表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方転犬録  作者: レティウス
放浪篇
13/115

薬師と姫

「お前とこうして飲むのも今日が最後になるな」


「そうね、今にして思えば不思議な時間だったわ」


 輝夜と縁側に座り月見酒をしながら感想を漏らすと輝夜も同じようなことを思ったのかそれに同意してきた


 満月まで残り2日となった。明日にでも輝夜は翁達に月に帰ることを伝えるそうだ。そうすると、帝などが護衛やらなんやらをつけてここにこれなくなってしまうので最後となる


「それにしても、あの藤原があんな理由のためだけに求婚してくるとは思っても見なかったわ」


「まぁ、子供の為といわれたら吃驚するわな」


 不比等の事に関しては途中の酒の席でぽろっとこぼしてしまった。それを聞いた当初の輝夜は腹を抱えて笑ったものだ


 十二単を着て笑い転げる姿はかなりシュールだったがな


 まぁ、別に聞いたところでこいつは態度を変えるような奴じゃないというのは酒の席で分かっていたからどうでもよかったしな


 まぁ、その後にでたこいつに求婚に来ていた難題のほうがむしろそいつ等に同情してしまったよ


「それにしても、お前も酷い奴だよな。どうやっても人間が手に入られないような物をもってこいとか」


「仕方ないでしょ?そうでもしないと諦めがつかないじゃない」


 こいつが出した5つの難題とのちの竹取物語で言われるものにより貴族連中は軒並み駄目にされてしまったのだ


 まぁ、不比等はどうやっても見つからなかったために最終手段として職人に作らせたわけだが


「それにしてもあの時は本当に驚いたわ。まさか、ここに実在しているとは思わなかったもの」


「あの親馬鹿の執念には恐れ入ったよ本当に、まぁ俺も最初は本物かと思ったしなぁ」


 そう、あまりに精巧に作られたものだったために輝夜自身も本物かと思い結婚を承諾しそうになったのだがあろうことか不比等自身がそれは偽者だとばらしてしまったのだ


 何故そんなことをしたのか俺も輝夜も全く訳が分からなかったので仕方なしに本人に聞いてみれば


「ここで、騙すことによってかぐや様を嫁に迎えられたとしても私の心は偽りに囚われてしまっている。

 そうすると、妹紅のためと抜かしながら自身のためになってしまい、妹紅に顔向けが出来なくなってしまう」


 という理由であった。なんとも男らしくなにより親の鏡とよく言ったものだった


 そんな不比等だったが、不比等自身が贋物だったとばらしてくれといって来たのは再びの衝撃であった


 なんでも、ウソをつくのは貴族や国政に関わるものならば仕方ないらしいのだが、なんでも家族やこれからなろう物にまでウソを塗り固めたくなかったとか


「面白いね不比等は」


「あんたってよく面白いとかつまんないって言うけど、そんなに人って面白いものかしら?」


「人に限らず、何かをなそうとする奴は面白いさ。逆に惰性で生きているような奴等はつまらんね」


 まぁ、これは人によってだし妖怪がこんな考えを持っているというのも可笑しいがね


「だったらさ、私が逃げるのを助けてくれない?」


「・・・自分で何とかしろといいたいが、たまにはいいだろう」


「そうよね、駄目よね・・・え!?いいの!?」


「いいと言ってるだろう?」


 なんで、こう思ったのか・・・人間に触れて感化されたかな?・・・あ、俺が元人間だったというのを忘れてた


 長い時を生きて妖怪だというのが当たり前になってきてるなぁ、別に人食いではないしいいのか?


「じゃ、じゃあ!」


「ただし、逃げるにしても俺だけを頼りにするなよ?自分でもガンバレ」


「うん、うん!」


 輝夜が首が千切れるんではというぐらいに縦に振っている。はてさてどうなることやら、話を聞く限り月の民ってのは相当な文明を誇っているから俺が敵うかもわからんしな



 





 さて、あれから二日がたった。輝夜は俺が返った次の日の朝に翁達に自分は変えると伝えたそうだ


 帝たちも輝夜を渡さんと言わんばかりにあちらこちらにいる陰陽師の連中を集められるだけ集め輝夜の護衛としておいてある


 俺は?となると実は不比等も何か出来ればとここにきていたのでついてきたしだいである










 さて、綺麗な月が新円を描き闇夜に照らされている晩。そろそろ現れるであろう月の民達に対して警戒している一同


 そんな中、輝夜は一人祈りともつかないように目をつぶり瞑想をしている


 俺は未だ獣化中なので輝夜の隣に伏せの上体で寝ておりただ待つことにしている


「きたわ」


 輝夜の一言に目を開け空を見てみるとそこには牛車が・・・って


「牛車!?」


 犬状態だろうと関係なく叫んでしまった。だって、空飛ぶ牛車だよ?まぁ、牛が引っ張ってるわけじゃないが、馬車とかの荷車の部分のみだが、後ろにはジェットエンジンらしきものをふかしながら此方に着陸してこようとしている


 他の連中は空飛ぶ馬車に大層驚いており俺の声が聞こえてなかったようだ・・・セーフ


「真理、いい?」


「あいあい、お任せを」


「・・・大丈夫かしら?」


 大丈夫だからそんな溜め息をつきなさんなって。やる気が見えないのは単にやる気無いだけだし


「な、なんだあれは!」


 騒いでいるのでそちらを見てみるとなにやら牛車からなにやら落ちてきた


「まずっ!真理、息を止めてなさい!」


「は?」


「いいから!恐らく催眠弾よ!」


 そんな言葉を聞きながら牛車から落ちてきたそれは爆発し周りには煙が立ち込める。その煙を吸ったであろう連中はパタパタと倒れていった


 俺はちょっと吸ってみたが別段眠くならなかったので途中から息を止めるのをやめた。人間と妖怪の差かね


 そして、全員が倒れ伏した後に牛車は地上に着陸しその扉が――自動ドアだった――が開け放たれその中からは人間と頭にウサ耳をつけた妖怪が現れた


「姫さま、お迎えに上がりましたよ」


 リーダーらしき人物が輝夜に話しかける


「いやよ」


「姫さま、わがままはおやめください。私たち一同姫さまのお帰りをお待ちしてますのに」


「そこに、実験のためにってのがつくでしょ?それで帰るって私はマゾじゃないわ」


「はぁ、仕方ありませんね。なら、これならばどうですか?」


 リーダーらしき人物が横にずれるとそこに現れたのは俺とは違い綺麗に輝く銀髪を三つ編みにし赤と青の服をきた女性が現れた


「永琳・・・」


 その人物をみた輝夜が信じられないといった表情になる


「姫、貴方はこの地上でどうなさるのですか?」


 おろ?先ほどとはちがい此方の真意を見たいといった感じでの問いかけになっているな


「永琳、私はねこの地上が好きよ。月には無い刺激に溢れているわ」


「そう、なら私がすることは分かってるわね?」


 輝夜の答えを聞いた永琳?が弓を構えてこちらに向けてくる。他のウサ耳やリーダーは銃を持っているのに彼女だけ古臭い武装だな


 って、感心している場合じゃないな。武器こそ古いがその身に宿す力は飛んでもないな


「大丈夫よ。永琳ならきっと」


 俺が動こうとしたら輝夜が小声で話しかけてきた。ふむ、どうやらただの知り合いではないようだな。ここは輝夜の言うとおり動かないようにしとくか


「それでどうするつもりかしら永琳?私は不死よ?どうにも出来ないわよ」


「でも、四肢を落として達磨状態にしてしまえば動けないでしょ?」


「無駄よ?一瞬で回復できるもの」


「知っているわよ。貴女こそ私の能力を忘れてないかしら?」


「くっ」


 あれ?大丈夫じゃないん?一触即発な感じがするのは俺の気のせいか?てか、リーダーの卑しい顔がムカつく


 (恐らく)親しい人物が輝夜をどうにかするのを楽しいと感じているのだろうな


「それでどうするつもりかしら永琳?」


「ええ、こうするつもりよ!」


 そうして永琳?は弓を云った・・・牛車に向けて打ち込んだ。そのせいで牛車は爆発炎上した


「もうちょい、考えてやってやれよ。倒れていた連中が吹き飛ばされたぞ」


「ごめんなさい・・・って貴女は?」


「俺は男だ。そんで、その質問だが輝夜からの依頼だよ。逃げるのを助けてくれってな」


「ふ~ん」


 此方を値踏みするような視線を受け流しながら輝夜たちの前にでるとリーダー含め月の連中が此方に銃を向けてきた


「さてさて、お前達は逃げなさいといいたいが」


「逃がすわけ無いだろ!八意貴様何をやったかわかっているのか!!」


「ええ、輝夜が逃げたいといってきたんだもの私はそれに従うだけよ」


「貴様!裏切ったな!」


「裏切りですって?どっちがよ。輝夜が蓬莱の薬を飲んだ時にあんたたちが何をやろうとしたのかを私が知らないわけ無いでしょ?」


「全員構え!!」


 永琳?とリーダーの会話だったが永琳の暴露が発言された瞬間にリーダーの支持の元全員が銃を構えた


「さてさて、仕事をしますか」


「待って!幾らあんたでもあいつ等が使っている武器は!」


「だ~い丈夫だって、見てな・・・7尾解放」


『!!?』


 俺が7尾を解放するとその場にいた全員が驚いた表情で固まった


「さてさて、貴様等が不浄とする筆頭の妖怪こと犬の真理だが約束によりかぐや姫をお助けいたしますってね」


 俺が軽口を叩いて相手を見据えていると輝夜から話しかけられた


「あ、あんた一体・・・」


「言っただろう?無駄に長生きをしているって。妖怪は基本的に生きた年月が長ければ長いほど力を持つ

 俺も例外に漏れなくて妖力ならば相当なものを持っているのさ」


 後ろを振り返りつつ輝夜に説明をしてやる


「構うな!たかが妖怪!我等の武器の前では敵ではない!」


 そう言って銃から光線が放たれる・・・って銃弾じゃなくてSFみたいな光線銃なの!?すっげぇ、ほしいわ


「あ、危ない!」


 輝夜が心配してくれているが大丈夫だよ。戦いで余所見をするのは愚の骨頂ていうのはよく理解しているしな


「なにっ!?」


「へ?」


 此方に向かってくる光線はあろうことか俺に当たる前にどこかに飲み込まれていってしまった


「ぐわぁっ!?」


「な、何が一体!?」


 俺がやったことは簡単である。空間を捻じ曲げて俺に当たる空間とあいつ等の後ろの空間をつなげてやっただけの事だ


 故にあいつらは簡単に言えば自分自身を撃ったことになる


「さてさて、残りはお前一人だねっと」


「く、来るな!」


俺が近づいていくとリーダー?は錯乱したように銃を乱射しながら後退する


「逃げんなって、ほら」


 俺が手を向けるとリーダー?はどん、と何も無いはずなのに壁にぶつかったように止まった


「な、なんだ!?」


 その空間をどんどんと叩いて逃げようとするが無駄だ。既に奴は俺が作った空間に囚われているのだからな


「んじゃ、さようなら」


 てをぐっと握るとリーダーの体はドンドン縮んでいき最後には何も残っていなかった


「さてと、輝夜はこれからどうするんだい?」


「そうね、もうここにはいられないし奴等からも逃げなきゃいけないから離れるけど真理は?」


「俺?俺は不比等の事があるから残るが?」


「そう、残念ね」


 そして輝夜と話していると永琳?が近づいてやってきた


「ありがとう、あなたのおかげで輝夜を傷つけずに逃げることが出来るわ」


「気になさんな。酒飲み友達を守ってやっただけだし大して労力を使ったわけでもないしな」


 ホント能力便利だね


「ありがとう・・・ええと、真理でよかったのかしら?」


「ああ、お前さんは永琳だったな」


「ええ、八意永琳っていうの。機会があったらまた会いましょ?貴女を見ていると昔にあったあの人のことを思い出すわ」


「だから男だ俺は。うむ、まぁ俺も当分生きていけるだろうからな」


「真理ありがとね。また会いましょ」


「ああ、またな」


 輝夜達は別れを告げその場を去っていった。さて、俺も不比等を起して帰るとしますか










「お父様・・・どうして、どうして」


 その後不比等を起し帰った後に起こった悲劇が不比等が死んだ


 内容は自殺である。なんでも、輝夜のためにその場に行ったのに何も出来ず果ては妹紅のために何も出来なかったかららしいが・・・何故に死んだ不比等?妹紅はお前が自殺しこんなに泣いているのに


 不比等の遺書には妹紅を大切にするように書いてあったが奥方はその部分のみを削除し妹紅に酷いしうちをしだした


「かぐや姫・・・いや、かぐや。私はあなたを許さない!」


 妹紅のその瞳は復讐を誓ったものの眼そのものであった。翌日起きてみるとその場には妹紅はおらず都の門板の話だと日も昇らないうちに少女を見かけたようなという話であるので恐らく都を出て行ったのであろう


 俺も、不比等が死に妹紅もいなくなってしまったので藤原家を後にしそのまま都を出ていった

という訳でぐーやこと輝夜シナリオ終了となります


次はどうしましょうねぇ?w

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ