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東方転犬録  作者: レティウス
放浪篇
16/115

頂に立つもの

「とりあえず、5尾解放っと」


 はぁ、喧嘩は計画的に売りましょう・・・かつての玲央の時もそうだったけど、俺が喧嘩をうる相手ってなんでこうも強い奴なんだろう?


「へぇ・・・」


 目の前の風見の口が三日月型に歪む。まぁ、妖力量だけならば同等になったからな


「力を隠しているなんて・・・やはり、お仕置きが必要ね」


「楽しそうにいうんじゃねえよ」


 言葉の端々に感じていたがこいつドSだわ・・・


「いくわよ!」


 言うやいなや、風見が突如として目の前に現れその右手を振るってくる


「あぶなっ!?」


 左手で逸らして難を逃れる


「何処が危ないのかしら?簡単に裁いてくれちゃって」


「おいおい、笑顔がドンドン濃くなってくるな」


「フフ、今ね私とても胸がどきどきしているの」


「そりゃ、よかったね」


「なんだったら確かめてみる?あそこのちんくしゃじゃ楽しめないでしょ?」


「なんだとゴラァッ!!」


「・・・妹紅とはそんな関係じゃねえよ」


「あら、そうなの?つまんないわね!」


「喋りながら攻撃してくるんじゃあねえ!」


 こりゃあ、5尾じゃあ危ないな。てか、紫にしろこいつにしろ玲央にしろなんでこう年下の女ってのは強いのかねえ


「これで、能力使われちゃたまったもんじゃないな」


「私に能力は関係ないわよ!」


「っと。ほう」


「私の能力は【花を操る程度の能力】だから、戦いには使わない・・・っわ!」


「っぶな!ほう、そりゃ使わない・・・のか?まぁ、花をあそこまで愛しているのだから戦闘では使わんなっ!」


「くっ。ええ、戦いに使うのなんてもってのほかだわ。花はあなたが言ったようにそこにあるから美しいのよ!!」


「そりゃ、賛成だ!」


「・・・お前等、喋りながらとんでもない攻防してんなよ」


 回復した妹紅がちゃちゃを入れてくる。俺と風見は喋りながらもお互い手を止めずに相手を倒そうと一撃を繰り出している


 てか、風見のパワーやべえ・・・一発でもまともに入ればただじゃすまないぞ?陰陽師連中が団体でこいつを退治しようと向かう理由がよく分かるわ


 てか、大妖怪でもこいつだと格下になりかねん。鬼並みの力に妖力とかマジで天然チートって存在するんだな


「いい。いいわ、貴方最高よ」


「美人にそう言ってもらえるならば嬉しいねぇ」


「本当に思っているかは別として、なんとしても貴方を飼ってあげるわ」


「遠慮願いたいね。俺は縛られるのが嫌いなんだ」


 未だに定住を考えないからなぁ・・・てか、一箇所に留まり続けるのがあまり好きくない


 普通妖獣ならば一箇所に留まり縄張りとしそこで生涯を終えるものだが俺は違う


 俺は、暇と言うものが嫌いだ。妖怪が本能に従い生きるならば俺はその暇を消すために行動するんだ


「さぁ、全力でいくわよ。今まで私に全力を出させた奴などほとんどいないから光栄に思いなさい?」


「それで、全力じゃないとかどんだけー」


 俺が軽口を叩いている間に空気が変わった。今までの風見も確かに本気で戦ってはいただろう・・・ただ、全力・・という言葉は使わない程度に


 大妖怪と言うものは確かに生きてきた年月が強さに比例し強くなるがその分戦いとなると全力を使う機会が無くなる


 1000年も生きればその生きてきた年月の経験・・を元に戦うようになる


 逆に1000年も生きれば戦う相手と言うのは限られてくる。自身より弱い妖怪はこちらに牙を剥くことは無いし同じ大妖怪はそもそも縄張りにむやみやたらと侵入することが無い


 だからだろう。風見の全力がほとんど使った事無いというのも頷ける・・・あと、恐らくだが風見自身の才能も高かったんだろう


 出なければ、俺の5尾についてこられる奴など少ないからだ


「ま、女の不満の吐け口になるというのもまた男の務めってね・・・いいぜ、来な」


「・・・後悔しないことね」


 風見がそういった瞬間に姿が消え俺は吹き飛ばされていた。直感で顔面の前に手を交差しだしていたので腕にダメージが入ったがそれ以外は大丈夫だ・・・とは、言い切れないな


「やべえな。姿をきちんと捉え切れなかったし腕が痺れていやがる」


「今のを防ぐとは思ってはいなかったわ。本当に貴方は素敵よ」


 軽口を叩く余裕が無い。今の状態ならば数分もしないうちに俺は地に伏すだろうな・・・別に負けること自体はいいんだが、かといって負けてもいい訳ではないので


「さてさて、俺も追いつくかね」


「出来るならやって見せなさい!!」


「やってやるさ・・・7尾解放!」


「なっ!」


 風見が消えた瞬間に7尾まで解放すると風見の姿を捉えることが出来たので、繰り出した拳を受け止めたのである・・・腕が痺れているのでいつまでも掴んでられない


「驚いている暇は無いぞっ!!」


「が・・・はっ!」


 固まっている風見のわき腹に蹴りを入れて吹き飛ばす。風見も戦闘の才能のおかげか蹴りが当たる瞬間に横っ飛びをして蹴りの威力を出来る限り減らした様だが、あの苦悶の表情を見る限りかなりのダメージが入っただろう


「貴方本当に何者?シッポが増えたり、急に力が増したり意味が分からないわ」


「なに、ただ単に少し長く・・・・生きた妖怪さ。長生きゆえに色々と小細工を覚えるのさ」


 まぁ、ただ単に趣味のためなんだがな。めんどくさいので割愛だ


「何が何でも勝ちたくなったわ」


「それでいいんじゃないか?戦いなど勝ち負けしか基本は無いんだから」


 勝てば官軍、負ければ賊軍といわれるくらいだしな・・・あれ?これってここで使う場面か?


「だから、これで終わらせるわ!」


 そういうと風見はおもむろに傘をこちらに向けて構えた


「むっ!?」


「これが、私の最強の攻撃よ」


 そういうと、風見の傘におびただしい妖力と何かが交じり合い極光の光が溢れる・・・って関心してる場合じゃない!!


「さぁ・・・食らいなさい」


――マスタースパーク


 風見が恐らく技名を言った瞬間、傘の先端にたまっていた力が極太のレーザーとなり俺の視界を多い尽くしていった


Side End







幽香 Side


「はぁ、はぁ・・・」


「そ、そんな!?真理、真理ぃぃぃぃぃっ!!」


 私は肩で息をしながら、今の戦いを思い解していた


 最初は、今目の前で騒いでいる小娘を縊り殺すためだけに出て行っただけであった。小娘と戦うことになったが実力は陰陽師連中よりも楽しめたものだったがそれでも、いつもの空虚な心を満たすことはできなかった


 小娘が落ち、止めを刺そうと降りていくとあの真理とか言う犬の妖獣が交替とか言って前に出てきた


 まだまだ、満たされなかった私はその提案を了承したがその直ぐ後でその選択は間違い出なかったと分かった


 真理が突如として尾を増やしたと思ったら私の妖力と同等の力があふれ出したからだ。


 そして、戦ううちに真理の強さが如実に現れていくのを感じて仕方なかった


 真理は私の攻撃を避けるのでも防ぐのでもなく全てをいなしていたのだ。戦いにおいて相手の攻撃をいなすことがどれだけ難しいかそれは私自身よく分かる


 避けるならば相手の動きを見た瞬間から動けばいい。防ぐのも同じだ


 しかし、いなすのはそれよりも難しい。少し加減を間違えれば攻撃がもろに受けてしまうからである


 真理はどんな状況でも私の攻撃をいなし前にでてきて私を倒そうとその足を私に向けてきた


 当然私も負ける気などさらさら無いので全ての攻撃を真理と同じようにいなしながら戦い続けた


 そして、いつしか思ったのだ「こいつに勝ちたい」と


 いつ以来だろうか、こんな気持ちになったのは・・・いや、もしかしたら初めてかもしれない


 私は生まれながら強い力を持っていた。だからだろうか、私の周りには常に花達しかいなかった


 別段それを寂しいと思ったことはない。弱肉強食が当たり前の妖怪達の中で力とは強さそのものだったのだから


 私も意味も無く馴れ合うような性分でもないことが起因したとしてもだ・・・


 まぁ、私にも一人だけ友人と呼べるような昔からの付き合いがある奴はいるが・・・あいつは胡散臭いから


 話は逸れたが、真理相手ならば全力をだしても問題ないと判断し今まで少しでも長く遊べるように多少抜いていた力を全て解放した


 最初の攻撃で真理は初めて防御の形をとり私の攻撃を防いだのだ


 全力を出した私の攻撃を受けて平気だったのは頭にきたが、そんなことよりも勝つことが目的なのだから細かいことを気にせずに攻撃しようとしたら、真理が


「さてさて、俺も追いつくかね」


 とぬかしてきたのだ、できるものならばやってみろと私は挑発しすぐさま攻撃をしたがそれは私の想像を抜けてはるか高みへといっていた


 まさか、私の攻撃を完全な形で防ぎあろうことか、繰り出した拳を掴んでいたのだから


 次の瞬間、とても嫌な感覚が私を襲い私はすぐさまその場を飛び去ろうとしたが、体がとてつもない衝撃を駆け抜けていった


 呼吸が出来ないでいる間に真理のほうを見れば脚を振りぬいた状態で止まっていた姿を見て、私は蹴られたことを理解した


 まさか、視認できない速度での蹴りを食らうとは思わなかった。だけど、ますます私は真理に勝ちたいと思った


 だからだ、たとえ隙が出来るのを分かっていても私が持つ最強の攻撃を出さなきゃいけないと思ったから


 【マスタースパーク】―――これは、当初弾幕などちまちまやっていられないと思った私が考え出した技でそれ以降全く日の目を見なかった技である


 傘または手の先に私の持つ力を収束し放つという言ってしまえば簡単な技だが威力が高すぎる・・・・技である


 作ったはいいが、威力の加減が出来ず場所を間違えれば花達すら全てを消し去ってしまう技であるのだ


 そして、真理は私の最後の攻撃を真正面から受けた・・・いくら真理が強かろうがこの技を受けて生きていられるはずが無い


「よくも!よくも真理を!!」


 私がそう思っていたら、小娘が目に涙をため私を睨んできた・・・ああ、この目はよく見ている。陰陽師共が私を退治にやってきたのをそのまま返り討ちにし次に来た奴等がこんな目をしていたのをよく覚えている


「真理も言っていたでしょう?戦いとは勝ちか負けかって。今回は私が勝った・・・それだけよ」


 にべも無く小娘に言い放つ。私だってここまでする気はなかった。真理に言っていた様に真理を飼うつもりでいたのだから


 だけど、真理が思いのほか・・・いいえ、強すぎた故にここまでしなきゃ負けると悟ったからやったまでだ


 惜しいと思うことはあっても後悔は無い


「真理の敵を討たせてもらうぞ!!覚悟しやがれ!!」


「ふっ、その程度の実力で・・・いいわ、かかってきなさい。今の私はいままで最高の気分なの、本来なら貴女みたいな小娘の相手をする気など無いけれど、やってあげるわ」


 そうして、小娘・・・妹紅と言ったかしら?と対峙しお互い動き出そうとしたら


――おいおい、勝手に殺してくれんなよ


 そんな声が響き渡ると同時にありえないほどの妖力が当たりを埋め尽くしていった


Side End





 いってぇ・・・当たる直前に8尾まで解放して結界を展開したがそれすら貫通してかなりの距離を吹き飛ばされてしまった


 幽香のマスタースパーク?だったかを食らって一瞬とはいえ意識も飛んだからな・・・いやはや、やっぱ世界は広い


 今まで基本的に戦うこと自体めんどくさくて回避しまくってきたからなぁ、ここまでのダメージなんて玲央以来初めてだよ本当に


 ボロボロの状態だが着替える暇など無いから元の場所まで戻っていくとなにやら二人とも俺が死んだことを前提で話を進めていた


 うん、なんていうかこう・・・死んで無いのに死んだことされると結構ムカつくのね


「おいおい、勝手に殺してくれんなよ」


 とりあえず、言うことを言いながら妖力を解放すると二人はぴたりと動きを止める


 それを見ながら現場へ到着ッと


「ったく、マジで勝手に殺すな」


「真理!本当に真理!?大丈夫足はある!?」


「あるわ」


「貴方、一体どうやって・・・それにその妖力とシッポは」


「悪いね、ぎりぎりで防御が間に合ったんだよ。まぁ、それすら抜かれて結構遠くまで飛ばされて漸く帰ってきたと思ったらお前等が俺のことを殺してくれてるんだもんな・・・ちょっとムカッときて妖力を解放しちまったじゃないか」


 あーそれにしても、体いてえ。妖力を回復にまわしているけど少し時間かかるかもな・・・あれを、やっぱやめよ


「さてと、決着をつけようか」


「ふふふ。いいわ、決着をつけましょう」


 再び俺達は空に上がり互いに向き合う・・・といっても、恐らく風見は既に満身創痍だろう。


「さて、次の攻撃に耐えられたら俺の負けでいいや」


「いいわ、来なさい。私の攻撃に耐え切ったんだもの、私も耐え切って勝ってやるわ」


「いいね、その覚悟・・・だけど、上には上がいると知るがいい」


 そう言って俺は力を溜める


「そこまで、大口を叩いたんだからやって見せなさい!」


「ああ、いくぞ!一発目!」


「くっ!」


 両手を腰だめにし力を溜めていたが、その内の右手を突き出して溜めていた力を解放する


 解放された力は風見に向かって、先ほどの攻撃に似たようなレーザーの如くの砲撃となり襲うが風見はそれを何とか避けるが


「続いて2発目!」


「きゃっ!」


 突き出していた右手を引っ込めると同時に左手を突き出して同じような砲撃を風見に向けて放つと先ほど避けたがやはり限界だったのだろう、今度は確実に当たるが


「これで最後!」


 俺は2発目が当たったことなどお構い無しに続けざまに風見より少し高い位置に上がり足に溜めていた力を風見に向かって放つと風見は完全に砲撃に飲まれていった


 ・・・パクリ?気にするな。元々砲撃ならこれが有効じゃね?って昔から考えていただけだ


「・・・」


「アブね」


 砲撃が終わり煙が立ち込めていたが、それが晴れるとそこにはボロボロの状態の風見がいたが突如として落ちていこうとしたので急いでそこに向かい抱きかかえる


「アーーーーッ!!」


 なんか、妹紅が騒いでるが知らん。風見を見てみるとそこには規則正しい息をしながら意識を失っている風見がいた


 ふぅ、まともな砲撃をするのは初めてだったが消え去らなくてよかった


Side End








幽香 Side


「う、ううん・・・」


「お、起きたか」


 目を覚ましてみると自分の家の布団の中にいた。声が聞こえたのでそちらを見てみるとそこには、先ほど戦った妖獣の真理がノンビリと私のお茶を飲んで椅子に座っていた


「思った以上に早く起きたようで何より。気分はどうだい?」


「最悪よ」


「へぇ、何でだい?」


「負けたのに気分が悪くない奴はいるかしら?」


「違いない」


 真理はそういうとくつくつと笑い出した・・・本当に綺麗な顔ね。これで女じゃないなんて。私も容姿には自信があったけど真理と私どちらが綺麗かしら?


「さてさて、風見も起きたことだしお暇するかね。外で妹紅が拗ねているからね」


「あんな小娘なんて放っておいてここにいればいいじゃない。今なら何をやっても許されるわよ」


「悪いね性欲は無くは無いが枯れた状態に近いんでね。あとは、自分からそういうこと言うな折角の美人なのだから俺よりいい男なぞごろにいるだろうさ」


「そんなのがいたら調教のしがいがあるでしょうね」


「やっぱり、お前危険だよ。さて、風見「幽香よ」ん?」


「幽香と呼んで頂戴」


「ふ、了解だよ幽香。さて、幽香よ」


「何かしら?」


「俺は基本的には売られた喧嘩は買う主義でなしたくなったら探しに来な。暇なときは相手をしてやる」


「凄い上から目線ね」


「お前はこっちの方が燃えるだろう?」


「ふふ、いいわ。いつか必ず仕返しをしてあげるわ」


「楽しみにしているよ」


 そういうと、真理は椅子から立ち上がり玄関まで近づくと此方に向き直り


「またな、幽香」


「ええ、またね真理」


 そういうと、真理は今度こそ振り返らず出て行った。出て行った矢先にあの小娘の妹紅の騒ぐ声が聞こえてきたけど今の私のやることはこの傷を治すこと、そして・・・


「次は絶対に勝つ!」


 そう決意を固めると、まだ体がだるいのでそのまま意識を闇に落としていった

ゆうかりぃぃぃぃん!


なんか、書いていたらゆうかりんが愛おしくて仕方なくなりました


おっかしいなぁ?俺の嫁はさとりんのはずなのに


さて、次回の予定もばっちり決まっておりますのでお楽しみに

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