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東方転犬録  作者: レティウス
放浪篇
19/115

人とは妖とは

 清明の所に来て早5年が経過した。5年も経てば人間である清明も成長し大人になってくる


 そういえば、こうして人の成長を直に感じたのは初めてかもしれないなぁ


 卑弥呼は既に大人だったし、神子たちも体が出来上がっていたのか成長しなかったしなぁ・・・あれ?そうすると布都はあれで大人だったのか?


 妹紅も不老不死になっていたから幾ら年月が経過しようとも成長しないし、後の知り合いたちは人ではないから基本成長しないしね


「何をしているのだ、真理」


 会った時よりも背が伸びた清明が俺に話しかけてくる。出会った当初は俺よりちみっこかったのにいつの間にか抜かれてしまった・・・


「いや、お前の足でも切ってちっこくしてやろうかと」


「何を物騒なことを言ってるんだ!?」


「冗談だ」


「はぁ・・・貴様の冗談は冗談に聞こえないんだから気をつけてくれ」


 キリッとした表情で言ってくる清明だが・・・


「う~む、どう見ても美人にしか見えんな」


「黙れ、こう見えても未だ女とばれていない」


「まぁ、それに対しては評価してやる」


「ったく、偉そうな」


「悔しかったら俺に対して口撃を食らわせてみろ」


 5年一緒だが未だに清明は俺に口論で全く勝てていない。まぁ、それ以外の奴等相手ならば勝てないまでも負けないらしいが


「この、女顔」


「フフフ、清明よ・・・今日は死ぬにはいい天気だと思わないか?」


「あ、その・・・ちょっ!」


「さ~て、悪いごはいねえがぁ~」


「ぎゃぁぁぁぁぁっ!」


 清明の頭をがっちりと掴み徐々に力を入れていく。1尾状態でも人間にしてみれば妖獣の力は十分だ


「いだだだだだだ・・・・ご、ごめ「言わせん」ぎゃぁぁぁぁぁっ!!!」


 誤ろうとしていたがお仕置きは終わらせんと言った感じで更に力を込めてみた


「割れる、割れる、何かでちゃうぅぅぅぅっ!」


「「なにがっすか!?」」


「お前等、どうやって出てきた?」


「「我等に不可能なこと無し!」」


 正義の味方宜しくなポーズをしながら笑う式神へんたい


「あ・・・あぁ・・・」


「いけね、こいつ等が出てきて清明のこと忘れてた」


 手を離すとボトッという効果音と共に畳に清明が落ち、横たわりながらぴくぴくしていた


「「はぁはぁ・・・清明ちゃん萌えるお・・・はぁはぁ・・・」」


 ダメだ、こいつ等早く何とかしないと


「し、真理・・・」


「どうした?」


 何かふらふらと清明が此方に近寄ってきた・・・何があったんだ?


「いや、幾らなんでも今さっきやったことを忘れるとか無いだろう?」


「お前が悪い。俺は知らん」


 そういうと、清明は頬を膨らませて拗ねだす。まぁ、ここらへんが女っぽいといった感じか?


「っと、くだらないことやってないで聞きたいことがあるのだが?」


「なんだ?」


「人と妖の違いは何だと思う?」


「人と妖の違い?」


「ああ」


 そういわれて俺は考え込む。清明の目を見てみればそれは単純な質問とは思えないので恐らくは簡単な部分ではなく深い意味でと言うことだろう


 さて、人と妖の違いか・・・例えば俺と清明の違いを上げるとすればまず見た目だろう


 清明は黒髪黒目の人間と一般的な姿をしているとして、俺はと言えば髪の毛は体毛の影響か灰色であり、年老いた人物の髪と言えなくも無いが白髪よりは黒っぽい


 瞳はこれは逆にこの日本で探すには無理そうな金眼である、たとえ髪の毛が何らかの事情で白くなってしまったと言っても、この瞳でまず疑われるか怖がられる


 そして、髪や瞳以外でもっとも違う見た目とすれば俺に生えている耳とシッポだろうな


 シッポや耳は隠せなくも無いが、妖獣としての印なのか基本的に人化してもこのシッポと耳は消すのは中々に大変である


 しかし、見た目と言う部分でこれに当てはまるのは妖獣・・に限った話である


 例えば、紫や幽香などは髪の色こそ特殊だがそれ以外の人との相違点などは無いのだから


 妖怪といえど角があったり耳やシッポがあるものなぞ全体の半分有るか無いかなので見た目の違いと言う部分に深くは当てはまらないと思う


 では、次に上げるとすればそれは・・・力であろう


 何かに非力な妖怪などもいなくも無いが、妖怪という種族は力が強いのが通例である


 後は違いは有している力か。人間は霊力を妖怪は妖力を持っている。これは単に資質の問題かと俺は思っている


 妖怪などは基本的に野生の獣でありそれゆえに有している力は攻撃的な妖力を


 人間は逆に比較的大人しく、集団により環をもってなしているのですがすがしい霊力をゆうしているのではと


 さて、ここで改めて清明の質問の人間と妖の違いについてだが・・・


「清明よ・・・」


「なんだ、考えが纏まったか?」


「まぁ、俺的にって回答でいいなら」


「ああ、それでいい」


「そうか・・・」


 そこで、俺は一度息を深く吐いて天を仰いでから清明の眼を見て告げる


「俺的には・・・人と妖の違いは・・・ない!」


「な、なんだと!?」


 大きな声で驚きの声を上げる清明。まぁ、俺がこんな事を言うとは思ってもいなかったんだろう


「な、何故だ!?」


「何故って、人も妖怪もどちらも物を考え、行動する。故に違いはない」


 正確に言えば姿形こそ違えど生物(動物)というものは、物を考え行動するものだ


「な、ならば!妖は人を襲うではないか!」


「糧だからな。人だって食料として動物を狩るだろう?更にいや、力を持つ人間だって妖怪を襲うだろ?」


「ぐっ・・・」


 妖怪を襲うという部分でかつて俺を襲ったことを思い出したのか苦い顔をした


「どちらも、それぞれ生活がある。だからこそ、相手を倒す。別にこの倫理は間違いなど無い正しいと俺は思う」


「な、ならば・・・」


「最後まで聞け。俺はお前が思っている以上長生きでな、生きているうちに暇を弄ぶようになってしまった。

 そこで見つけたのが、俺ではない誰かを観察しどうなるかを見続けることだ」


「どういうことだ?」


「そういえば、お前についていった理由を言ってなかったな」



~犬、説明中~



「と言うわけさ」


「そ、そんなことのために、わざわざ危険なこの場所にくるなんて・・・」


「俺の正体を見破るような奴なんざ早々いてたまるか。お前が人外なだけだ」


 卑弥呼とかもそうだったが、何でこう勘が鋭い奴がおおいのかね?神子とか普通に騙せたのに


「しかし、真理が言う趣味とその結論が結びつくのか?」


「まぁ、長生きしているからな色んな人や妖怪を見てきたがタダ思うのはそれぞれ精一杯生きているってことか?

 まぁ、妖怪などは基本住処から長い距離を離れないからそこは人と違うが・・・ああ、もう一つ違いは単に寿命が違う程度か」


 流石に寿命と言う部分では人と妖はかなりの差があるな


 中級妖怪となる奴等は多いが、大妖怪となるとなれる奴等は結構限られてくる


 たかが1000年、されど1000年だ


「それで、何でお前はこんな事を聞いたんだ?」


 そう、一番の疑問はこれだな。何だってこんな事を聞いてきたんだこいつは?


「お前がそんな考えならば言うが・・・お前は葛の葉という妖を知っているか?」


「葛の葉ぁ?」


 そういや、昔どっかでそんな妖怪がいるとか何とか聞いたなぁ・・・


「確か・・・狐の妖怪だっけ?」


「まぁ、間違っては無いな」


「それで、その葛の葉ってのがどうしたんだ?」


「実はな・・・私の母親がそいつなんだ」


「へー」


「な、なんだ!その気の抜けた返答は!もっと何かあるだろう!」


「何かってなんだ?」


 別に妖怪が母親でもよくね?俺の母親も妖怪だし


「もっとこう・・・お前、妖怪との子供なのか!?とか!」


「いや、別にいてもよくね?むしろ興味がそそられる程度だし」


「「俺達に?」」


「「空気を読め!死に晒せ」」


「「ぎゃぁぁぁぁっ!!!」」


 ったく、シリアスの空気でしゃしゃり出てくるな馬鹿共


「そ、そんな・・・お前が離れると思って隠していたのに・・・」


「ふ~ん、お年頃ってやつかねぇ?どうでもいいが」


「どうでもいいって・・・はぁ、悩んでいたのが馬鹿らしい」


「あまり悩みすぎると禿げるぞ?」


「禿げないわ!見てみろ!この艶やかな髪を」


「はいはい、よーござんしたね」


「キィィィィィッ!」


 いや、キーってお前どこぞの高飛車お嬢様かよ


「私のこの力も実はその母親の資質を受け継いだらしくてな・・・」


「あん?霊力を有する狐だと?」


 そうすると、こいつの母親の葛の葉って天狐かなんかか?


「まぁ、そんなわけでな・・・小さきときからこんな力を持っている私は周りからは怖がられ、陰陽師の連中からも疎まれるといった具合だ」


「なるほどねぇ。まぁ、別に他人が何を言おうが気にしなくていいんじゃないのか?それは、お前の母親から携わったものだろ?大事にすればいいじゃん」


「まぁ、そうだな」


 それにしても、こいつの強さの一端がわかったわ~・・・すると、別にこれといって妖怪が親じゃない卑弥呼は正真正銘の人外?


 いや、こいつも幾ら母親が狐だといってもここまでの力をもつ母親ならば俺があっているはずだし・・・と言うことはやはりこいつの資質は天然物・・・やっぱ人外だわ


「そういえば、真理は今幾つなんだ?」


「1900歳程度?」


「なんだ、それは」


「正直、年齢なんて1000近くから数えてないから分からん」


「何か、疲れた・・・真理シッポを貸せ。抱いて寝る」


「はいはい、お休み清明ちゃん」


「ちゃん言うな!」


 そういうと、清明は俺のシッポを抱きつく


「ふふ、気持ちいい・・・疲れが・・・いや・・され・・・」


 抱きついて頬ずりしている間に眠ってしまった


「やれやれ、色々な人間を見てきてはいるがやはり心ってのはどんなにたとうがわからんな」


 たとえ読心術を使えたとしても一生分からんだろうな


「お休み」


 そういうと、俺も獣化しそのまま寄り添うように眠った

真理の考えはタダ単に長生きしてたどり着いた答えです


特殊な力とかも無くただそう思っただけ

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