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東方転犬録  作者: レティウス
放浪篇
23/115

金色の毛のシッポ

「えっと、こっちかな?」


 ある噂を聞いて、長い廊下をあるいているのだが…


「なんで、こう無駄にひろいかねぇ。これだけ広いと色々と面倒じゃないのか?」


 不比等や清明の家も広かったが、この場所の広さはとんでもないな


「ん~・・・こっちかな?」


 人の気配を探しながら歩いていると、目的の場所に到着した


「あった、あった。ここが噂の玉藻の前がいるところか」


 絶世の美女という話は今の日本でならば余程の地方ではない限り耳に入る噂である


 そんな、噂を聞いて俺も一目合おうと来たのだが・・・場所がよりによって帝の住まう場所ということで流石の今回は犬のまま遭うという、輝夜の時の策が使えなかった


 なので、仕方なく認識阻害結界を更に弄り俺とその他の認識を完全にずらし俺と言う存在を見れないようにしてそのまま進入してみた


 結果は成功。ところどころで、素養が高い人間とすれ違ったがばれなかったから大丈夫であろう


 それにしても、玉藻の前である。前世の記憶が既にほとんど無い俺だが、流石にこれだけ有名な名前は忘れていなかったようである


 日本三大妖怪の一角を担う九尾の狐の妖怪だ。狐つながりで言えば、清明の母親も狐だが玉藻の前の場合は大陸からやってきたはずだ


 さて、ここでうだうだ考えていても仕方ないので、いざ行かん


「・・・ほう」


 思わず感嘆の溜め息が出た。輝夜も美女として騒がれていたがあれは少女であったがこちらの美女は20代の女性の美女である


 確かに、この容姿ならば帝が心を奪われるのも頷けよう


 枯れたと思った俺ですら美しいとおもったのだから


「暇だ・・・」


 ポツリと玉藻の前が言葉を漏らす


「暇だ、暇だ、暇だぁぁぁぁっ!」


 なにやら、突如として騒ぎ出した玉藻の前。何が暇なのだが兎に角暇だとわめきながら寝っ転がりながら暇だを連発している


 あれ?この姿をどこかで・・・ああ、さっき思い出した輝夜も何か似たようなことをやっていたなぁ


「あ~、ちょっといいか?」


「暇だ、暇だ、ひま・・・ん?」


「よっ!」


 片手を上げながら挨拶をする俺とその俺をポカーンとした表情で見つめる玉藻の前


「み、見たのか?」


「何をだ?」


「だ、だから私がその・・・」


「暇だと騒ぎながら転がってるのなら見てないぞ?」


「そうか、見てないのか・・・」


 あれ?納得した?


「って、見てるではないか!!」


 どうやら、思考が単純化していたようで直ぐに言葉を受け止められなかったようである


「いや、見てないよ?」


「では、私が何をここでやっていた」


「暇だとわめきながら転がっていた」


「見たではないか!」


「ああ」


「あれ?素直に・・・って、誰だお前は!」


「今頃か?」


 まぁ、混乱した頭で冷静に状況を分析できるわけ無いもんな


「俺はまぁ・・・多少長生きをしている犬の妖怪さ」


「・・・妖怪が私になんの用だ」


「いやぁ、巷で噂の絶世の美女の玉藻の前の顔を見てみたくてね」


「それだけのためにか?」


「それだけって、お前なぁ」


「なんで、溜め息なんて吐いているんだ」


「だって、お前はその美貌で帝を虜にしたんだろう?」


「ああ、私は自分の容姿に自信があるしな」


「自画自賛乙」


「ムッ!最後の乙というのは意味が分からないが、馬鹿にされたことだけは分かるぞ!」


「だって、そうじゃん。まぁ、いいや。帝すら虜にするその容姿を一目見てみようとこうして乗り込んできたんだ」


「無視した!?」


 基本はスルーです


「それで、どうするのだ?というか、どうやって入ってきたんだ?」


「そこはほら、昔の知り合いの陰陽師が使っていた結界を応用してだね」


 ウソは言ってないぞウソは。清明が使っていたが教えたのは俺というだけだが


「まさか私を!」


「興味ねえ」


「まさかの一言!?」


「だって、めんどくさいじゃん?」


「次は面倒くさいの一言だと」


「なんで、俺が陰陽師の言うことを聞かなきゃいけないんだ」


「式神というわけではないのか?」


「ナイナイ。俺より弱い奴の言うことはきかんよ」


「フンッ、随分自信があるようだな」


「まぁ、それなりに長生きしていればね」


「長生きといっても私ほどでもないだろう」


「あー、お前さんって幾つなんだ?・・・って、アブねえな!」


 年齢聞いたら炎が此方に向かってきたので慌てて避ける。周りに燃え広がらないのをみるとあれが狐火か


「女に歳を聞くな!お前も女なら分かるだろうが!」


「お前から言ったんだろうが!そして、俺は男だ」


「え・・・」


 テンプレ乙


「な、なんだと!?ほ、本当か!?」


「本当だ」


「は、ははは・・・ウソを言うな。その容姿で男だと?冗談がうまいな、ははは・・・」


「ウソは嫌いだ」


 冗談は言うがな


「・・・クスン」


「なぜ泣く」


「・・・ま、負けた」


 orzで落ち込む玉藻の前・・・誰にも聞こえないように呟いたんだろうがあいにくと聞こえてしまった。俺よりお前のが綺麗と思うがねぇ


 自分にダメージが起こりそうだからスルーするが


「そういや、お前ってその髪色なのか?」


「いいんだ・・・いいんだ・・・負けていても、この容姿で男を誑かせれるんだから」


 ダメだ、鬱っていて話きいてねえや


「おりゃ」


「きゃんっ!?あ、あれ?」


 頭にチョップを入れたら、うまい具合に再起動してくれたようだ


「そんで、お前さんの髪色って元々?」


 玉藻の前の今の髪は艶やかな黒い長髪である


「いや、この髪は変化した時に変えただけであって本来は私は白面金毛九尾の狐という狐の妖怪で名が示すように金色の髪の色だ」


「へー」


「聞いてきたのにその返事は何だ!!」


「それ以外になんて反応しろと?俺なんてめんどくさくて変えてないし」


「お前は何か灰色なのか?」


「まぁ、白に近いが灰だね」


 目も金色だがなあ。認識阻害覚えてからは楽になったがそれ以外はかなり怖がられたのはいい思い出だ


「さてと、どうせならお前さんの下の姿見せてくれん?」


「なぜ、私がそんなことを聞かなければならないんだ」


「ケチ」


「お前!言うに事欠いてケチとは何だケチとは!」


「だって、そんな器量が狭いやつなんて思わなかったからさ」


「っ!いいだろうよく見ておけ!これが私の真の姿だ!」


 いやぁ、ここまで簡単に引っかかってくれるとは・・・暇だと騒いでいたからからかいながらやっていたが


 さて、白い煙が立ち上り晴れてくればそこにはいたのは・・・


「おおう、いいシッポだ」


「見るところはそこか!?」


 いや、だってさぁ。俺もシッポには自信があったが、こいつのシッポはなんていうかこう・・・


「もふい」


「何語だそれは!!」


「いや、それしか思いつかん!お前のシッポはもふい!」


「それよりも、私の姿をきちんと見ろ!」


「あだっ!」


 シッポに見とれていたら、首を無理やり顔のほうに持ってかれて首がグキッと嫌な音がなった


「お、おぉぉぉぉ・・・」


「す、すまない」


 首を押さえてうずくまっている俺に流石に悪いと思ったのか玉藻の前が誤ってくる


「だったら、シッポを触らしてくれ」


「な、なんだその要求は!」


「ダメか?だったら俺のシッポを触らしてやろう。お前のもふさは無いがさらさらで気持ちよいぞ」


 そうして、俺のシッポを前に出す。そこまで長くは無いが出来ないこともない


「いや、何だその理屈は」


「ええい、もう面倒だ!勝手に触る!」


「や、ちょっと、やめてぇぇぇぇっ!」




☆★




「もふもふもふ」


「さらさらさら」


 俺と玉藻の前は一心不乱にお互いのシッポを触りあってるのだが・・・くっ、このシッポのもふさ加減は正直侮っていた・・・まさか、ここまで気持ちよいとは


「くっ、確かに私のシッポのようなふかふかとした感触は無いが、この絹以上のさわり心地は侮っていた・・・」


 どうやら、あちらも同じ思いだったようだ



☆★



「さて、そろそろ帰るわ」


「なに?もう、帰るのか?」


「いや、だってよぉ?別に俺ここに住んでいないし」


「だったら、私の拾った犬にすれば」


「今日出てないのにどうやってよ」


「うっ・・・」


「まぁ、当分暇だからな暇つぶしにその内また来るわ」


「絶対だぞ!貴様のシッポを味わってしまっては、時間が経てば禁断症状が出る!」


「俺のシッポは麻薬か何かかよ・・・」


 玉藻の前の言葉に思わず溜め息が出る


「んじゃ、またな」


「絶対だぞ!」


 あいも変わらずしつこいのでそのまま部屋を出て、結界を解く


 流石にあそこまで騒いで人がこねえとか無いだろうと思って最初の段階で結界を張っていて正解だったな


 はてさて、別に宿は無いからどこか適当なねぐらを探しに行きますか

真理は基本的に宿がなければそこら辺の木下で獣化して寝ています


襲われそうになる前におきますし、犬の能力のおかげで基本襲われません


しかし最近真理の犬状態をすることができません・・・ちくせう

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