そのもの僧にして妖
時系列が恐らく遅いと思われますがお許しを
「やっ!はぁっ!」
「ぬるい!ぬるいぞ!!」
俺の目の前で一組の人間と妖がなにやらちゃんばらをやっていた
「ちゃんばらじゃない!剣の修行だ!」
「よそ者は黙っておれ!」
「へいへい」
怒られてしまったので、なぜこうなったかを思い出そう・・・あれは確か、聖達の下を去った後に諏訪に向かっているときに噂を聞いたんだよ
☆★
「鞍馬山という山の奥に僧正が谷に住むっていう話らしいよ」
噂好きの妖怪と言うのもかなりいるもので、結構前に知り合った奴に教えてもらったので急遽目的地を変更して向かったんだ・・・
んで、ついてみて上っていたら途中で何かの結界があったのを素通りしてみてみるとそこには・・・
「・・・妖怪と人間?」
高下駄を履いた山伏の格好をしている妖怪となにやらそれに師事を受けている人間がいた
「誰だ!」
妖怪が俺に気づいたのか此方に振り向いてきたので俺はあっさりと奴等の前に出て行く
「そう、怪しいものでもないさ。俺は通りすがりのタダの犬の妖怪さ」
「よ、妖怪!?」
「・・・ただの妖怪がワシの結界をワシに気づかれずに通れるものか」
「てか、お前さんは何故に妖怪に驚くのさ。目の前のやつも妖怪だろう?」
「お師匠様は別だ!!」
なんだ、その差別は・・・てか、あの山伏も人間の言葉に感動してジーンってなっているし
「牛若ぁぁぁぁっ!ワシはそんなお前が大好きだぁぁぁぁぁっ!!」
「師ぃぃぃっ匠ぉぉぉぉっ!」
熱い抱擁を交わす二人をみて吐きたくなってきた・・・帰っていい?だめですか、そうですか
「それで、妖怪の貴様がなんのようだ」
落ち着きを取り戻した山伏がそういえばと言った感じで再び聞いてきた
「いやぁ、なんだかこの山の奥に僧正が谷に住むという噂を聞いてね。確かめにきたんだよ」
「そんなもののためにか?」
「そんなもの、って言うが俺にとっちゃ十分動く理由になるんだよ、これがな」
「ふぅむ・・・変わった奴だのう」
「半分くらいは自覚している」
「半分なんですか?それに、自覚もしていると」
「少年は黙っていようね。今は君のお師匠さんと話をしているんだから」
「「えっ!?」」
なんか、二人が驚いたような表情をしているんだがどうしたんだろう?
「ボ、ボクが男だと分かるの!?」
「こ、この顔じゃぞ?お、男と断言できるのか!?」
なんか、山伏の方は失礼通り越して潔いな。人間の方は師匠にそんなことを言われてショックだったのか落ち込んでいるが
「犬の妖怪といっただろう?基本的に男と女の違いは匂いで嗅ぎ分けられるんだ・・・今回は顔見ても分かったけど」
「な、なんじゃとっ!?」
なんか、山伏が驚いているけど今回は完全に顔で判断したよ俺。だって・・・
「なあ、少年よ。俺の顔を見てなんか思うことある?」
「え、顔ですか・・・?そういえば、会ったときからこう・・・なんていうか、似ているっていうか・・・」
「何を言っておる牛若?こやつとお主が似ているだと?おぬしのほうがいい顔だ」
「師ぃぃぃっ匠ぉぉぉぉっ!」
「牛若ぁぁぁぁっ!」
再び抱擁を交わす二人に疎外感を感じる俺・・・帰っていい?ダメですか、そうですか
「んで、少年は分かったかな?」
「えっと・・・失礼なんですけど、あなたの性別って?」
「何を馬鹿なことをいっておるのだ牛若よ、決まっておろうこやつはどう見たって「男だがな」・・・なん・・・じゃと・・・!?」
「や、やっぱりそうでしたか」
「そういうこと。俺もよく女に間違われるからねえ、お前をみてピンッときたのさ」
いやぁ、顔の悩みで気持ちを共有できそうなやつが他にいるとはおもわなかったなぁ。すると、少年が此方に歩み寄ってくるのが分かったので俺も同じように向かい
「「同士よ!!」」
硬く握手を交わした
「ボクの名前は源 義経と言いますが、周りはボク源 義経のことを牛若丸と呼びます」
「俺の名前は真理、少し長く生きている犬の妖怪さ」
それにしても、あの有名な源 義経だったとは・・・山伏が牛若と叫んでいたからもしかしてと思っていたが本当にそうだったとはねぇ・・・
「こ、こら!勝手にワシの牛若に手を出すな!」
「誰が男に手を出すか」
「師匠様おちついてください!!」
吼える山伏を窘めることに数分を要した後に山伏の名前を教えてもらった
「ワシの名前は鞍馬 秀一だ」
「・・・女なのにその名前なのか?」
「ほっとけ、ワシも最初はそう思ったが既になれたし基本は鞍馬と呼ばれるからな」
「んじゃ、秀一ちゃんよ」
「鞍馬と呼べ」
「秀一よお前ってさなんの妖怪?」
「鞍馬と呼べ。ワシは天狗だ」
「天狗で鞍馬・・・あー、あーー、はいはい」
鞍馬天狗ね
「そんで、牛若丸と秀一ちゃんはここで何をやってたんだ?」
「鞍馬と呼べと言っておろう?」
「ここで、ボクは師匠に剣術を教えてもらっているのです」
天狗に師事を受ける人間・・・
「後で食うのか?秀一ちゃん」
「食わんわ!!ガキにちゃん呼ばわりされたくないわ!」
「うっそ、お前って2000超えてるの!?」
「だれが、そこまで行ってるか!ワシはまだ1000を超えただけだ!見よ!この瑞々しい肌を!」
「だったら、お前がガキだろうが」
「どういうことなんですか?」
「ん?だって俺既に2000超えてるよ?」
「「なんだってっ!?」」
そんなに驚くことか?妖怪の見た目が年齢と一致しないのは常識だろうに
「そ、そんなに生きているなんて・・・大先輩です」
なんか、牛若がやけに感動しているんだけど
「そ、そんな・・・この、見た目に雰囲気でワシより年上じゃと?フフフ・・・終わった」
鞍馬がなんかorzで落ち込んでいるんだが・・・皆が言うようになにかこうくるものがあるな
「それで、最初に戻るがそんな理由できたのだったら少しお前の実力を見せてくれんか?何、年上なのだろう?若輩のワシの今後の参考までに見せてくれるよな?」
なんか、鞍馬が私怨たっぷりの目で此方に向かって言ってくるんだが
「だが、断る!」
「なん・・じゃと・・・」
「冗談だ」
「殺す!」
「わはははー」
その後少しの間鬼ごっこをしていたのだが、俺は簡単に捕まり実力をって話になった
「さてと・・・ん~、どうするかな?・・・ん?」
当たりを見回してみると、そこには全長3mくらいの大岩があった
「なぁ、牛若でも鞍馬でもいいんだがあの岩って切れるか?」
指をさして後ろの二人に尋ねる
「無理です」
「ワシも無理じゃな。砕くのは力で出来るが斬るとなると刀がもたん」
そういえば、そうか。しかし、後の名刀・妖刀ってのはできる話だしな・・・刀だけとは到底思えん
「まぁ、いいやよく見ておけよ、5尾解放」
「「なっ!?」」
後ろで二人が驚いているがどうしたんだろう?それにしてもここ最近はよく5尾まで解放するなぁ・・・この大岩ならば3尾でいけるだろうが俺の力を見たいならこれくらいしてやらないとな
「んじゃ、よいっしょっと」
軽く足を振るった後に二人に向き直るよ
「ドヤっ!」
「何かやったのか?足を振るったのは分かるが」
「私は足がぶれて見えただけですが」
「あの岩を斬ったんだよ」
「「へっ?」」
「見てろよ・・・よいしょっと」
岩の上側を押すと簡単にずれて岩の上の方は地面に落ちた。落ちたときに地面が揺れたがしゃーない
「いわゆる足刀ってね。磨き続ければ誰だってできるぞ?」
「いやいやいや、なんでそんなやる気無い掛け声でできる」
「ボクにも出来るでしょうか?」
「やる気ないのは本気じゃないからだな。んで、やり続ければできると思うぞ?俺だって最初は出来なかったし」
元々俺はあまり近接の才能が無かったんだから。やり続けた結果がこれだ。最初から出来たわけじゃない
「そうですか・・・師匠!」
「どうした牛若?」
「修行をつけてください!」
「任せよ!」
☆★
そういや、あいつ等の修行をするって言う行為は俺がけし掛けたことか
「なぁ、鞍馬はキセルを吸っているのか?」
「キセル・・・ああ、それは昔助けた管狐がくれたものだよ」
管狐・・・たしか、人間に使役される珍しい妖怪だな
「まぁ、ワシは吸わんから欲しいなら持って行っていいぞ。奴にはワシから言っておくからその内目の前に現れるだろう」
「んじゃ、友好の証として貰っておくかねえ。俺からは・・・髪留めでもやるか」
取り出したのはリボン。まあ、昔に妹紅にやったやつみたいなものだ。俺も髪の毛は長いほうなので結構使っている
「ほう、これは中々可愛いがワシには似合わんだろう」
「いえ!師匠ならば似合います!」
「そ、そうか?」
「はい!」
「な、ならば貰っておこう」
「どういたしまして」
俺は鞍馬から貰ったキセルを腰の帯に差し込む・・・うむ、見た目がかっこよくなったな。吸わないけど
「師ぃぃぃっ匠ぉぉぉぉっ!」
「牛若ぁぁぁぁぁぁぁっ!」」
なんか、二人が抱擁をしだしたので、今度こそ本当にその場を後にした
という訳で、オリジナルの話は鞍馬天狗こと秀一ちゃんと牛若丸との出会いでした
時期的にそういや、源平戦争前の牛若丸書いたら面白くね?しかも、育てたのって天狗=妖怪だしということでやりました
鞍馬の名前についてはぶっちゃけネタです。分かる人いるかなぁ?種族違うし
では、次回もお楽しみに