるが轟音を轟かせるほどの重さだ


 特に真理を良く知らない鬼たちは真理のその妖力にビビッていた


「はぁ…相変わらずの力だな。あんな重い錘つけてあの力かよ」


「そういう、真理さんだって相変わらずの妖力ですね。私の妖力の優に2倍はありますよ?」


 そんな会話をしている二人だが、緊張感は半端無かった


「さて…」


「第二幕を始めましょう…」


 そして、両者が動こうとした瞬間そこに雷が一つ落ちた


「「だれだ、邪魔するのは」」


 真理と玲央の声が重なり当たりを見回すとそこには大きな黒い羽を背から生やした一人の妖怪がいた


「そこまでや~。あんさんらが、戦ったら被害がひどいわ~」


 どこか、ノンビリとした口調をしながら現れたのは


「麻耶さんですか…邪魔するならば貴女でも容赦しないですよ」


 とても楽しい時間を邪魔された故に今の玲央は完全に怒っていた


「といってもな~、あんさんらが戦っているせいでウチの子らが酷く怯えてしまったんや~、堪忍してーな~」


 そんな、口調と裏腹に何故か真理はこのものがきちんと誤っているというのを感じながらもなぜ割って入ってきたのかが不明であった


「どちらさん?」


「お~、綺麗な顔やなぁ~、あんさんが玲央はんが言うておった真理さんやな~?」


「そうだが、質問の答えは?」


「おお、うちとしたことがうっかりやったわ。うちの名前はあまつ麻耶いうて、天狗たちの棟梁をやっているものやで」


「天狗の棟梁って言えば…天魔か」


 真理は、唯一思い浮かぶことを言ってみたら、麻耶は嬉しそうに頷いた


「そうや~、一発で分かってくれるなんて嬉しいわ~」


 真理は戦う態勢のまま麻耶となのった天魔を見つめる…こんな、奴で大丈夫なのか?と思いながら


「そんな、見つめんといて~な~、うち恥ずかしいわ」


 頬を染め、手で隠しながら照れる天魔に真理は苦笑い。そんな真理と天魔の様子をみて面白く思わないものがいたそれは…


「それで!麻耶さんはなんで私と真理さんの逢瀬をじゃましたんですか!!返答次第では殺しますよ!!」


 玲央である。因みに逢瀬ではなくやっていたのは殺しあいの一歩手前の戦いであるが


「だから、言うたやろ~?うちの子らが半端ない怯えようでほおっておけなかったんよ~」


 ノンビリとした口調ではあるが、あの本気状態の玲央の殺気を受けてケロっとしている事実をみて真理は天魔も相当な実力者とみていた


「はぁ…」


 一つ溜め息をつくと、真理はシッポを最封印してしまったのであった


「そんな、真理さん!?」


 そんな、真理をみた玲央は今にも泣き出しそうな表情で真理に詰め寄る


「なんか、戦う気が殺がれちまったからまた今度、な?」


「うぅ…でもでも!」


 どうやら、玲央は納得できなかったようで駄々をこねだす


「真理さんはまたぷらっと出て行って、当分帰ってこないですよね?そうしたら私…私…」


「そんな顔すんなって、前見たく何千年も帰ってこないとか無いから、さ」


 そういうと、玲央の表情はえ?と言った表情に変わった


「帰ってくる?」


「ああ、この山の麓にでも家を建てようと考えているからな」


 すると、玲央の表情は見る見ると明るくなっていった


「本当ですか!?」


「ああ、玲央も知っているだろう?俺は嘘は嫌いだからな、本当さ…ただ、場合によっては100年以上は帰ってこないこともあるだろうがな」


 玲央の頭を撫でながら真理は説得に成功していた


「う~ん…あの、玲央はんがここまでかわいくなるなんて…邪魔したかいがあったってもんや~」


「いや、天魔よぉ…俺も戦いは好きって訳ではないが邪魔されるのはムカつくからな?」


「いやん、麻耶って呼んで~な~…まぁ、それにつては誤るわ~、ごめんね?」テヘッ☆


 舌を出しながら首をかしげる天魔に真理と玲央は深い溜め息を吐いた


「お詫びと言ってはなんやけど、うちで宴会しよ~や~」


「まっ、それで許してやるか」


「お酒は、貴方達がだしてくださいね」


 麻耶は了解や~と言って天狗の住処へと帰っていった


「それにしても、天魔か」


「気をつけてくださいね?ああ見えて、実力は私と互角ですから」


「ああ、それは何となく感じていたから」


 それだけ言うと真理と玲央は降りていき、鬼や紫たちに宴会のことを伝えたのであった


真理の本当の実力を公開!


そして、玲央の錘は某ゲジマユみたいな感じ

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